博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

老年認知心理学への招待

定価: 2,750 (本体 2,500 円+税)
高齢化社会に直面する現在、認知症などの老年問題は緊急度の高い課題である。本書は日本女子大学のプロジェクト「Cognitive Gerontologyに基づく高齢者の高次脳機能の開発」をもとに、研究編では老年学研究を概観し、実践編では回想法や音楽療法などの実際をまとめる。基礎研究と臨床の現場をつなげることを目指した書である。

【著者紹介(執筆順)】
日本女子大学 Cognitive Gerontology研究会
須賀哲夫(すが てつお)
小倉啓子(おぐら ひろこ)
阿部洋子(あべ ようこ)
鵜養美昭(うかい よしあき)
川原ゆり(かわはら ゆり)
酒井博美(さかい ひろみ)
中川佳子(なかがわ よしこ)
宇野儀子(うの のりこ)
小山高正(こやま たかまさ)
久保(川合)南海子(くぼ(かわい) なみこ)
望月登志子(もちづき としこ)
目次を表示します。
まえがき(研究会)
第1部 研究編
第1章 総説(須賀哲夫)
 1-1 はじめに
 1-2 老年科学の背景にある諸問題
 1-3 老年期の生活圏縮小の諸問題
第2章 認知症患者の自伝的記憶の世界―繰り返し語る‘場所’からの
    アプローチと「思い出地図」―(小倉啓子)
 2-1 はじめに 認知症患者の自伝的記憶
 2-2 方法
 2-3 結果
 2-4 考察
 2-5 今後の課題
第3章 老人性痴呆疾患治療病棟における「回想法」の実施とその効果
    ―テーマの選定を考える―(阿部洋子)
 3-1 はじめに
 3-2 実施方法
 3-3 結果および考察
 3-4 今後の検討課題
第4章 健常高齢者に対する回想法の有効性の検討―生理心理学と
    臨床心理学との協働実験の試み―(鵜養美昭・川原ゆり)
 4-1 回想法による高齢者の主観的幸福感
 4-1-1 はじめに
 4-1-2 方法
 4-1-3 結果
 4-1-4  臨床心理学的考察
 4-2 回想法による前頭前野の活性化について
 4-2-1 はじめに
 4-2-2 実験方法および手続き
 4-2-3 前頭前野の脳波測定
 4-2-4 面接内容
 4-2-5 結果と考察
 4-2-6 まとめ
第5章 高齢者における音楽聴取および歌唱時による
    前頭前野の活性化について(川原ゆり・酒井博美)
 5-1 はじめに
 5-2 調査方法
 5-3 結果
 5-4 考察
 5-5 まとめ
第6章 いきいきと幸せな老齢期を過ごすために
    ―高齢者の認知能力を活用した脳の活性化―(中川佳子)
 6-1 はじめに
 6-2 高齢者の文法能力の発達的変化
 6-3 脳血流量変化からみた日本語文法処理における大脳皮質の機能局在性
 6-4 いきいきと幸せな老齢期を過ごすために
第7章 高齢者の言語能力―J.COSSを用いて―(宇野儀子)
 7-1 はじめに
 7-2 調査
 7-3 考察
第8章 高齢者にとって、同居は癒しの場となるのか
    ―老齢ザル研究の現場から―(小山高正)
 8-1 はじめに
 8-2 老年期における本当の悩み
 8-3 老齢ザルは若者と同居をすることで何を感じたか
 8-4 健康で生き生きとした老年期を過ごす
第9章 老化によって失うものと現れてくること
    ―老齢ザルの認知研究から―(久保(川合)南海子)
 9-1 はじめに
 9-2 老化研究でなぜサルか?
 9-3 〈実験1〉 老齢ザルの学習短期記憶における行動方略
 9-4 〈実験2〉 老齢ザルにおける学習セットの形成と長期記憶
 9-5 〈実験3〉 老齢ザルのワーキングメモリにおける付加手がかりの効果
 9-6 加齢にともなって低下する能力、それを補う技能
第10章 高齢者における視覚の基礎機能と感情の認知(望月登志子)
 10-1 はじめに
 10-2 高齢者における知覚の基礎機能
 10-3 感情情動の脳内機構
 10-4 高齢者による感情の視覚的表出と認知
 10-5 高齢者と各種脳疾患者による視聴覚情動情報の認知
 10-6 おわりに

第2部 実践編

第1章 認知症高齢者に対する「回想法」の実際
    ―集中力、援助行動、自尊心―(阿部洋子)
 1-1 はじめに、
 1-2 驚くべき集中力
 1-3 自発的な援助行動
 1-4 自尊心自尊感情を揺さぶることの大切さ
第2章 植物を用いた老人病院入院患者との日常的関わり
    ―自然の素材を生かす―(小倉啓子)
 2-1 はじめに一話相手をする時のツール
 2-2 方法
 2-3 患者の反応
 2-4 今後の課題
第3章 高齢者を対象とした文法ヨ里解力の評価―J.COSSの使い方―(中川佳子)
 3-1 文法理解力を評価する目的
 3-2 J.COSS第三版の特徴
 3-3 高齢者におけるJ.COSS第三版の実施方法
 3-4 J.COSS第三版の実施にあたっての諸注意
第4章 高齢者の音楽療法
    ―書楽の諸要素と照らし合わせて―(酒井博美)
 4-1 はじめに
 4-2 音楽の要素
 4-3 高齢者の音楽療法における主な効果
 4-4 高齢者における音楽療法の方法
 4-5 実践における留意点

著者日本女子大学 Cognitive Gerontology研究会 編
発行年月日2006年10月31日
頁数264頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1581-5