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関係発達論から捉える死

定価: 7,700 (本体 7,000 円+税)
死が人が生きていく過程においていかなる意味を持つのか。緩和医療の現場で死に逝く人々との対話を通して、関係発達論の立場から死生の意味に新たな視点を提案する。

【著者略歴】
近藤(有田)恵(こんどう・ありた・めぐみ)
1977年 三重県生まれ
2000年 聖心女子大学文学部教育学科 卒業
2003年 京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程 修了
2007年 同大学院博士後期課程 修了
人間・環境学博士

現在 京都大学こころの未来研究センター研究員
目次を表示します。
序章 死生への問い
 第1節 経験から死を考える―看取る者と看取られる者―
  第1項 身近な他者の死を通して―遺される者としての死―
  第2項 自分も死ぬ存在だということ―看取られる者としての死―
  第3項 素朴な問いから学問の問いへ
 第2節 本書の構成
第1章 死を学問的に扱うということ―先行研究の批判的検討―
 はじめに
 第1節 死を扱う学問としてのThanatology
  第1項 Thanatologyの学際的側面
   (1)肉体としての死
   (2)時間的経過の中での死
   (3)概念としての死
  第2項 人称的側面
 第2節 死を扱う学問としての生涯発達心理学
  第1項 死の理解
   (1)概念としての死
   (2)体験としての死
  第2項 まとめ
 第3節 死の臨床研究再考
  第1項 Kübler-Rossに始まる死の臨床研究
  第2項 Saundersに始まる死の臨床
  第3項 日本における死の臨床研究
  第4項 まとめ
 第4節 人が生きる過程において死を捉える視点の再考
  第1項 ThanatologyからDeath and Life Studiesへ死生学の転換
  第2項 死を考える視点としての関係発達論
  第3項 関係性の中で死を考える
第2章 方法論
 はじめに
 第1節 「関与・観察」とは
  第1項 現場に臨むということ
  第2項 協力者との関係
  第3項 記述について
  第4項 まとめ
 第2節 従来のインタビュー研究
  第1項 インタビュー研究概念
  第2項 インタビュー研究における言葉
 第3節 「関与・観察的対話」とは
  第1項 言葉について
   (1)〈語る主体〉と〈聴く主体〉の間にある言葉
  第2項 発話言語を扱うことへの新たな視点
  第3項 リアリティとアクチュアリティ
  第4項 研究者の視点について
   (1)苦痛共感的な目
   (2)残酷な目
  第5項 現場における研究者
  第6項 記述について
   (1)体験と記述における「関与・観察的対話」
   (2)事例に即して
   (3)記述における研究者の複眼性について
 第4節 まとめ
第3章 事例
 第1節 癌という病と緩和医療科という場所
  第1項 癌という病
  第2項 ホスピス・緩和ケア
 第2節 事例の背景
  第1項 対話の背景
   (1)場所:N病院 緩和医療科
   (2)私の立場
   (3)協力者
  第2項 「関与・観察的対話」の手続き
  第3項 事例の提示と分析
  第4項 倫理的配慮
 第3節 細川桔梗さん(仮名)
  第1項 協力者紹介
  第2項 私が出会う前の桔梗さん
  第3項 私が出会った桔梗さん
  第4項 桔梗さんとの対話
  第5項 総合考察
   (1)身内の生と死(現家族を超えた有形・無形のものとの繋がり)
   (2)死に至る病と向き合うということ
   (3)生きるということ
 第4節 田中すみれさん(仮名)
  第1項 協力者紹介
  第2項 私が出会う前のすみれさん
  第3項 私が出会ったすみれさん
  第4項 すみれさんとの対話
  第5項 総合考察
   (1)家族の役割
   (2)死後の自己存在について
   (3)疼痛緩和について
   (4)相互性について
 第5節 石塚ゆうさん(仮名)
  第1項 協力者紹介
  第2項 私が出会う前のゆうさん
  第3項 私が出会ったゆうさん
  第4項 ゆうさんとの対話
  第5項 総合考察
   (1)死と生の狭間の時間
   (2)緩和医療科が持つ意味
 第6節 鈴木翔さん(仮名)
  第1項 協力者紹介
  第2項 私が出会う前の翔さん
  第3項 私が出会った翔さん
  第4項 翔さんとの対話
  第5項 総合考察
   (1)翔さんの基準・価値観から見た生の質
   (2)遺される者(医療者,私)が持つ基準と価値観からみた生の質
   (3)他者との関係性における翔さんの死生
第4章 生と死の諸相
 はじめに
 第1節 それぞれの生から立ち表れてくるもの
  第1項 価値存在の転換
  第2項 時間存在の転換
  第3項 社会存在の転換
  第4項 死後の存在という存在の転換
 第2節 関係性の中で死を考える
 第3節 緩和医療科という場で生きるということ
 第4節 総合考察
終章 最終考察
 第1節 死に逝く過程を生きる人々の生のあり様
 第2節 関係性の中で死を考えるということ
 第3節 関与・観察的対話
 第4節 関係発達論から捉える死
 第5節 今後の展望
あとがき
引用文献
著者近藤恵 著
発行年月日2010年02月28日
頁数246頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1778-9