博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

状況の認知的枠組みとしての自体軸

定価: 8,250 (本体 7,500 円+税)
本書は、動作の観点から垂直や包囲光配列の流動を知覚する際の基準として機能する自体軸について検討することにより、臨床と実験との統合を試みたものである。

【著者略歴】
干川隆(ほしかわ たかし)
1959年 群馬県に生まれる
1989年 九州大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学
1989年 九州大学教育学部助手(~1990年)
1993年 国立特殊教育総合研究所研究員
1995年 国立特殊教育総合研究所主任研究官
1996年 ミネソタ大学客員教授(~1997年)
2000年 熊本大学教育学部助教授
2003年 博士(人間環境学)学位取得(九州大学)
目次を表示します。
序文
第1部 見ることと動くことの相互作用
第1章 表象と外部情報の関連からみた知覚と行為との相互作用
 1.はじめに
 2.中枢制御モデル
 3.中枢制御モデル批判
  1)ベルンシュタイン問題
  2)生態学的アプローチ
 4.筋肉シナージによるモデル
 5.システムアプローチ
第2章 組織化としての経験
第3章 自体軸に関する問題
 1.知覚と行為の表象の問題
 2.自体軸の概念
  1)成瀬による自体軸の定義
  2)成瀬による自体軸の意義と問題
 3.自体軸の定義と意義
  1)状況により使い分けられる自体軸の機能の検討
  2)知覚と直立姿勢との関連
  3)行為主体・知覚主体の想定
  4)臨床的知見と実験的知見との融合
 4.自体軸の組織化の2つの過程
第4章 自体軸の組織化の障害としての脳性まひ
 1.自体軸の組織化の障害
  1)反射制御から自体軸へ
  2)脳性まひ児における自体軸の組織化
 2.知覚との関連における自体軸の組織化の障害
 3.自体軸の組織化を促す動作法
第5章 本論文の目的
 1.本論文の目的
 2.垂直の知覚に及ぼす直立姿勢の影響に関する研究
  1)垂直の知覚に関する研究展望
  2)方法論上の問題
 3.直立姿勢に及ぼす光学的流動の影響に関する研究
  1)ベクションに関する研究動向
  2)直立姿勢に及ぼす光学的流動に関する研究動向
  3)これまでの研究の問題点
  4)障害児を被験者とした光学的流動の身体動揺に及ぼす影響に関する研究
第6章 本論文の構成
 1.垂直の知覚に及ぼす直立姿勢の影響
 2.直立姿勢に及ぼす光学的流動の影響

第2部 垂直の知覚に及ぼす直立姿勢の影響に関する研究
第1章 頭を傾けたときの垂直の知覚
 1.垂直の視知覚と触知覚の差異(第1実験)
  1)問題
  2)方法
  3)結果と考察
 2.垂直の表出と認知の2つの過程(第2実験)
  1)問題
  2)方法
  3)結果と考察
 3.2つの過程と動作空間の違い(第3実験)
  1)問題
  2)方法
  3)結果と考察
 4.表出方法としての手による影響(第4実験)
  1)問題
  2)方法
  3)結果と考察
第2章 垂直知覚に及ぼす支持面と教示の影響(第5実験)
 1.問題
 2.方法
 3.結果
 4.考察
第3章 脳性まひ児の垂直知覚に及ぼす動作法の効果(第6実験)
 1.問題
 2.方法
 3.動作法の経過
 4.結果
  1)垂直判断
  2)重心の動揺
 5.考察
  1)垂直判断と重心動揺との関連
  2)重心動揺と動作課題との関係

第3部 直立姿勢に及ぼす光学的流動の影響に関する研究
第1章 身体動揺に及ぼす光学的流動の影響(1)(第7実験)
 1.問題
 2.方法
 3.結果
  1)試行間での順応過程
  2)立位姿勢を直立に維持するための方略
 4.考察
  1)傾く部屋により引き起こされる身体動揺
  2)傾く部屋と同一方向になぜ身体が揺れるのか
  3)方略と順応パターンとの関連
第2章 身体動揺に及ぼす光学的流動の影響(2)(第8実験)
 1.問題
 2.方法
 3.結果
  1)2つの条件群での試行間の順応パターン
 4.考察
  1)教示による順応パターンの違い
  2)アフォーダンスと被験者の方略との関係
第3章 身体動揺に及ぼす光学的流動の影響(3)(第9実験)
 1.問題
 2.方法
 3.結果
  1)教示の違いによる傾く部屋の身体の揺れへの影響
  2)動作法の前後での傾く部屋の身体の揺れへの影響
  3)主観的な引き込まれる感じの変化
  4)動作法の前後での身体の操作性の変化
 4.考察
  1)傾く部屋によって引き起こされる身体の揺れと教示との関連
  2)動作法によって何が変わったか
  3)第9実験の結果と先行研究の知見との関連
第4章 脳性まひ児を被験者とした光学的流動による身体動揺への影響(第10実験)
 1.問題
 2.方法
  1)動作法による対応
  2)傾く部屋の身体動揺への影響の測定
 3.経過と結果
  1)動作法の経過
  2)重心計による身体動揺の測定結果
 4.考察
  1)動作法による効果について
  2)光学的配列の流動の意味(アフォーダンス)について

第4部 得られた知見と考察
第1章 得られた知見
 1.垂直の知覚に及ぼす直立姿勢の影響
 2.直立姿勢に及ぼす光学的流動の影響
第2章 考察
 1.本論文における自体軸の意味
 2.自体軸の組織化の過程
 3.知見から推測される準拠方略
  1)2つの準拠方略
  2)自体軸が使い分けられる状況
 4.動作法の機能
 5.今後の問題とその展望
  1)自体軸の組織化の過程の検討が必要
  2)動作法による垂直や光学的流動との検討が必要
  3)複数の脳性まひ児の検討が必要
第3章 終わりに
文献
初出一覧
あとがき
著者干川隆 著
発行年月日2006年01月15日
頁数188頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1533-4