博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

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動物園における親子コミュニケーション

チンパンジー展示利用体験の比較

定価: 11,000 (本体 10,000 円+税)
展示改革が進む動物園で、親子はどのようにコミュニケーションを交わしているのか、実証的に分析したもの。展示の役割を考える博物館教育分野にも役立つ書。

【著者略歴】
並木美砂子(なみき みさこ)
1957年生まれ。
1984年より千葉市職員。千葉市動物公園で主に子供向けのプログラム開発に従事。
2002年 お茶の水女子大学大学院博士課程(後期)修了。博士(学術)。
目次を表示します。
序章
1 動物園来園者同士の交流への視座:知識の普及から対話的学びへ
2 動物園の転機と最近の展示改革
3 本研究で明らかにしたいことと理論的枠組み
4 調査のデザイン:展示の意図伝達の検証と展示解釈を知るための方法
5 動物展示のありかたへの提言と来園者理解の新しい枠組みの提案
6 本論の構成
第1章 博物館来館者研究からの示唆:「情報の受け手」から「探索者としての来館者」へ
1 博物館における来館者研究動向の概観と「来館者理解」のはじまり
2 社会構成主義による学習理論の博物館への応用
3 視覚重視の展示とコミュニケーション・システムとしての展示
4 来館者各人の認識特徴への関心
5 「交わり」の目的をもったコミュニケーション:来館者同士の交流
第2章 来館者相互の交流に着目した「交わりコミュニケーションモデル」の創出
1 学習の共同的側面:博物館教育研究における構成主義理論の導入
2 交わりコミュニケーションモデルの創出
3 来館者相互の「交わりコミュニケーション」の成立要件:展示を一緒に見る体験
4 交わりコミュニケーションの内容に「学習体験」を探るという視点
第3章 動物園における展示の発展過程と日本の新しい類人猿展示
1 動物展示法の変遷概観
2 日本の類人猿展示への影響
3 類人猿に対する来園者の興味の高さ
第4章 家族間での学習体験
1 幼児を含む子どもへの関心
2 本研究における「学習体験の理解」の定義
3 アメリカの博物館における「家族での学び」研究概観
4 幼児を含む「家族での学び」研究概観
第5章 家族連れ来園者の動物展示観覧の体験を理解するための方法
1 インタビュー法と会話採集法
2 家族間の発話の特徴
3 発話採集法を用いた先行研究
4 幼児を含む「家族連れ来園者」の会話採集法の問題
5 本論で用いた発話分類
6 予想されるカテゴリー別「発話」の展開
7 子どもの年齢の考慮
第6章 親子はどのようにチンパンジー展示を利用しているのか
(新旧展示の縦断的比較)
1 方法
2 結果 その1 新展示に対する来園者の印象
3 結果 その2 展示意図に関連した分析
4 結果 その3 「交わりコミュニケーション」の展示間比較
5 総合的考察:「伝達」と「交わり」を左右する要素
第7章 来園者の能動性に依拠した動物展示法と解説のあり方への提言
1 動物への共感が触発される展示:間近さの演出
2 利用できる「展示物」の役割
3 「過ごしやすさ」の構成要素とその意義
4 展示者側から示されるべき情報の吟味
5 要約と課題
あとがき
文献
謝辞
著者並木美砂子 著
発行年月日2005年05月31日
頁数258頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1510-5