博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

ライフストーリー分析指標の開発

遺伝カウンセリングへの応用を目指して

定価: 10,450 (本体 9,500 円+税)

カウンセリングの中核的要素である「語り」に着目し、患者・家族が経験している多面的な問題状況を把握しうる新たな研究法を開発。医療現場において、語り手の視座に立った包括的な支援の提供を目指した。

【著者略歴】
山本佳世乃(やまもと かよの)
豊橋技術科学大学エコロジー工業系卒業。お茶の水女子大学大学院前期課程生命体科学コース修了,修士(理学)。お茶の水女子大学大学院前期課程遺伝カウンセリングコース修了,修士(学術)。お茶の水女子大学大学院後期課程遺伝カウンセリングコース修了,博士(学術)。2007年認定遺伝カウンセラー資格を取得。2009年より2014年までお茶の水女子大学大学院前期課程遺伝カウンセリングコースにて助教として認定遺伝カウンセラーの教育にあたる。現在は,岩手医科大学医学部臨床遺伝学科助教として,臨床遺伝の現場で遺伝カウンセリングに従事するとともに,遺伝学・遺伝カウンセリングに関わる研究,教育の仕事に携わっている。
※略歴は刊行当時のものです※
目次を表示します。
背景 
 1.はじめに
 2.本書の構成
第1章 遺伝カウンセリングにおける研究方法論の検討
 1.遺伝カウンセリング
 2.医療関連分野における質的研究の検討
 3.ナラティヴ・ベイスド・メディスンと病の語り
第2章 ライフストーリーが表すもの
 1.ストーリーとはなにか
 2.ライフストーリーにおける他者の存在
   ―ストーリー内の他者とナラティヴにおける他者―
  2-1.ストーリー内の他者と自己との関係性
  2-2.ナラティヴにおける他者と自己との関係性
 3.ライフストーリー研究法
  3-1.ライフストーリー法の比較:実証主義・解釈的客観主義と対話的構築主義
  3-2.医療分野におけるライフストーリー研究
 4.本研究で採用するライフストーリー研究法の決定
第3章 語りの構造
 1.ストーリーの構造
 2.ナラティヴの構造
第4章 【研究】語りの構造からみる人生の意味づけ
     ―ルビンシュタイン・テイビ症候群をもつ子の母親らのライフストーリーから―
 1.研究目的と意義
 2.研究方法
 3.分析方法の検討と開発
  3-1.ナラティヴに含まれる2つの階層
  3-2.「感情」に関する発話の分類についての考察
  3-3.ナラティヴの階層
      「(イ)話の筋道を省察し,解釈するとともに,聞き手とやり取りをしている階層」の緻密化
  3-4.先行研究における指標の検討
  3-5.本研究「ルビンシュタイン・テイビ症候群の母親らのライフストーリー」において用いる指標の検討
 4.先行研究の検討から開発した,本研究におけるライフストーリーの分析指標の設定
 5.ライフストーリーの構成を把握する―ストーリー移行部の検討―
 6.プレ分析結果と分析指標の改良
  6-1.プレ分析:Aさんのライフストーリーに対し,先行研究から設定した分析指標【1】,【2】に該当する箇所を抽出する
   6-1-1.プレ分析:Aさんのライフストーリーの構成
   6-1-2.プレ分析:
         分析指標【1】「ライフストーリーに対する意味づけ」
         分析指標【2】「ライフナラティヴ:ライフストーリー構築プロセス」の抽出結果
  6-2.先行研究から設定している指標に,6-1で得た実際のデータにおける結果を加味し,分析指標の改良を行う
   6-2-1.プレ分析:分析指標【1】,【2】の抽出結果の提示
   6-2-2.日本語談話に適した分析指標への改良
   6-2-3.改良版分析の提示
第5章 結果と考察
 1.分析【1】ライフストーリーに対する意味づけの結果と考察
  1-1.分析【1】:Aさんの結果と考察
   1-1-1.指標「1-3 複数のストーリーを比較して述べられる語り手の感情や評価」の分類結果
   1-1-2.指標該当発話数の推移の結果・考察
   1-1-3.指標に該当する発話内容の考察
  1-2.分析【1】:Bさんの結果と考察
   1-2-1.Bさんのライフストーリーの構成と,改良版分析指標【1】【2】の抽出結果
    1-2-1-1.Bさんのライフストーリーの構成
    1-2-1-2.分析指標【1】「ライフストーリーに対する意味づけ」,【2】「ライフナラティヴ:ライフストーリー構築プロセス」の抽出結果
   1-2-2. 指標該当発話数の推移の結果・考察
   1-2-3.指標に該当する発話内容の考察
  1-3.分析【1】:Cさんの結果と考察
   1-3-1.Cさんのライフストーリーの構成と改良版分析指標【1】,【2】の抽出結果
    1-3-1-1.Cさんのライフストーリーの構成
    1-3-1-2.分析指標【1】「ライフストーリーに対する意味づけ」,【2】「ライフナラティヴ:ライフストーリー構築プロセス」の抽出結果
   1-3-2.指標該当発話数の推移の結果・考察
   1-3-3.指標に該当する発話内容の考察
  1-4.分析【1】の総合考察
   1-4-1.ライフストーリー中盤のピークが示すもの
   1-4-2.ライフストーリーに表れた日本語談話の特徴
   1-4-3.分析指標【1】における最終版分析指標の提唱
 2.分析【2】ライフナラティヴ:ライフストーリー構築プロセスとの結果と考察
  2-1.語り手の解釈が構成されるプロセスの分類
  2-2.繰り返されるストーリー
   2-2-1.分析【2】繰り返されるストーリーAさんの結果・考察
   2-2-2.分析【2】繰り返されるストーリーBさんの結果・考察
   2-2-3.分析【2】繰り返されるストーリーCさんの結果・考察
   2-2-4.分析【2】繰り返されるストーリー総合考察
  2-3.聞き手との直接的な語り
   2-3-1.分析【2】聞き手との直接的な語りAさんの結果・考察
   2-3-2.分析【2】聞き手との直接的な語りBさんの結果・考察
   2-3-3.分析【2】聞き手との直接的な語りCさんの結果・考察
   2-3-4.分析【2】聞き手との直接的な語り総合考察
  2-4.ライフストーリーにおける「相づち」
  2-5.分析【2】の総合考察
 3.分析【3】ストーリー内の他者の結果と考察
  3-1.分析【3】Aさんの結果・考察
   3-1-1.家族との関わり
   3-1-2.社会との関わり
  3-2.分析【3】Bさんの結果・考察
   3-2-1.家族との関わり
   3-2-2.社会との関わり
  3-3.分析【3】Cさんの結果・考察
   3-3-1.家族との関わり
   3-3-2.社会との関わり
  3-4.分析【3】の総合考察
 4.本研究から開発されたライフストーリーの最終版分析指標と,見出されたライフストーリー構築モデルの提示
 5.「語りの構造からみる人生の意味づけ―ルビンシュタイン・テイビ症候群をもつ子の母親らのライフストーリーから―」から得られた知見の遺伝カウンセリングへの応用
 補足資料 Aさん,Bさん,Cさんのライフストーリーの概要
第6章 総括的討論
 1.本研究の総括的討論
 2.本研究の意義
 3.課題と展望
引用文献
謝辞
著者山本佳世乃 著
発行年月日2015年01月15日
頁数336頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-2067-3