博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

ケアの社会

個人を支える政治

定価: 1,650 (本体 1,500 円+税)

私たちは、だれもが個人である。しかし、私たちは、個人であるために、他者からの支えを必要とする。「ケア」をめぐって、フランス哲学の中枢を担う著者が、社会国家と市民社会との新たな関連を構想する。

【著者紹介】
ファビエンヌ・ブルジェール(Fabienne Brugere)
1964年生まれ、哲学博士(パリ第10-ナンテール大学)
ボルドー第3-ミッシェル・モンテーニュ大学哲学教授を経て、現在、パリ第8-サンドニ・ヴァンセンヌ大学哲学教授
学術誌Nouvelle Revue d'Ésthétique、Espritの編集委員
道徳・政治哲学を専門とし、ケアの倫理をフランス哲学から再考、ケアの社会哲学を展開。ボルドー都市共同体開発委員会委員長、フランス社会党思考研究所委員を歴任
本書のほかに、Le sexe de la sollicitude(Seuil,2008)、Philosophie de l'art(PUF,2010)、L'Éthique du care(PUF,2011)(原山哲、山下りえ子訳『ケアの倫理』白水社クセジュ文庫、2014年)など著書多数

【訳者紹介】
原山 哲(はらやま てつ)
1949年生まれ、フランス政府給費留学生(パリ高等師範学校)
ベルサイユSQY大学博士課程修了(社会学博士)
元・東洋大学社会学部教授、専門はケアの組織の日仏比較研究
主な著書にL'Hôpital et la profession infirmière,Une comparaison France-Japon,(Arslan,2008)(共著)

山下りえ子(やました りえこ)
1963年生まれ、東京大学法学部卒業
東京大学大学院法学政治学研究科単位修得退学
現在、東洋大学法学部教授
専攻する民法(損害賠償法)のほか、仲裁ADR、成年後見人に関する国際・学際的研究
主な著書にLes Rapports intergénérationnels en France et au Japon:Études comparatives internationales,(L'Harmattan,2008)(共著)

阿部又一郎(あべ ゆういちろう)
1974年生まれ、千葉大学医学部卒業、フランス政府給費留学生
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科博士課程修了(医学博士)
現在、東京医科歯科大学精神行動医科学分野助教、専門は精神医学
主な訳書に『フランス精神分析における境界性の問題―フロイトのメタサイコロジーの再考をとおして―』(星和書店、2015年)(共訳)

※データは刊行当時のものです※
目次を表示します。
日本語版への序文 私たちは、だれもが個人である。
序論 個人からなる社会
第1章 現代の個人と国家のジレンマ
フランスの個人主義とは?/多様な生活様式の社会/私的幸福と公的不幸/コーポラティズムと国家主義/市場における個人/市場外の個人/福祉国家の脱市場化/民主的個人化とは?
第2章 個人を支えること
具体化される個人/個人の基盤/二つの近代(モデルニテ)/第三の近代(モデルニテ):支えること/保護すること、あるいは付き添うこと/支えること、すなわち承認すること/ジェンダーによる個人化
第3章 能力ある個人
「社会問題」/人間開発(ヒューマンデベロップメント)/スティグリッツ委員会/自律する能力をつける/達成する自由/どのような平等を望むのか?/ケイパビリティに関わる政治とは?/公共の政治と教育/社会事業とエンパワーメント
第4章 脆弱な個人
脆弱性の状況/ニーズの主体/「配慮する」国家/ケアの社会/人へのサービス
結論 支えと個人の開花
訳者あとがき
参考文献
著者ファビエンヌ・ブルジェール 著 原山哲・山下りえ子・阿部又一郎 訳
発行年月日2016年03月31日
頁数162頁
判型 四六
ISBNコード978-4-7599-2132-8