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リハビリテーションにおける認知行動療法的アプローチ

技術訓練と個人心理療法と構造化されたグループカウンセリングの統合

定価: 7,150 (本体 6,500 円+税)
リハビリテーション心理学を中心に、中途視覚障害者と高次脳機能障害者に対する実践的な研究をもとに、認知行動療法的アプローチによる心理的支援モデルを提唱。

【著者略歴】
上田幸彦(うえだ ゆきひこ)
沖縄国際大学総合文化学部人間福祉学科教授、心理学博士、臨床心理士
1961年 熊本生まれ
1985年 早稲田大学社会科学部卒業
1989年 早稲田大学大学院修士課程心理学専攻修了
1991年~ 国立福岡視力障害センター生活指導・心理判定専門職
1999年 中央競馬馬主社会福祉財団海外研修
2002年 視力障害センター退職、久留米大学大学院博士後期課程入学。福岡市立心身障害福祉センター(高次脳機能障害モデル事業拠点病院)非常勤臨床心理士
2005年 久留米大学博士後期課程単位取得満期退学
2009年 久留米大学より博士(心理学)
目次を表示します。
まえがき(久留米大学教授 津田 彰)
第1章 リハビリテーションにおける心理的支援
 第1節 リハビリテーションにおける心理学の位置づけ
 第2節 リハビリテーション心理学の特徴
 第3節 概念の定義
  1)リハビリテーション
  2)グループカウンセリング
  3)個人心理療法
  4)技術訓練
  5)障害の受容
第2章 中途視覚障害者の心理社会的問題と介入法―主な理論・研究と結果―
 第1節 視覚障害の現状とその原因
 第2節 心理社会的問題
  1)人口統計学的変数・視力の程度・パーソナリティと適応の関連
  2)視覚障害に対する感情的・心理的反応の個人の要因
   a.精神分析的・心理力動的説明
   b.段階モデルによる説明
   c.パーソナリティ特性と適応の関連
  3)社会の要因
  4)個人と社会双方の要因
  5)他者との相互作用による偏見
 第3節 介入法
  1)個人心理療法
   a.悲嘆療法
   b.認知面への介入 その1 訓練効果に対する認知
   c.認知面への介入 その2 非合理的信念
  2)グループカウンセリング
  3)技術訓練と技術訓練を促進するための介入
   a.技術訓練の心理社会的効果
   b.技術訓練における不安・緊張に対する介入
  4)システムへの介入
 第4節 要約と結論:視覚障害者の社会的問題への介入の必要性
第3章 高次脳機能障害者の心理社会的問題と介入法
 第1節 高次脳機能障害の原因と心理社会的問題
 第2節 高次脳機能障害者に対する介入法
  1)認知訓練
   a.注意障害に対する認知訓練
   b.視空間認知障害に対する認知訓練
   c.記憶障害に対する認知訓練
   d.遂行機能障害に対する認知訓練
  2)認知障害への多面的介入
  3)包括的・全体論的認知リハビリテーション
 第3節 要約と結論:他者と自己に対する認知的要因を考慮した実証的介入法の重要性
第4章 本研究の目的と構成
 第1節 本研究の目的
 第2節 本研究の結果から明らかにされる新しい視点
  1)技術訓練により得られる心理学的効果と得られない効果
  2)技術訓練と認知行動療法的アプローチによる効果の違い
  3)中途視覚障害者が抱える心理的問題の本質
  4)他の障害者への汎用の可能性と中途障害者に対する心理学的援助モデル
 第3節 本研究の構成
第5章 中途視覚障害者の技術訓練による心理的変化(第1研究)
 第1節 視力喪失による打撃
 第2節 研究1
  1)方法
  2)結果
  3)考察
 第3節 研究2
  1)方法
  2)結果
  3)考察
第6章 技術訓練継続困難者に対する個人心理療法―糖尿病を持つ中途視覚障害者への心理的支援―(第2研究)
 第1節 糖尿病を持つ視覚障害者のストレス
 第2節 方法 
 第3節 面接過程
