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宋代商業史研究

定価: 11,000 (本体 10,000 円+税)

中国史中、画期的な発展をとげた唐末より宗代にかけての「商業の繁栄」「商品・貨幣経済の展開」を経済史的一構成要素として捉え、資料の客観的証言から精査論考。

【著者紹介】
斯波義信(しば よしのぶ)
東京大学教授
文学博士
目次を表示します。

第一章 問題の基本的考察
 第一節 考察の端緒
  〔一〕歴史事実としての宋代の「商業の繁栄」
  〔二〕基本的観点
  〔三〕仮説・用語の二三
 第二節 問題史的考察
 第三節 実証の現状と問題点
  〔一〕遠隔地商業の形態と内容
   A 交通・運輸
   B 全国的市場の形成
   C 遠隔地流通
  〔二〕都市・ギルドの転換
   A 都市
   B ギルド
  〔三〕流通組織(配給組織)の整備
  〔四〕商業利潤・商人資本
  〔五〕国家と商業
第二章 宋元時代における交通運輸の発達
 第一節 運船業の基礎構造
  一 船舶の種類と形態
  二 船舶の構造と動力
   A 海洋船
   B 内河船
  三 遷船企業の集中と専業化
 第二節 運船業の経営構造
  一 労働の諸性質
   〔Ⅰ〕船内労働
    A 海洋船(海舶)
    B 沿岸海船
    C 内河船
   〔Ⅱ〕船外労働
    A 荷役
    B 縴挽
   〔Ⅲ〕船夫の募集
    A 船夫の募集範囲
    B 船夫の出身階層
   〔Ⅳ〕工銭
  二 経営の諸性質
   〔Ⅰ〕 所有(占有)の諸形態
    A 船主自営
    B 安倍
    C 傭船
    A´B´C´ 船戸船夫による私貨の塔載販売
   〔Ⅱ〕出資と経営
   〔Ⅲ〕運送契約
    A 運賃
    B 雇船契約
    C 船行(船牙・牙保人・店主牙家・船行・飯頭人)
第三章 宋代における全国的市場の形成
 第一節 自然的農業的物資の特産化と流通
  〔一〕米穀
   一 生産と流通
    〔Ⅰ〕生産の発展
    〔Ⅱ〕生産の地域差
    〔Ⅲ〕品種・銘柄
    〔Ⅳ〕消費市場の構造
    〔Ⅴ〕流通概況
   二 市場構造
    〔Ⅰ〕歩担
    〔Ⅱ〕米主・搨家・富家
    〔Ⅲ〕米船・米商
    〔Ⅳ〕米 牙 人
    〔Ⅴ〕米鋪
   三 南宋米市場の特質
  〔二〕油脂・蝋燭
    胡麻油
    大麻油
    蘇子油
    荏子油
    蔓菁子油
    菜花油
    桐油
    鳥桕油・桕油
    魚油
    黄・白蝋
  〔三〕蔬菜
  〔四〕果実
    茘枝
    柑橘
    その他
  〔五〕砂糖
  〔六〕木材
    建築用材
    船材
    棺材
    その他
  〔七〕その他―耕牛・養魚等―
    耕牛
    養魚
    その他
 第二節 手工業的物資の特産化と流通
  〔一〕紙
   〔Ⅰ〕生産・加工過程
    A 製紙原料
    B 生産過程
    C 加工過程
   〔Ⅱ〕生産の集中
   〔Ⅲ〕流通事情
  〔二〕絹織物
   〔Ⅰ〕生産の集中
    A 貢納生産の分布
    B 特産品の分布
   〔Ⅱ〕商品化の諸段階
    蛋具・蚕種
    桑百・桑木・桑葉
    生絲
    製品の販売
   〔Ⅲ〕市場
  〔三〕漆器附漆液
  〔四〕その他―鉄器・銅器等―
    鉄器
    銅器
第四章 宋代における都市・市場の発展
 第一節 宋代都市の経済的形態
  一 都市領域―都市農村間分業の変動―
   〔Ⅰ〕都市領域の拡大
   〔Ⅱ〕需給の中心地の分散
   〔Ⅲ〕行政上の編成と実態との乖離
  二 都市的土地所有―課税原理と都市の再編成―
   〔Ⅰ〕都市的土地所有
   〔Ⅱ〕都市課税の立地としての坊郭基地
  三 都市人ロ―都市市場の性格―
   〔Ⅰ〕都市人口
   〔Ⅱ〕職業的階層構成
 第二節 宋代江南の村市と廟市
  一 宋代江南の村市
   〔Ⅰ〕村市の名称
    虚市
    亥市
    痎市
    子牛會
    會
    山市
   〔Ⅱ〕村市の開催
   〔Ⅲ〕村市の景観
   〔Ⅳ〕村市の交易
   〔Ⅴ〕法的諸関係
   〔Ⅵ〕小括
  二 宋代江南の廟市
   福州報国寺の慶讃大會
   福州神光寺の孟蘭盆會
   紹興府開元寺の燈市
   蘇州崑山県の山神誕
   徽州婺源県の五通神の佛會
   衡州南嶽の嶽市
   羅浮山神虚観の洞天薬市
   開封相国寺の廟市
   永康軍崇徳廟市
   成都の薬市
   蚕市
   蛮市・蝋市・踏啼・踏揺
第五章 商業組織の発達
 一 仲買業の業種と槻能
  〔Ⅰ〕牙人の業種
  〔Ⅱ〕牙人の機能
 二 仲買問屋としての客店・邱店・停搨
  〔Ⅰ〕仲買問屋の普及
  〔Ⅱ〕仲買問屋の機能
 三 租税請負人
第六章 商人資本の諸性質
 第一節 商人資本の形成―宋代における福建商人の活動とその社会経済的背景―
  一 歴史的展望―福建の開発―
  二 産業上の諸変化―営利機会の増大―
  三 社会的諸変化―商人の発生―
  四 福建商人の活動
 第二節 商業経営の性格―幹運・経紀を中心に―
  一 幹運・経紀の起源
  二 家産管理人としての幹人
  三 商業経営者としての幹人・行銭・経商・経紀
  四 出資と経営
 第三節 商業的富の性格
  〔Ⅰ〕商業資本の集積
  〔Ⅱ〕大商と小商
  〔Ⅲ〕企業連合
  〔Ⅳ〕業務の連合
  〔Ⅴ〕資本の集中―連財合本―
  〔Ⅵ〕「投資」の対象
第七章 社会と商業
 第一節 消費の増大
  〔Ⅰ〕奢侈的消費とその大衆化
  〔Ⅱ〕大衆的消費の多様化
 第二節 農村における非農業的職種の増大
  〔Ⅰ〕職業分化の進展
  〔Ⅱ〕村落における非農業的職種の増大
 第三節 営利の意識
第八章 末代の力勝税―国家と商業の一関係―
 第一節 力勝とは何か
 第二節 内地関税・船舶税としての力勝税
 第三節 関税濫徴と力勝税
 第四節 日常品の流通と力勝税
総合索引
英文
Contents
English Summary
著者斯波義信 著
発行年月日1968年02月29日
頁数570頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-0719-3