博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

栄花物語の乳母の系譜

定価: 35,200 (本体 32,000 円+税)
『栄花物語』を丹念に読み込み、そこに顕れた乳母の系譜を明らかにし、ひいて、平安時代の史的文芸に通底する精神的基底に想到することを目的とした労作。

【著者略歴】
新田孝子(にった たかこ)
昭和 7年7月 宮城県仙台市に生れる
昭和28年3月 宮城県第一女子高等学校卒業
昭和32年3月 東北大学文学部卒業
昭和38年3月 東北大学大学院博士課程期間満了単位取得退学
平成 8年3月 東北大学付属図書館調査研究室研究員定年退官

平成元年7月 文学博士(東北大学・文第五五号)

著書『多武峰少将物語の様式』(昭和62、風間書房刊)
  『大和物語の婚姻と第宅』(平成10、風間書房刊)
白井たつ子と共著『蜻蛉日記の風姿』(平成8、風間書房刊)
目次を表示します。
表層篇 『栄花物語』の乳母の系譜
序章 問題のありか
第一節 『栄花物語』の題材と主題
第二節 「吉海直人の乳母学」の紹介
第一章 「橘典侍」と「源典侍」
第一節 「橘典侍」清子の素描
第二節 「源典侍」明子の素描
第三節 『時明集』の所伝
第四節 橘清子の経歴
第五節 橘清子の晩年
第六節 源明子の経歴
  結びに 資料検証に当って
第二章 禎子内親王の乳母たち
初めに 問題文―『栄花物語』第十一「つぼみ花」巻―
第一節 乳付「近江の内侍」
第二節 三名の乳母
第三節 禎子内親王の乳母の「命婦」
第四節 禎子内親王の乳母の「弁」
第五節 禎子内親王の乳母の「中将」
第六節 隆姫女王の乳母「橘俊遠室」
第七節 源致方の女子「弁乳母」
第八節 忠輔の女子「中納言典侍」
結びに <弁のめのと>の映像
第三章 乳母「近江の内侍」
初めに 問題文―『栄花物語』第十一「つぼみ花」巻―
第一節 『栄花物語』に見える「近江の内侍」
第二節 『左経記』に見える「藤三位」
第三節 再度『栄花物語』に見える「近江の内侍」
第四節 『小右記』に見える「惟憲妻」
第五節 『御堂関白記』に見える「修理典侍」と「美子」
結びに 「典侍美子」の生涯
第四章 敦良親王の乳母の問題
初めに 問題文―『栄花物語』第十三「ゆふしで」巻―
第一節 「源三位」隆子
第二節 「方正室」 
第三節 道綱女豊子「宰相乳母」
第四節 宣旨源障子 
第五節 誤謬と見るべき所伝
結びに 「藤香子(式部)」と紫式部
第五章 「越後の弁」の呼称
  初めに 問題文―『栄花物語』第二十六「楚王のゆめ」巻―
第一節 『栄花物語』における賢子の生涯
第二節 賢子の夫の所伝
第三節 賢子の子息の所伝
結びに 母「式部」・娘「弁」
終 章 問題のゆくえ―望月の栄華
表層篇注 
原理篇 女官名称と<―のめのと>の呼称
 序章 問題のありか
第一節 女官名称の法則性
第二節 <―のめのと>という呼称
第一章 『紫式部日記』の「宮の内侍」の問題
  初めに 問題文―『紫式部日記』寛弘五年十一月十七日の条―
第一節 「弁の命婦」の経歴
第二節 「弁の命婦」と行成の関係
第三節 行成の居宅とその周辺事情
第四節 「宮の内侍」を橘良芸子とする通説の傍証と反論
結びに 姉「弁」・妹「式部」
第二章 『紫式部日記』の<敦成親王乳母>
  初めに 問題文―『紫式部日記』寛弘五年九月十一日の条―
第一節 敦成親王の「小輔のめのと」
第二節 生誕当日の乳母「大左衛門のおもと」
第三節 『不知記』の記事の問題
第四節 『御堂関白記』の記録から
第五節 乳母「江三位」の夫を巡って
結びに 道長における乳母の選定
第三章 『紫式部日記』の「宰相の君」論
