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バズ学習の研究

協同原理に基づく学習指導の理論と実践

定価: 13,200 (本体 12,000 円+税)
信頼に支えられた協同的人間関係を教育の基盤とする「バズ学習」の40年間の実践的、研究的展開を明らかにし、現代の教育課題に応えるその可能性を展望する。

【著者略歴】
杉江修治(すぎえ しゅうじ)
1971年 名古屋大学教育学部教育心理学科卒業
1976年 名古屋大学教育学研究科教育心理学専攻博士課程単位取得退学
1976年 名古屋大学教育学部助手
1980年 中京大学教養部助教授
1983年 中京大学教養学部教授(現在に至る)
1998年 名古屋大学より博士(教育心理学)の学位を取得
目次を表示します。
はしがき
1章 バズ学習とは何か
 1節 バズ学習の意義
  1 学習指導理論としてのバズ学習
  2 バズ学習とは何か
  (1)学習指導理論としての3つの特徴と11の基本仮定
  (2)バズ学習の教育目的
  (3)バズ学習の研究方法
 2節 バズ学習の実践的、実証的研究の展開
  1 バズセッショソの提唱とその教育的応用
  (1)バズセッションの提唱
  (2)日本の学校学習へのバズセッションの導入
  2 バズ学習の研究的展開
2章 協同学習とバズ学習
 1節 協同の意義
  1 協同とは何か
  (1)目標構造からの定義
  (2)協同と競争の動機づけ的側面
  (3)競合的活動
  2 協同への実証的接近
  (1)協同と競争に関する研究の発端
  (2)グループダイナミックスの展開と協同、競争
  (3)競争の発達的、比較文化的研究
  3 協同の教育的意義
  (1)競争的教育見直しの動向
  (2)協同の教育的意義の再確認
  (3)競争をめぐる4つの神話とその検討
  (4)集団問競争について
 2節 協同学習の展開
  1 協同学習の新しい潮流
  (1)協同学習への着眼
  (2)協同学習のモデル
  (3)協同学習の成果
  2 Johnson&Johnsonの協力学習法
  (1)協力学習法の基本的考え方
  (2)協力学習法による授業の進め方
 3節 日本の協同学習
  1 第二次大戦前までの指導法と協同
  (1)大正デモクラシー期の教育
  (2)及川平治らの実践と協同への関心
  (3)及川ら以前、以後の協同への教育的関心
  2 第二次大戦直後の教育と協同
  (1)民主教育と分団学習
  (2)分団学習の効果に関する実証的研究
  3 グループダイナミックスと小集団学習
  (1)グループダイナミックスの流入
  (2)効果的な小集団学習の条件の追究
  (3)日本における協同と競争の実証的研究
  4 協同的集団過程を活用した日本の学習指導法
  (1)教育実践での小集団活用の実態
  (2)末吉悌次らによる集団学習
  (3)さまざまな指導法における協同
 4節 協同学習とバズ学習
  1 協同学習とバズ学習
  2 日本の協同学習を取り巻く課題
  (1)協同学習受容の基盤
  (2)協同学習否定の基盤
  (3)日本の教育状況と協同学習
3章 バズ学習の実践的工夫とその理論的基礎
 1節 バズ学習の実践的工夫
  1 学習課題
  (1)基本的視点
  (2)望ましい課題の条件
  (3)単元単位での課題づくり
  (4)集団課題の設定
  2 小集団
  (1)基本的視点
  (2)編成の方法
  (3)リーダーの活用
  (4)相互作用技能の訓練
  3 学習ストラテジー
  (1)基本的視点
  (2)授業での相互作用活用場面
  (3)個人思考と集団思考の組合せ
  (4)1時間の授業の流れ
  (5)教師の援助のあり方
  4 評価
  (1)基本的視点
  (2)認知的目標の評価
  (3)態度的目標の評価
  (4)自己評価、相互評価の活用
  5 実践的工夫の理論的基礎の追究
 2節 小集団で取り組む課題に関する実証的検討
