はしがき
第1章 研究の目的と問題の所在及び研究の方法
第1節 目的
第2節 問題の所在
第3節 方法
1.分析課題
2.本書の構成
第4節 先行研究の検討と用語について
1.特別な教育的ニーズの概念に関する先行研究
1)特別な教育的ニーズの概念と教育制度上の位置づけに関わる研究
2)ウォーノック委員会に関する研究
2.特別な教育的ニーズの用語や各障害との関係についての先行研究
1)特別な教育的ニーズの用語について
2)各障害との関連
3.特別な教育的ニーズの評価に関する先行研究
4.特別な教育的ニーズに関わる教育課程及び構成教科に関わる先行研究
1)教育課程に関わる先行研究
2)各教科における特別な教育的ニーズに関わる先行研究
5.特別な教育的ニーズに関わる教員養成についての先行研究
6.特別な教育的ニーズ・コーディネーターに関する先行研究
7.特別な教育的ニーズへの対応に携わる関連職種に関する先行研究
1)ティーチング・アシスタントに関する先行研究
2)その他の関連職種に関する先行研究
8.特別な教育的ニーズとインクルーシヴ教育に関する先行研究
9.特別な教育的対応の視点からの親に関する先行研究
10.学校における学習環境(学校体制)の改善や指導の工夫に関する先行研究
11.用語について
1)「特別な教育的ニーズ」(special educational needs)及び「特別ニーズ教育」(special needs education)
2)特別教育
3)「特別な教育的ニーズ・コーディネーター」(special educational needs coordinator:SENCO)
4)法律の名称について
5)レメディアル教育(remedial teaching)
6)その他
第2章 第二次世界大戦後のイギリス特別教育制度における課題
第1節 はじめに
第2節 1944年教育法にもとづく特別教育の展開と「特別な教育的ニーズの概念」提起の背景
1.多様な障害カテゴリーの登場とこれに伴う問題
2.教育遅滞児をとりまく諸問題
3.レメディアル教育モデルからの変革の必要性
第3章 ガリフォードによる特別な教育的ニーズ概念の提起とウォーノック報告の特徴
第1節 はじめに
第2節 ガリフォードが提起した特別な教育的ニーズの概念
第3節 ウォーノック報告と1981年教育法
1.ウォーノック報告の概要
2.ウォーノック報告の勧告の背景
1)特別教育制度下における障害の分類に関わる問題
2)就学猶予・免除制度の問題
3)統合教育の必要性
4)障害のある生徒に対する教育の継続性の問題
5)専門家の確保と養成の問題
6)諸領域の連携の問題
7)特別教育を提供する場の問題
8)家庭(特に親)の協力の必要性
3.ウォーノック報告の特徴的な勧告
1)特別教育制度下における障害の分類に関わる問題
2)就学猶予・免除制度の問題
3)統合教育の必要性
4)障害のある生徒に対する教育の継続性の問題
5)専門家の確保と養成の問題
6)諸領域の連携の問題
7)特別教育を提供する場の問題
8)家庭(特に親)の協力の必要性
4.ウォーノック報告の勧告に関わる考察
1)障害及び障害のある生徒のとらえ方と特別な教育的ニーズの概念の導入(特別教育における障害の分類,就学猶予・免除の問題,統合教育)
2)障害のある生徒の関わる人的・物的環境について(専門家の養成,親の協力,諸領域の連携,教育の継続性,特別教育の提供の場)
5.1981年教育法
第4節 考察―ガリフォードからウォーノック報告への変化の背景―
第4章 イギリスにおける特別な教育的ニーズ概念の教育制度への位置づけ
第1節 問題と目的
第2節 方法
1.分析対象資料
2.抽出する情報
3.分析の視点
第3節 1981年教育法の背景
第4節 1981年教育法の概要
第5節 1981年教育法案第1条における特別な教育的ニーズの定義と修正案に関わる審議の特徴
1.1981年教育法における特別な教育的ニーズの定義
2.特別な教育的ニーズの定義に関する修正案と審議内容
3.考察とまとめ
第5章 イギリスにおける特別な教育的ニーズへの対応をめぐる制度的課題の特徴
第1節 はじめに
1.特別な教育的ニーズの判定書の構成内容の問題
2.1988年教育改革法の影響
3.財政的保障の欠如に関わる問題
4.地方教育当局と学校との関係の問題(1)―責任分担の不明瞭性―
5.地方教育当局と学校との関係の問題(2)―学校への資源配分―
第2節 本章のまとめ
第6章 1993年教育法以降における特別な教育的ニーズへの対応に関する教育制度の特徴
第1節 はじめに
第2節 1993年教育法における特別な教育的ニーズに関係する規定の概要
第3節 1981年教育法の規定が残されたもの