  初めに 問題文―『紫式部日記』の消息文の条―
第一節 菅原輔正女の「宰相」
第二節 三位遠度女の「宰相」
第三節 道綱女の「宰相」
第四節 『紫式部日記』形態論との関係
第五節 現存『紫式部日記』の雑纂性
結びに 「宰相」の由来と構造
第四章 『栄花物語』の「中将のめのと」の場合
  初めに 問題文甲・問題文乙―『栄花物語』第十一「つぼみ花」巻―
  前編 <当代の中将のめのとたち>
  前/第一節 四名の<中将のめのと>
  前/第二節 中宮妍子の乳母「中務典侍」
  前/第三節 方隆の室家「藤原灑子」
  後編 <中将と呼ばれる女官たち>
  後/第一節 『後拾遺集』の「中将の尼」
  後/第二節 『後拾遺集』の「上東門院中将」
  後/第三節 『後拾遺集』の「伊勢の中将」
  後/第四節 女院彰子に侍仕する「中将」
  後/第五節 中宮彰子に侍仕する「中将」
  後/第六節 相尹女<中将>の問題
  結びに 「中将の尼」は★子内親王の乳母
第五章 『栄花物語』の「大和の宣旨」考
  初めに 問題文―『大鏡』第四巻「道隆伝」の道雅の条―
第一節 『後拾遺集』の「大和の宣旨」
第二節 『栄花物語』に見える「大和の宣旨」
第三節 「大和の宣旨」の素姓
緒びに 高階一族と第宅
終 章 問題のゆくえ―栄華の勝地
原理篇注 
底流篇 天皇の乳母の家系
序 章 問題のありか
第一節 天皇の乳母の特性
第二節 天皇の乳母の出世
第一章 陽成天皇の乳母子の運命
  初めに 問題文―『日本三代実録』元慶七年十一月十日の条―
  第一節 陽成天皇の乳母「紀朝臣全子」
  第二節 仁明天皇の乳母子―橘岑継
結びに 橘逸勢の怨霊
第二章 保明親王の乳母子「大輔の君」
初めに 問題文―『大和物語』第五段―
第一節 保明親王の乳母「大輔の命婦」
第二節 皇太子保明親王の乳母たち
第三節 朱雀天皇と村上天皇の乳母たち
結びに 乳母「大輔」の娘「大輔の君」
第三章 朱雀天皇の乳母―命婦橘光子
初めに 問題文―『大和物語』第首十五段―
第一節 伊尹と「少弐の命婦」
第二節 「少弐の命婦」の諸資料
結びに 橘公頼女「少弐」の母「少弐のめのと」
第四章 来雀・村上二代の乳母―典侍滋野幸子
初めに 問題文―『公忠集』四番の詞書―
第一節 中務の娘と孫
第二節 典侍滋野幸子の記録
第三節 「滋野井」第の伝領
第四節 『中務集(御所本)』の所伝
結びに 中務の孫―光昭少将と大江為基室
第五章 憲平親王の乳母の選定規準
初めに 問題文―『一条摂政御集』四五番の詞書―
第一節 憲平親王の乳母の員数
第二節 憲平親王の乳母の女官名称
第三節 『拾遺集』巻六・別・三二一番の詞書
結びに 『九暦』の伝承
第六章 一条天皇の乳母「御乳母の大輔の命婦」
初めに 問題文―『枕草子』第二四〇段(二二三)―
第一節 天皇の乳母の権限
第二節 『権記』長保元年の御乳母四人の記事
第三節 新后入内の被行賞者
第四節 「御乳母の大輔の命婦」の出自
結びに <大輔>と<弁>
第七章 乳母子の偽称―典侍藤原長子
初めに 問題文―『讃岐典侍日記』下巻天仁元年(=嘉承三年)正月二日の条―
第一節 堀河天皇の乳母たち
第二節 俊成の世系図の問題
第三節 鳥羽天皇の乳母子たち
結びに <乳母子>の意味
終 章 問題のゆくえ―<道長の栄華>の大団円
第一節 道長女尊子の幸福
第二節 九条師輔の意志の継承
底流篇注
本書収載論文について
索引
(一) 人名索引 (二)第宅索引 (三)件名索引 (四)論文索引 (五)和歌索引
あとがき
著者新田孝子 著
発行年月日2003年10月15日
頁数1152頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1387-3