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生活分析的カウンセリング法の開発に関する研究

定価: 7,700 (本体 7,000 円+税)

本書は無気力・無意欲的な大学生などが、意欲的に学業に取り組み、目標を達成できるように開発した「生活分析的カウンセリング法(Life Analytic Counseling法:略称LAC法)」についての理論と実践の論考である。LAC法は著者が長年携わってきた学生相談を基に独自に開発した技法で、無気力や学業不振といった学生あるいは不登校の中学生・高校生、更には社会人へと実施され、多くの実績をあげている。本書はLAC法と関連諸カウンセリング技法も念頭に入れ、実践例を多く採り入れてわかりやすい解説を試みている。

【著者紹介】
松原達哉(まつばら たつや)
東京教育大学大学院博士課程教育心理学専攻修了
筑波大学大学院博士課程心理学研究科教授、立正大学大学院博士課程心理学研究科教授を経て、
現在 東京福祉大学学長
博士(心理学)・筑波大学
※略歴は刊行当時のものです※
目次を表示します。
はじめに
第1部 スチューデントアパシーに関する先行研究
 1章 スチューデントアパシーとは
  1-1 Waltersらの定義と外国における初期の研究
  1-2 日本における初期の研究
  1-3 スチューデントアパシーについての諸概念
 2章 スチューデントアパシーの分類
  2-1 Waltersの分類
  2-2 山田の分類
  2-3 笠原らの分類
  2-4 土川の分類
  2-5 松原の分類
 3章 青年期の特徴とカウンセリング
  3-1 青年期の心理的特徴
  3-2 青年を取り巻く社会的諸問題
  3-3 青年期の問題
  3-4 青年期のためのカウンセリング技法の検討
 4章 大学生の問題に対処するためのカウンセリング
  4-1 現代社会における学生の特徴
  4-2 大学生の問題対処に適したカウンセリング
  4-3 スチューデントアパシーの発症の契機
  4-4 大学生の5月病とスチューデントアパシーの学生との関係
 5章 スチューデントアパシー発症の契機と症状
  5-1 山田の発症の契機の研究
  5-2 状態像
  5-3 アパシー症状
 6章 スチューデントアパシー学生の性格特徴
  6-1 受身的
  6-2 強迫的
  6-3 深刻さの欠如
  6-4 回避的
  6-5 非反省的
  6-6 非活動的
  6-7 時間感覚の希薄化
  6-8 人間関係の欠如
  6-9 異性の友人が少数
 7章 スチューデントアパシーの治療上の問題点
  7-1 援助指導の困難性と指導法
  7-2 親子カウンセリングとアルバイト治療
  7-3 根気強く継続面接と合宿セミナー
  7-4 来談者中心療法的アプローチ
  7-5 一般的なカウンセリングの対応
  7-6 スチューデントアパシー学生のカウンセリングの困難性
  7-7 スチューデントアパシー学生へのカウンセリングには独自性が必要
第2部 スチューデントアパシー学生のためのカウンセリング法の試行
 1章 スチューデントアパシー学生への試行錯誤
  1-1 先輩の甘い言葉にのって欠席がちになる学生
  1-2 全く理解できなくなった科目は次年度に再履修を
  1-3 大学院生や助手の人に補助願う
  1-4 専攻学科を変更させ,やさしい興味もあり選択可能な学科に転学部
  1-5 アパシーは理工系にやや多いが,興味のある文系に進路変更するのも一方法
  1-6 興味と能力があれば,学習法の指導を行う
  1-7 試験科目の単位のとり方の工夫
 2章 生活分析的カウンセリング法の具体的方法の開発
  2-1 行動分析的カウンセリング法(Behavior Analytic Counseling:BAC)から出発
  2-2 Life Lineによって過去・現在・未来を考える
  2-3 やらねばならないこと・やるべきこと・やりたいことを青ラベルに具体的に書いてLAC用紙に貼る
  2-4 やらねばならないこと,やりたいことの〆切順に配列する
  2-5 BAC法を体系化する
  2-6 BAC法からLAC法に名称を変更
  2-7 LAC法に対する改善の経過
第3部 生活分析的カウンセリング法(LAC法)の開発と発展
 1章 生活分析的カウンセリング法の開発
  1-1 生活分析的カウンセリング法の具体的方法
  1-2 生活分析的カウンセリング法の限界
  1-3 スチューデントアパシーのカウンセリング効果についての測定基準
 2章 生活分析的カウンセリング法と他のカウンセリング技法との比較
  2-1 来談者中心療法の特徴とLAC法との比較
  2-2 行動療法の特徴とLAC法との比較
  2-3 認知行動療法の特徴とLAC法との比較
