博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

視覚の時間周波数処理と色処理の機能連関に関する研究

光駆動法を中心としたフリッカー応用技法による接近

定価: 18,700 (本体 17,000 円+税)

独自のフリッカー応用技法を駆使し、三色系と反対色系の同調特性や両者の拮抗関係など、色覚機序の興味深い問題を新たな観点から追求した斬新な研究である。

【著者略歴】
小松 紘(こまつ ひろし)
1944年 宮城県仙台市に生まれる
1968年 東北大学文学部卒業(専攻:心理学)
1970年 同大学院文学研究科修士課程修了
1973年      同   博士課程退学
1974年 東北福祉大学講師
1995年 博士(文学)(東北大学)
現在 東北福祉大学教授
(専門分野:感覚・知覚心理学、交通心理学、労働科学)
※略歴は刊行当時のものです※
目次を表示します。
まえがき
序章 色の知覚の本質
第一章 色,空間,時間,運動の相互関連現象
第一節 Fechner-Benham diskに見られる主観色の研究
第二節 色覚メカニズムへの示唆
第二章 色覚の研究法(1)―生理学的研究 
第一節 S-電位
第二節 吸収スペクトル,差スペクトルによる研究
第三節 単一視細胞電位の記録
第四節 視細胞後の色処理の変換機構
第五節 双極細胞レベル
第六節 神経節細胞レベル
第七節 外側膝状体の役割
第八節 視中枢における色処理
1.有線野(第1視覚野V1,17野)
2.有線前野(第2視覚野V2,第3視覚野V3,第4視覚野V4,STS)
3.下側頭皮質 
第九節 本章の結論
第三章 色覚の研究法(2)―精神物理学的研究
第一節 二分視野による等色法
第二節 異色測光
第三節 増分閾法
第四節 色相消去法
第五節 単純反応時間
第六節 持続時間閾
第七節 オン潜時,オフ潜時
第八節 本章の結論と問題提起
第四章 色覚の研究法(3)―視覚の時間周波数応答と色処理 
第一節 ダブルパルスを用いた研究
1.明るさの変化の検出
2.色の変化の検出
3.ダブル・パルスの時間解像度 
第二節 フリッカーを用いた研究と新しいフリッカー応用技法の探求
1.MTF(変調度伝達関数)を指標とした研究 
2.CFFの光駆動法
第三節 本研究への問題提起と新技法の提案
第四節 第五章以下の見出しの意味と実験における測定の原則
第五章 光駆動法の基本的手続きの検討―視覚の時間周波数応答の基本特性
を探る
 第一節 光駆動法の時間的条件―断続光持続視過程における時間的分解能
の推移
<実験5-1-1>駆動時間を変数として
<実験5-1-2>駆動効果の消失過程
第二節 光駆動法の空間的条件
<実験5-2-1>刺激野の大きさ関係 
第三節 本章の結論
第六章 色光駆動の基礎現象と駆動効果の意味づけ
      ―時間周波数処理と色処理との機能連関の基礎
 第一節 駆動効果の波長特異性―視覚の時間周波数応答の波長特異性
 <実験6-1-1>矩形波による色光駆動
 第二節 駆動効果の実体の検討
  <実験6-2-1>検査光の波長効果 
  <実験6-2-2>色覚異常(緑色弱)と矩形波色光駆動効果
 第三節 本章の結論
第七章 正弦波による光駆動―理論的一般化のために
 第一節 駆動刺激としての矩形波光の効果
           ―Fourier modelから見た矩形波と正弦波
  <実験7-1-1>正弦波検査光のMTFに見られる矩形波駆動効果
  <実験7-1-2>正弦波検査光のCFFに見られる矩形波駆動効果
 第二節 色光駆動の基本的手法の確立
  <実験7-2-1>正弦波色光の駆動効果に見られる赤,緑,青系統色の波
長―周波数特性 
  <実験7-2-2>色覚異常の正弦波色光駆動効果
  <実験7-2-3>色覚異常のキャリアに見られる駆動効果
第三節 本章の結論
第八章 再び駆動時間の要因
 第一節 色光駆動時間と波長特異性の安定性
  <実験8-1-1>駆動時間と駆動効果―6秒駆動 
  <実験8-1-2>駆動時間と駆動効果―赤,緑,青の3秒,1秒駆動効果
 第二節 黄の駆動時間と駆動効果
  <実験8-2-1>黄の1秒駆動効果
 第三節 本章の結論
第九章 駆動効果の起源に関する検討―三色系の時間周波数特性
 第一節 刺激野の大きさの検討―駆動効果の錐体起源仮説 
  <実験9-1-1>2゜視標による駆動効果
  <実験9-1-2>0.9゜視標による駆動効果
  <実験9-1-3>0.4゜視標による駆動効果
 第二節 色覚異常者の黄の駆動効果―三色系,反対色系の拮抗関係の動態
  <実験9-2-1>二色型色覚の黄の駆動効果 
  <実験9-2-2>異常三色型色覚の黄の駆動効果
 第三節 駆動効果の両眼間転移―視覚伝達路についての検討 
  <実験9-3-1>haploscopic viewによる駆動効果の検討 
 第四節 本章の結論
第十章 中間波長の駆動効果と個人差の問題―色知覚の個人差の起源
 第一節 黄および青緑による駆動に見られる個人差
     ―中間波長への色チャンネルの寄与度 
  <実験10-1-1>黄による駆動効果
<実験10-1-2>青―緑中間色による駆動効果 
第二節 黄の単色光と複合光の駆動効果
     ―metameric matchされた色どうしはどこまで同じか
<実験10-2-1>等色された複合光と単色光の駆動効果
<実験10-2-2>等色された単色光と複合光の認知時間閾
第三節 本章の結論
第十一章 MTFに見られる色処理と時間周波数処理
    ―chromatic channel,achromatic channelの時間周波数特性
 第一節 これまでの経緯の概観
第二節 MTFに見られる色チャンネルと明るさチャンネルの時間周波数特性
<実験11-2-1>色光純度のMTF
<実験11-2-2>位相効果の検討
<実験11-2-3>単色光のMTF
第三節 本章の結論
第十二章 駆動効果のオリジンとしての共鳴仮説
     ―色処理-時間周波数処理の機能連関の基底にあるもの
 第一節 共振,共鳴の諸相
1.共振,励振の事例 
2.共振法による固有振動の測定
3.音楽音響学における協和の問題
4.電子回路における共振
第二節 視覚における振動現象
第三節 振動刺激と神経応答
第四節 視覚的共鳴は存在するか?
第五節 刺激の規則性の要因
<実験12-5-1>疑似ランダムパルスによる駆動効果
第六節 駆動効果の特徴周波数間関係―視覚系の共振モード
<実験12-6-1>正弦波白色光による駆動効果―色覚健常者の場合 
<実験12-6-2>高周波色光による駆動効果―色覚健常者の場合
<実験12-6-3>白色光による駆動効果―色覚異常者の場合
第七節 本章の結論
第十三章 全体的考察と結論,今後の展望
第一節 視覚の時間周波数応答特性から見た三色系と反対色系の相互関係
のdynamics
第二節 視覚におけるresonant phenomena 
第三節 今後の展望と応用への可能性
終章 まとめ
参考文献
実験と著者論文との対応 
索引
著者小松紘 著
発行年月日1997年03月31日
頁数278頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1028-5