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遺児における親との死別体験の影響と意義

病気遺児、自死遺児、そして震災遺児がたどる心的プロセス

定価: 4,180 (本体 3,800 円+税)
親と死別した子ども―遺児の心的体験を示した日本でも数少ない研究書。死別によって引き起こされる苦悩と、遺児が辿る個別性獲得のプロセスを詳細に検討する。

【著者略歴】
倉西 宏(くらにし ひろし)
1979年生まれ。
2003年 京都文教大学人間学部臨床心理学科卒業
2010年 京都文教大学大学院臨床心理学研究科博士後期課程単位取得退学
現 在 京都文教大学臨床心理学部臨床心理学科 講師
    あしなが育英会 学生寮カウンセラー
    博士(臨床心理学) 臨床心理士
目次を表示します。
序文(秋田 巌)
はじめに
第1章 本研究の問題と目的
 第1節 本研究の目的
 第2節 死別に関する先行研究
  2-1.死別の心理学的研究の始まり―Freudと精神分析における死別研究―
  2-2.死別による精神医学的・心理学的影響
  2-3.死別後に引き起こされる喪失対象・家族・他者との関係の変化とその影響
  2-4.死別後のプロセス
  2-5.死別の意味と人生への寄与
  2-6.死別後の援助に関する研究
  2-7.自殺による死別―自死遺族・自死遺児―
第2章 親との死別が引き起こす家族、他社、喪失対象との関係の変化
 第1節 目的
 第2節 方法
  2-1.調査協力者
  2-2.調査方法
  2-3.分析方法
  2-4.倫理的配慮
 第3節 結果
  3-1.調査協力者の概要
  3-2.「他者との関係の変化」のカテゴリー、概念、定義、バリエーション(語られた具体例)の一部、結果図
  3-3.「他者との関係の変化」の全体像(ストーリーライン)
 第4節 考察
  4-1.親との死別後に起こる他者との関係の変化
  4-2.死の共有によって生まれるつながり
  4-3.主体を支える喪失対象の存在
  4-4.再結合における「送り」と「迎え」の視点
  4-5.他者との違いと個の高まり
  4-6.親との死別で生まれる個別的存在性
 第5節 事例検討
 第6節 まとめ
第3章 遺児のセルフヘルプグループの意義とその心的プロセス
 第1節 目的
 第2節 方法
  2-1.調査協力者
  2-2.調査方法
  2-3.調査協力者の経験したSHGについて
  2-4.分析方法
  2-5.倫理的配慮
 第3節 結果
  3-1.調査協力者の概要
  3-2.「SHG参加体験」のカテゴリー、概念、定義、バリエーション(語られた具体例)の一部、結果図
  3-3.「SHG参加体験」の全体像(ストーリーライン)
 第4節 考察
  4-1.孤独からの解放
  4-2.SHGと宗教性
  4-3.治療者イメージの賦活と活力の獲得
  4-4.死別体験の再構築で見出される「残り続けるものへの気付き」
  4-5.「迎え」の視点から見たSHGにおける共通性と個別性
  4-6.語ることへの葛藤
  4-7.SHGの限界
 第5節 事例検討
 第6節 まとめ
第4章 遺児における死別体験の位置づけとその変化
 第1節 目的
 第2節 方法
  2-1.調査協力者
  2-2.調査方法
  2-3.分析方法
  2-4.倫理的配慮
 第3節 結果
  3-1.調査協力者の概要
  3-2.「死別体験の位置づけの変化」のカテゴリー、概念、定義、バリエーション(語られた具体例)の一部、結果図
  3-3.「死別体験の位置づけの変化」の全体像(ストーリーライン)
 第4節 考察
  4-1.遺児における死別体験の位置づけの変化
  4-2.死別体験の位置づけの変化における「状態」という視点
  4-3.「状態」を移行し、死別体験が「残り続ける」という在りかた
 第5節 事例検討
 第6節 まとめ
第5章 自死遺児が抱える死別体験の影響とその位置づけ
 第1節 目的
 第2節 方法
  2-1.調査方法と分析方法
  2-2.調査協力者
  2-3.倫理的配慮
 第3節 結果
  事例1
  事例2
  事例3
  事例4
 第4節 考察
  4-1.囚われと解放
  4-2.外傷性の記憶と意味の再構築
  4-3.自殺による死別のむずかしさ
  4-4.事例ごとの考察
 第5節 まとめ
第6章 阪神・淡路大震災遺児における震災と死別の影響とその意義
 第1節 目的
 第2節 方法
  2-1.調査協力者
  2-2.調査方法と分析方法
  2-3.倫理的配慮
 第3節 結果と考察
  3-1.調査協力者
  3-2.事例とその考察
  3-3.総合考察
第7章 総合的考察と今後の課題
 第1節 本研究のまとめ
 第2節 総合的考察
  2-1.遺児であることからくる「他者との違い」と個別性―自分だけのものとして残り続けるもの―
  2-2.死という「存在領域」の「移行」―「送り」と「迎え」
 第3節 今後の課題
文献
おわりに
著者倉西宏 著
発行年月日2012年12月15日
頁数238頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1955-4