  2-4 短期療法の特徴とLAC法との比較
  2-5 精神分析療法の特徴とLAC法との比較
  2-6 日本の心理療法の特徴とLAC法との比較
  2-7 諸カウンセリングの技法との比較
第4部 生活分析的カウンセリング法のアパシー学生対象への実践的研究
 1章 生活分析的カウンセリング法のアパシー学生の適用
  1-1 「A学内サークル活動型」への適用
      〔事例研究A1〕 学習意欲を喪失し,音楽サークルに逃避している理系大学1年生のA君
      〔事例研究A2〕 テニスクラブに熱中し,学業怠慢になったB君
  1-2 「B学内外サークル・趣味志向型」への適用
      〔事例研究B〕 マージャン・演劇・パチンコに熱中し,卒業を断念していたC君
  1-3 「C学外趣味志向型」への適用
      〔事例研究C1〕 バイクで東奔西走し,学業放棄したD君
      〔事例研究C2〕 趣味の学問に凝り,本業の情報処理の修士論文を書けない院生E君
  1-4 「D学外副業学内サークル活動型」への適用
      〔事例研究D〕 飲食店のアルバイトと競馬に凝り,吹奏楽団所属し,学業を回避したF君
  1-5 「E学外副業志向型」への適用
第5部 生活分析的カウンセリング法の適用の拡大
 1章 中学生への適用
  1-1 不適応中学生の増加
  1-2 生活意欲,学習意欲向上のためのカウンセリングの必要性
  1-3 LAC法を中学生向きに改善
      〔事例研究1〕 英語と数学が不得意の高校受験を控えている中学3年生I君
 2章 高校生への適用
  2-1 高校教育現場の生徒指導上の問題
  2-2 高校生対象の適応領域
  2-3 具体的な方法
      〔事例研究1〕 父を病気で亡くして無気力になった高2のJ君
      〔事例研究2〕 小柄で肥満気味,容貌が気になる高3のKさん
      〔事例研究3〕 1日24時間あっても足りなく,完璧主義で,イライラし受験勉強の能率があがらない高1のL君
      〔事例研究4〕 万引き,暴走,夜遊び,喧嘩などをしていた高2非行少年M君
 3章 大学受験生への適用
  3-1 大学受験生の心理
      〔事例研究1〕 世話好きで,部活に熱中し,勉強に集中できない法学部志望のN君
      〔事例研究2〕 1浪で気が焦るが能率が上がらず,夏期講座に不安をもつ国際関係学部志望のOさん
      〔事例研究3〕 不本意入学のB大を休学し,国立大学工学部再受験のP君
  3-2 考察
  3-3 おわりに
 4章 一般大学生への適用
  4-1 軽い適応障害のある学生への適用
  4-2 対人関係に悩む学生への適用
      〔事例研究1〕 失恋で悩み卒論,就職を放棄しようとした女子学生Qさん
  4-3 劣等感に悩む学生への適用
      〔事例研究2〕 作家を夢みつつ飲酒に溺れ,卒業放棄を考えていた女子学生Rさん
 5章 留学生・大学院生への適用
  5-1 多忙な留学生・大学院生への生活コントロールと院生からの助言
      〔事例研究1〕 中国からの留学生SさんのLAC法の効果と反省
      〔事例研究2〕 修論と教員採用で追われる院生T君
      〔事例研究3〕 教職をとりながら多忙な大学院生活を送るU君
      〔事例研究4〕 主婦であり教師であり院生であるVさん
      〔事例研究5〕 初めてLAC法を実施した大学院生X君の反省と批判
      〔事例研究6〕 テスト前にLAC法を実施した学生Y君の反省
      〔事例研究7〕 院生Z君がLAC法調査後の反省
第6部 一般大学生及び大学院生に対する集団利用後の反応分析
 1章 集団利用後の反応分析
  1-1 目的
  1-2 方法
  1-3 結果
  1-4 考察
第7部 要 約
第8部 考 察
 1 LAC法を用いることで,カウンセリングの目標が視覚的に把握しやすくなり,より明確になる。
 2 Rogers理論の長所を取り入れている技法である。来談者の自主性を尊重し,援助者との暖かい人間関係づくりを目指している。
 3 行動療法の系統的脱感作法を参考にしている技法である。
 4 日本で開発された内観法や森田療法と共通した観点を有している。
 5 楽しく出来るカウンセリング法である。
 6 スチューデントアパシーの問題解決に有効な技法である。
 7 LAC法はNEET,フリーター,ひきこもり,不登校生徒にも効果がある。
 8 LAC法を用いると問題解決後が安定する(予後が良い)。

引用文献
参考文献
資 料
謝 辞
著者松原達哉 著
発行年月日2011年01月31日
頁数300頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1827-4