 第4節 考察
  1)中途視覚障害者の抑うつ
  2)自律訓練法の意義
  3)心理的援助の要点
第7章 中途視覚障害者に対する認知行動療法的アプローチ―構造化されたグループカウンセリングと個人心理療法の併用―(第3研究)
 第1節 中途視覚障害者の心理的苦痛とそれに対する介入
 第2節 方法
  1)参加者
  2)尺度
  3)構造化されたグループカウンセリング
  4)個人心理療法
  5)データ分析
 第3節 結果
  1)技術訓練と個人心理療法を併用しないグループカウンセリングの効果
  2)心理的苦痛の強い者における個人心理療法を併用した場合の構造化されたグループカウンセリングの効果
 第4節 考察
第8章 中途視覚障害者への個人認知行動療法―障害者イメージの修正と自己への統合―(第4研究)
 第1節 視覚障害者の個人心理療法
 第2節 方法
  1)事例の概要
 第3節 面接過程
 第4節 考察
  1)O氏の中にあった認知の特色と障害者イメージ・自己イメージ
  2)O氏の認知に変化をもたらしたもの
  3)構造化されたグループカウンセリングに個人心理療法を併用させる意義
第9章 高次脳機能障害者に対する注意力訓練の効果(第5研究)
 第1節 脳損傷者の認知障害
 第2節 対象者と方法
  1)参加者  
  2)実験計画
  3)訓練実施場所
  4)注意力訓練材料
  5)注意力訓練手続き
  6)評価指標
  7)統計的手法
 第3節 結果
  1)注意訓練の効果
  2)注意訓練効果の持続
 第4節 考察
  1)注意訓練による注意機能の改善
  2)注意訓練による心理的変化
  3)訓練効果の持続
  4)本研究の限界と意義
第10章 高次脳機能障害者に対する認知行動療法的アプローチ―構造化されたグループカウンセリングと個人心理療法の統合―(第6研究)
 第1節 高次脳機能障害者のリハビリテーションの困難性
 第2節 対象者と方法
  1)心障センターにおけるリハビリテーションプログラム 
   a.個人心理療法
   b.小グループの認知訓練と構造化されたグループカウンセリング
   c.大グループの認知訓練と構造化されたグループカウンセリング
   d.家族の参加
  2)効果測定に使用した変数
  3)統計的手法
  4)倫理的配慮
 第3節 結果
  1)相関係数
  2)カテゴリカル回帰分析
  3)プログラムの効果
  4)全IQの改善と他の指標の相関
 第4節 考察
  1)神経心理学的変数と他の変数の関連
  2)認知行動療法的アプローチによるリハビリテーションプログラムの効果
  3)本研究の限界と今後の課題
第11章 構造化されたグループカウンセリングにおける認知的要素―グループカウンセリングにおける高次脳機能障害者の回復過程の検討―(第7研究)
 第1節 高次脳機能障害者の認知リハビリテーションの難しさ
 第2節 対象と方法
  1)症例
  2)神経心理学的評価
  3)治療構造
  4)応用行動分析の方法
  5)応用行動分析の手続き
  6)倫理的配慮
 第3節 結果
  1)治療構成要素の変化
  2)神経心理学的テストなどの変化
 第4節 考察
第12章 総合的考察
 第1節 本研究のまとめ
 第2節 リハビリテーションにおける認知行動療法的アプローチの有効性
  1)構造化されたグループカウンセリングと個人心理療法を併用することの意義
  2)中途視覚障害者に対する認知行動療法的アプローチモデル
  3)高次脳機能障害者に対する認知行動療法的アプローチモデル
  4)リハビリテーションにおける認知行動療法的アプローチによる心理的支援モデル
 第3節 本研究の制約と将来の展望
  1)本研究の制約
  2)将来の展望
 第4節 結語
引用文献
本稿に収容した研究論文
謝辞
著者上田幸彦 著
発行年月日2011年12月15日
頁数222頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1880-9