博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

  • 残部僅少

帰納論証の評価と決定方略

その運用と獲得過程

定価: 8,580 (本体 7,800 円+税)
本著は、帰納推論の認知処理・基盤について、認知心理学及び発達心理学的観点から包括的に検討している。認知処理については、特に結論の確証度決定過程に焦点を絞り、カテゴリに基づく帰納推論を例として実験研究を行なっている。認知的基盤については全称量化表現の理解やappearance-reality distinctionの実験パラダイムによる実験研究に基づいて、その性質の解明を試みている。

【著者略歴】
住吉チカ(すみよし ちか)
1991年 お茶の水女子大学文教育学部教育学科心理学専攻卒業
1994年 お茶の水女子大学文教育学部教育学科心理学専攻助手
1997年 樟蔭女子短期大学人間関係科講師
1999年 博士(人文科学;お茶の水女子大学)
現在 福島大学教育学部助教授
目次を表示します。
第1章 問題
1.1 はじめに
1.2 推論の認知処理過程
1.3 用語
1.4 演繹と帰納
  1.4.1 演繹と帰納の区別
  1.4.2 論証の評価:真偽判断と確証度判断
  1.4.3 論証の結論の評価の方法
  1.4.4 状況・文脈
1.5 カテゴリに基づく帰納推論(Category Based Induction)
  1.5.1 カテゴリに基づく帰納推論とは
  1.5.2 属性(property)
  1.5.3 前提カテゴリの効果
  1.5.4 前提カテゴリの効果が生じる仕組み:被覆度の算出
1.6 問題の所在とその解明
  1.6.1 確証度の決定方略の仕組みを探る:
       前提カテゴリの多様性の効果に関する問題点
  1.6.1.1 被覆度の仮定 
   1.6.1.2 カテゴリ構造の差異と確証度の決定との関連
   1.6.1.3 前提カテゴリの多様性の効果の普遍性
  1.6.2 確証度の決定方略の仕組みを探る:認知発達研究の観点から
   1.6.2.1前提の質の要因に関する問題
   1.6.2.2 前提の真実性の要因に関する問題 
1.7 本論文の概要
第2章 【研究1】確証度決定方略における前提カテゴリ間距離の役割の検討
2.1 前提カテゴリ間距離による確証度判断の検討(実験1)
  2.1.1 目的
  2.1.2 方法
  2.1.3 結果及び考察
2.2 研究1の総括
第3章 【研究2】確証度判断における次元の影響
3.1 確証度判断における次元の影響の検討(実験2)
  3.1.1 目的
  3.1.2 方法
  3.1.3 結果及び考察
3.2 確証度判断における大きさ次元の影響の検討(実験3)
  3.2.1 目的
  3.2.2 方法
  3.2.3 結果及び考察
3.3 研究2の総括
第4章 【研究3】前提カテゴリの多様性の効果利用の普遍性
4.1 人工的知覚的カテゴリ
  4.1.1 人工的知覚的カテゴリとは
  4.1.2 一般認識理論に基づく人工的知覚的カテゴリの設定
4.2 人工的知覚的カテゴリにおける前提カテゴリの多様性の効果の検討
(実験4)
  4.2.1 目的
  4.2.2 方法
  4.2.3 結果及び考察
   4.2.3.1 分類課題の結果 
   4.2.3.2 確証度判断課題の結果
4.3 人工的知覚的カテゴリにおける前提カテゴリ多様性の効果の検討:
教示の効果(実験5)
  4.3.1 目的
  4.3.2 方法
  4.3.3 結果及び考察
   4.3.3.1 分類課題の結果
   4.3.3.2 確証度判断課題の結果
4.4 研究3の総括
第5章 【研究4】確証度判断における前提カテゴリの効果の利用可能性
5.1 前提カテゴリの多様性・典型性・単調性の効果の利用可能性の検討
(実験6)
  5.1.1 目的
  5.1.2 方法
  5.1.3 結果及び考察
5.2 前提カテゴリ非単調性効果利用可能性の検討(実験7)
  5.2.1 目的
  5.2.2 方法
  5.2.3 結果及び考察
5.3 研究4の総括
第6章 【研究5】確証度決定方略運用の認知的基盤
6.1 確証度の決定能力と非類似度推定に基づく
    確証度決定能力についての検討Ⅰ(実験8)
  6.1.1 目的
  6.1.2 方法
  6.1.3 結果及び考察
6.2 確証度の決定能力と非頬似度推定に基づく
    確証度決定能力についての検討Ⅱ(実験9)
  6.2.1 目的
  6.2.2 方法
  6.2.3 結果及び考察
6.3 研究5の総括
第7章 【研究6】結論の評価を決定する状況の設定能力
7.1 属性を確認する状況の設定能力に関する研究
7.2 前提事例の属性を確認する状況の設定能力についての検討
(実験10)
  7.2.1 目的
  7.2.2 方法
  7.2.3 結果及び考察
7.3 前提事例の属性を確認する状況の設定能力:既有知識偏向について
の検討(実験11)
  7.3.1 目的
  7.3.2 方法
  7.3.3 結果及び考察
7.4 前提事例の属性を確認する状況の設定能力:新奇対象による検討
(実験12)
  7.4.1 目的
  7.4.2 方法
  7.4.3 結果及び考察
7.5 研究6の総括
第8章 【研究7】眼前の対象の属性確認能力:全称量化表現への応答に基づ
く分析
8.1 全称量化表現
8.2 全称量化表現への応答にみる属性確認能力:先行研究の知見
8.3 全称量化表現への応答にみる幼児の属性確認能力(実験13)
  8.3.1 目的
  8.3.2 方法
  8.3.3 結果及び考察
8.4 指示的応答にみる幼児の属性確認能力(実験14)
  8.4.1 目的
  8.4.2 方法
  8.4.3 結果及び考察
8.5 研究7の総括
第9章 総括的討論
9.1 各研究の総括
  9.1.1 研究1の総括
  9.1.2 研究2の総括
9.1.3 研究3の総括
  9.1.4 研究4の総括
  9.1.5 研究5の総括
  9.1.6 研究6の総括
  9.1.7 研究7の総括
9.2 前提の質の要因の活用と前提の真実性の要因活用の認知的基盤の形成
9.3 確証度決定方略における認知処理
文献
著者住吉チカ 著
発行年月日2001年02月28日
頁数234頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1258-6