博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

「ドラマ」がもつ心理臨床学的意味に関する研究

定価: 11,000 (本体 10,000 円+税)
心理臨床学の立場から人間の内的世界の表現を「ドラマ」としてとらえ、「ドラマ」を法則定立的、個性記述的に検討し、その生起のメカニズムと意味を論じた新著。

【著者略歴】
岡本直子(おかもと なおこ)
1970年 京都市に生まれる
1993年 国際基督教大学教養学部語学科卒業
外資系企業勤務を経て
1999年 京都大学大学院教育学研究科臨床教育学専攻修士課程修了
2002年 京都大学大学院教育学研究科臨床教育学専攻博士後期課程単位取得
2003年 日本学術振興会特別研究員(PD)
2004年 沖縄国際大学総合文化学部専任講師
2005年 京都大学大学院教育学研究科臨床教育学専攻博士後期課程修了、博士(教育学)
沖縄国際大学総合文化学部助教授
現在  立命館大学文学部准教授
目次を表示します。
刊行に寄せて

第1部 問題の所在

はじめに
第1章 内的世界とその表現―「ドラマ」という視点の導入
 第1節 内的世界とその表現に関する従来の考え 
 第2節 本研究における「ドラマ」という語の意味
 第3節 「ドラマ」に表現されるものと表現のされ方
 第4節 「ドラマ」が表現される意味
第2章 「ドラマ」を生み出しやすい条件
 第1節 「クライエント」と「セラピスト」という役割
 第2節 即興性
第3章 本研究の目的とその手がかり 
 第1節 本研究の目的
 第2節 「ドラマ」をとらえる手がかり 
第1部のまとめ

第2部 調査・基礎的研究

第1章 「ドラマ」の特徴と気分との関連性に関する研究
 第1節 問題と目的
 第2節 方法
 第3節 結果
 第4節 考察
 第5節 結論
第2章 「ドラマ体験」と「ドラマ」前後の気分との関連性に関する研究
 第1節 問題と目的
 第2節 方法
 第3節 結果
 第4節 考察
 第5節 結論
第3章 「自己イメージ」,「キャラクターイメージ」と「ドラマ体験」との関連性に関する研究
 第1節 問題と目的
 第2節 方法
 第3節 結果と考察
 第4節 結論
第2部のまとめ

第3部 継時的調査に基づく事例的研究

第1章 キャラクターに肯定的イメージと否定的イメージを投影し,両イメージを自己に統合していった事例1
 第1節 事例1の概要
 第2節 「ドラマ」と内省の経過            
  1 初期(#1~#3):日常では憚(はばか)られることを表現した時期
  2 中期(#4~#7):否定的側面と肯定的側面を表現した時期
  3 終期(#8~#10):否定的側面と肯定的側面が統合された時期
 第3節 事例1の考察
  1 キャラクターを通しての体験
  2 予想外の表現の意味
  3 キャラクターという仮面,「ドラマ」の架空性とそれによる気づき
  4 見守り手との関係性
  5 総集編的な「ドラマ」の意味
  6 心理臨床のセッションとしての視点から
第2章 「ドラマ」と適度な距離をとり,過去の受け入れと現在の確認を行った事例2
 第1節 事例2の概要
 第2節 「ドラマ」と内省の経過 
  1 初期(#1~#4):見守り手の存在を意識しながら表現した時期
  2 中期(#5~#7):日常と非日常を行き来し,即興性を楽しみ,普段思っていることを表現した時期
  3 終期(#8~#10):非日常性の強い「ドラマ」を見守り手と共有した時期
 第3節 事例2の考察
  1 「ドラマ」から離れた言葉や笑いの意味
  2 見守り手との関係性
  3 「ドラマ」に託された思い
  4 「ドラマ」で生じたイメージと日常の出来事との重なり
  5 心理臨床のセッションとしての視点から
第3章 「ドラマ」の世界を探索し,未完の仕事を行った事例3
 第1節 事例3の概要
 第2節 「ドラマ」と内省の経過
  1 初期(#1~#4):形や動きにこだわりながら,変容がテーマの「ドラマ」を表現した時期
  2 中期(#5~#7):自己の重要なテーマを表現した後,小休止をとった時期
  3 終期(#8~#10):出会い,別れ,旅立ちの時期
 第3節 事例3の考察
  1 Eさんの表現スタイルの特徴
  2 「ドラマ」に表現されたもの
  3 キャラクターについて
  4 見守り手との関係性
  5 「ドラマ」で生じたイメージと日常の出来事との重なりについて
  6 心理臨床のセッションとしての視点から 
第3部のまとめ

第4部 総合考察

第1章 「ドラマ」が生じるメカニズム
第2章 「ドラマ」を表現する意味
第3章 「私以外」の役割による「ドラマ」の意味
第4章 「ドラマ」を巡るクライエントとセラピストとの関係性について
第5章 「ドラマ」の背後に存在する心性
第4部のまとめ

第5部 本研究の方法論的可能性についての考察と今後の課題

第1章 心理臨床学の方法論としての,継時的調査による事例的研究
第2章 ミニチュアの舞台と人形を用いた表現の治療的可能性
今後の展望
第5部のまとめ

引用文献
初出一覧
巻末付録
謝辞―私の「ドラマ」に関わってくださった皆様に―
著者岡本直子 著
発行年月日2008年02月29日
頁数380頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1671-3