博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

大鏡の史的空間

定価: 14,300 (本体 13,000 円+税)
『大鏡』所収の著名な説話・逸話・主要な歴史記述について、当代の関係資料の徹底した調査・分析により史的空間を形成し、作者の構想・主題・歴史意識を解明する。

【著者略歴】
勝倉壽一(かつくら としかず)
昭和19年1月生まれ 福島県いわき市出身
東北大学文学部卒業・同大学院研究科修士課程修了
東北大学文学部助手、山形女子短期大学助教授、愛媛大学教養部助教授、
 福島大学教育学部助教授、同教授を経て、
現在、福島大学人文社会学群、文学・芸術学系、人間発達文化学類教授
博士(文学)―平成5年、東北大学
日本近世文学(秋成、近松)、近代文学(鴎外、芥川、歴史小説)、平安文学(大鏡)専攻

著書
『上田秋成の古典学と文芸に関する研究』(平成6年、風間書房)等
目次を表示します。
凡例
第一章 帝紀・大臣列伝の問題
 第一節 大鏡における朱雀院の処遇
  一、村上・朱雀紀への疑問
  二、朱雀院鍾愛逸話の解釈
  三、朱雀院下ろし
  四、「昔物語」所収二逸話の位相
 第二節 大鏡における花山院紀の位相
  一、問題の所在
  二、花山院退位の政治的背景
  三、安倍晴明登場の意義
  四、逸脱者の生
 第三節 基経伝の問題-光孝帝関係逸話をめぐって-
  一、はじめに
  二、光孝帝関係逸話の位相
  三、陽成院退位の事情
  四、光孝帝擁立の政治力学
  五、光孝帝関係逸話挿入の構図
 第四節 師尹伝-敦明廃太子と院号賜与をめぐって-
  一、間題の所在
  二、敦康立太子断念の事情
  三、敦明退位の政治的背景
  四、院号賜与の意味
  五、寛子入内の意味
  六、敦明退位記事の位相
 第五節 師輔伝-安子関係逸話について-
  一、問題の所在
  二、村上帝後宮と安子
  三、「かはらけ事件」の背景
  四、「かはらけ事件」の解釈
  五、登子への懸想
  六、九条流の専権への道
 第六節 兼通伝の問題
  一、問題の所在
  二、古本系の基本構図
  三、増補記事(次第のままに)の意義
  四、増補記事(最後の除目)の意義
 第七節 為光伝の問題
  一、はじめに
  二、誠信と斉信の争い
  三、道長の思惑
  四、まとめ
第二章 大鏡の人物像
 第一節 大鏡における醍醐天皇像
  一、はじめに
  二、延喜天暦聖代観と『大鏡』
  三、元服・践祚逸話の意義
  四、道真左遷記事
 第二節 師輔伝 -選子像をめぐって
  一、問題の所在
  二、仏教信仰
  三、現世の栄華
  四、追従ぶかき老狐
 第三節 道兼伝における兼綱・兼隆の位相
  一、薄命の関白
  二、兼綱の罷免問題
  三、兼隆の栄進
  四、女君たちの末路
  五、謀略の血筋
 第四節 道隆伝-隆家と公信の確執
  一、問題の所在
  二、右近中将公信
  三、隆家と為光の後裔
  四、逸話の解釈
 第五節 道隆伝における隆家の位相
  一、問題の所在
  二、賀茂詣の逸話
  三、刀伊の入寇
  四、将門・純友共謀説の意義
  五、すてぬもの
第三章 説話・逸話の構図
 第一節 実頼伝-藤原佐理説話についてー
  一、はじめに
  二、佐理説話の歴史的背景
  三、佐理名人芸説話の解釈
  四、佐理記事後半部の意義
 第二節 頼忠伝の構成-公任三船譚の位置をめぐって
  一、問題の所在
  二、「頼忠伝」の問題
  三、公任「無心の事」
  四、三船譚の構図
  五、公任の生きる道
 第三節 師尹伝-芳子関係逸話をめぐって-
  一、はじめに
  二、芳子関係逸話の背景
  三、政治的背景
  四、村上帝変心の背景
 第四節 伊尹伝 -朝成怨霊譚の成立-
  一、問題の所在
  二、史実・説話と『大鏡』の怨霊譚の構成
  三、「伊尹伝」の解釈 
  四、朝成の怨念の生成
 第五節 道長伝における顕信出家談の位置
  一、問題の所在
  二、「道長伝」の構図
  三、顕信出家の位相
 第六節 道長伝-道長剛気逸話の意義-
  一、問題の所在
  二、両を踏む
  三、肝試しの話
 第七節 道長伝-競射の話の解釈-
  一、問題の所在
  二、競射の話の舞台
  三、競射の話の意味
〔付論〕流布本系・異本系における記事増補について
索引
後記
著者勝倉壽一 著
発行年月日2005年09月30日
頁数396頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1515-0