  1 集団課題の困難度一成員のコミュニケーション能力との関わりから
  (1)問題の所在
  (2)実験Ⅰ
  (3)実験Ⅱ
  (4)まとめ
  2 集団課題の通路の明瞭性一単元単位の課題提示の効果について
  (1)問題の所在
  (2)実験Ⅰ
  (3)実験Ⅱ
  (4)実験Ⅲ
  (5)実験Ⅳ
  (6)まとめ
 3節 小集団の編成条件に関する実証的検討
  1 成員の能力の等質性一異質性
  (1)問題の所在
  (2)実験Ⅰ
  (3)実験Ⅱ
  (4)実験Ⅲ
  (5)実験Ⅳ
  (6)まとめ
  2 能力以外の成員の特性の等質性一異質性
  (1)パーソナリティ
  (2)性別
  3 成員間の友好性
  4 集団のサイズ
 4節 小集団による課題解決ストラテジーに関する実証的検討
  1 問題の所在
  2 実験Ⅰ
  3 実験Ⅱ
  4 実験Ⅲ
  5 実験Ⅳ
  6 まとめ
 5節 小集団における成員の相互教授の効果に関する実証的検討
  1 問題の所在
  2 実験Ⅰ
  3 実験Ⅱ
  4 まとめ
4章 バズ学習の実践
 1節 バズ学習による授業
  1 授業モデルの模索
  2 バズ単元見通し学習一
  (1)バズ単元見通し学習のモデル
  (2)理論的検討
  3 小学校におけるバズ単元見通し学習の事例
  (1)取り組みの経過
  (2)3年生「かけざんその2」の実践
  4 中学校におけるバズ単元見通し学習の事例
  (1)取り組みの経過
  (2)3年生数学科「平方根」の実践
  (3)補足資料
  5 高校におけるバズ単元見通し学習の事例
  (1)取り組みの経過
  (2)2年生保健科「健康な家族生活」の実践
 2節 教科外教育におけるバズ学習
  1 教科外教育におけるバズ学習実践
  (1)部活動とバズ学習
  (2)学級活動とバズ学習
  (3)道徳とバズ学習
  2 復習バズによるバズ学習実践
  (1)復習バズの実践的展開
  (2)復習バズの実践事例
  3 学校行事でのバズ学習実践
  (1)学校行事の実践課題
  (2)高校スキー研修の指導事例
 3節 地域と学校をむすぶバズ学習
  1 非行を克服したバズ学習
  (1)地域をめざめさせた中学校
  (2)高丘中学校の集団非行を生み出した背景
  (3)非行生徒をなくする取り組み
  (4)高丘中学校の実践のまとめ
  (5)非行とバズ学習
  2 生徒からの発議による地区バズ
  (1)曽野木中学校へのバズ学習の導入
  (2)生徒の発議した地区バズの実際と成果
  3 地域課題にこたえる幼小中高一貫教育態勢とバズ学習
  (1)幼小中高一貫教育態勢の発足(1977年まで)
  (2)第13回全国バズ学習研究集会の開催と全員合宿研修会(1978年)
  (3)実態調査と実践交流(1979年)
  (4)地域の教育課題の明確化と実践化(1980年~1983年)
  (5)第19回全国バズ学習研究集会の開催とその後8984年~1986年)
5章 バズ学習の可能性
 1節 バズ学習の新展開
  1 学校学習の新しい領域へのバズ学習の適用
  (1)コンピュータとバズ学習
  (2)道徳性、価値観の形成領域でのバズ学習
  (3)児童生徒の適応とバズ学習
  (4)大学でのバズ学習
  2 柔軟な学習指導モデルの開発
  (1)柔軟な集団編成の試み
  (2)多様な集団技法の組合せ
 2節 バズ学習の課題と今後
  1 バズ学習の課題
  (1)態度的目標の意義の明確化
  (2)信頼に支えられた人間関係の意義の追究
  (3)集団づくりの目標と方法の深化
  2 再び、バズ学習とは何か
  (1)3つの基本仮定
  (2)3つの留意点
  (3)実践の構え
文献
人名索引
事項索引
著者杉江修治 著
発行年月日1999年11月30日
頁数442頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1173-2