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パーソナリティの開放性-閉鎖性の研究

定価: 9,350 (本体 8,500 円+税)
本書は、有機的・全体論的立場から、パーソナリティを環境との相互作用の中で変化発達する開放的システムとしてとらえ、その実証的な検討を試みたものである。

【著者略歴】
西川隆蔵(にしかわ りゅうぞう)
1952年 大阪府大阪市にて出生
1974年 関西学院大学文学部教育学科 卒業
1979年 関西学院大学大学院 文学研究科 博士後期課程修了
電電公社(現NTT)大阪中央健康管理所 心療内科カウンセラーを経て
1982年 帝塚山学院大学 文学部専任講師
現在 帝塚山学院大学 人間文化学部人間学科 教授
文学博士(関西学院大学)
目次を表示します。
第1章 状況・行動・パーソナリティ
1.開かれた存在としての人間
   ―人間行動の有機・全体論的理解に向けて
 (1)行動理解のための基本的メタファー
 (2)生命体システム理論
 (3)人間行動遺伝学から示唆されること
 2.状況と行動
 (1)状況とは何か
 (2)パーソナリティの一貫性
 (3)パーソナリティの安定性と変化
 3.パーソナリティのシステム論的アプローチ
 (1)開放性の基準
 (2)行動のダイナミズム 
 (3)パーソナリティの発達 
第2章 認知システムの開放性―閉鎖性
1.認知構造と認知スタイル
 2.心理的開放性
 (1)ロジャーズの経験への開放性の概念
 (2)自我機能の柔軟性 
 (3)創造過程と開放性 
 3.権威主義と独断主義の研究
 (1)権威主義の構造
 (2)ロキーチの独断主義の理論―認知システムに関する仮説
 (3)認知システムの閉鎖性 
 4.開放性一閉鎖性次元の構造
第3章 開放性一閉鎖性次元の測定
1.経験質問紙
 (1)経験質問紙の項目と得点分布
 (2)再検査信頼性と因子分析
 (3)外部基準との関連妥当性
 2.開放性―閉鎖性と精神健康性の関係
 (1)人間主義的立場からみた精神健康性と創造性
 (2)開放性群,閉鎖性群の特徴
 3.開放性―閉鎖性と創造性の関係
 (1)創造性検査成績と知能検査成績の関係 
 (2)開放性群,閉鎖性群の特徴
 (3)まとめ
第4章 青年期の自己意識と開放性―閉鎖性(その1)
     ―自己評価的意識との関係について―
 1.自己評価に関する尺度
 2.開放性群,閉鎖性群の特徴
 3.開放性群,閉鎖性群の自己評価尺度項目間の関係
第5章 青年期の自己意識と開放性―閉鎖性(その2)
     ―自己同一性との関係について―
 1.同一性達成と認知的パフォーマンス
 2.自己同一性の測定尺度
 3.開放性―閉鎖性と自己同一性得点との関係
 4.開放性群,閉鎖性群における同一性と親密性の関係
 5.まとめ
第6章 青年期の自己意識と開放性―閉鎖性(その3)
     ―自己の一体性・分離性の意識との関係について―
1.自己の2面性
 2.一体性・分離性の尺度
 3.一体性・分離性と開放性―閉鎖性との関係
 (1)一体性・分離性得点,及び自己評価得点の性差について
 (2)自己評価得点と一体性・分離性得点との関係
 (3)開放性群,閉鎖性群における一体性・分離性
 (4)開放性群,閉鎖性群における一体性・分離性と自己評価の関係
 4.全体的考察
第7章 研究結果のまとめと今後の研究の視点 
1.経験質問紙について
 2.開放性―閉鎖性と自己評価との関係について
 3.自己の一体性・分離性の意識,および自己同一性との関係
 4.今後の研究課題
 (1)関係性という視点
 (2)比較文化的視点
 (3)精神健康性を評価する視点 
 (4)時系列的な変化を捉える視点 
第8章 人間関係と自立のプロセス 
1.プロセスとしての人間関係
 (1)関係の成立条件―互いの共通性と特異性への気づき 
 (2)中間状況的人間関係
 (3)円環的交流と自己完結的交流
 2.青年期の人間関係と自立のプロセス
 (1)日本人の人間関係スタイル
 (2)関係への依存,関係からの退却―現代青年の閉鎖性 
 (3)関係の中での自立―日本人にとっての自立とは 
 3.青年期研究の課題―人間関係について
 (1)自立・依存・甘えについての研究 
 (2)自己意識の文化差研究
 (3)価値観の研究 
第9章 適応と精神健康性
1.医学モデルに基づく精神健康性の評価
 (1)健康評価基準と疾病分類診断基準 
 (2)正常―異常の判断と「事例性」の問題
 (3)幸福感,満足感
 2.社会的適応のプロセス―その光と影
 (1)心理的安寧と自己疎外―同調行動がもたらすもの
 (2)自由からの逃避―権威主義的パーソナリティ
 (3)ペルソナと影
 (4)発達目標としての社会適応 
 3.危機をいかに生きるか
 (1)生涯発達という視点
 (2)葛藤・不安をいかに受けとめるか 
 (3)ストレス対処行動
 (4)関係をつくり,支える力 
 (5)しなやかな心 
 4.曖昧さを生きる―結びにかえて
付録
引用文献
あとがき
著者西川隆蔵 著
発行年月日1999年03月15日
頁数226頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1140-4