第4節 1981年教育法以降における主要な既定の特徴
第6節 考察―1993年教育法及び1996年教育法以降の制度的特徴―
第7章 特別な教育的ニーズの評価の視点と課題
第1節 はじめに
第2節 「評価(assessment)」の定義と目的
第3節 評価の対象
1.施行規則における評価の対象
1)判定書の構成項目にみる特徴
2)特徴と課題
2.コード・オブ・プラクティスにおける評価の視点
3.特別な教育的ニーズの評価表パッケージにおける評価の対象
第4節 本章のまとめ
第8章 改訂コード・オブ・プラクティスの特別な教育的ニーズ・コーディネーター制度への影響
第1節 はじめに
第2節 特別な教育的ニーズ・コーディネーター制度の概要と1990年代の課題
第3節 改訂コード・オブ・プラクティス(2001)における特別な教育的ニーズ・コーディネーターと個別指導計画に関わる内容の特徴
第4節 改訂コード・オブ・プラクティスの影響と課題
第5節 本章のまとめ
第9章 特別な教育的ニーズ・コーディネーターの役割にみる特別な教育的ニーズの概念
―特別な教育的ニーズ・コーディネーターへの意識調査と同僚教師との協同の例―
第1節 はじめに
第2節 コード・オブ・プラクティスに示される特別な教育的ニーズ・コーディネーターの役割とコーディネーター自身の役割への意識
第3節 特別な教育的ニーズ・コーディネーターの役割への意識と研修へのニーズに関する調査
1.調査対象
2.調査方法
3.調査内容
4.調査期間
5.結果
1)コード・オブ・プラクティスに示される内容への重要度の意識
2)同僚教師の役割遂行に対する特別な教育的ニーズ・コーディネーターの評価
3)特別な教育的ニーズ・コーディネーターの研修希望とこれまでの研修経験
第4節 特別な教育的ニーズ・コーディネーターを対象にした調査に関する考察
第5節 特別な教育的ニーズ・コーディネーターの小学校における同僚教職員との協同の特徴
1.はじめに
2.方法
1)対象
2)調査の実施
3)調査内容
3.結果と考察
1)A小学校の例
2)B小学校の例
4.特別な教育的ニーズ・コーディネーターの同僚教師との協同に関する考察
第6節 同僚教師を対象にした意識調査―問題の所在―
第7節 目的
第8節 方法
1.対象
2.調査の実施
3.調査内容
第9節 結果と考察
1.回収状況
2.結果の処理
3.コード・オブ・プラクティス(2001)に示された特別な教育的ニーズ・コーディネーターの役割内容に関する重要度評価(8項目)
1)全体傾向
2)コード・オブ・プラクティスに示された8項目の役割に対する小学校と中等学校の教師の重要度意識の比較
4.各学校における特別な教育的ニーズ・コーディネーターの役割に対する「期待(重要度認識)」の特徴
1)特別な教育的ニーズ・コーディネーターに期待する役割の内容の枠組み
2)特別な教育的ニーズ・コーディネーターに期待する役割に関する小学校と中等学校の教師の意識の特徴
5.特別な教育的ニーズ・コーディネーターの役割の「遂行状況」に対する同僚教師の意識の特徴
1)特別な教育的ニーズ・コーディネーターが遂行している役割内容の枠組み
2)特別な教育的ニーズ・コーディネーターに期待する役割に関する小学校と中等学校の教師の意識
3)各学校において特別な教育的ニーズ・コーディネーターが実際に遂行している役割に関する小学校と中等学校の教師の意識の比較
第10節 特別な教育的ニーズ・コーディネーターの役割に関する「期待」と実際の「遂行状況」の比較
1.はじめに
2.特別な教育的ニーズ・コーディネーターの役割に関する「期待(重要度認識)」と「実際の遂行状況」との比較
1)小学校教師と中等学校教師全体の特徴
2)小学校教師の意識の特徴
3)中等学校教師の意識の特徴
4)「期待(重要度)」と「実際の遂行状況」の比較に関する考察
第11節 まとめ
第10章 特別な教育的ニーズ・コーディネーターが機能する条件
第1節 はじめに
第2節 特別な教育的ニーズ・コーディネーターとイギリスにおける特別な教育的ニーズのとらえ方
第3節 イギリスの特別な教育的ニーズ・コーディネーター制度を支える条件
1.特別な教育的ニーズのある生徒への対応の根拠となる判定書制度の存在
2.地方教育当局と各学校の責任が明確に示されていること
3.各学校に生徒への対応に関する方針を明確にして公表することが課せられていること
4.特別な教育的ニーズが「障害」だけに限定されず,言語,宗教,文化的マイノリティ等に由来するニーズへの対応も含めて想定されていること
5.特定の生徒だけを抽出して専門的対応に直結させるのではなく学校全体の機能を高める中に特別な教育的ニーズへの対応を位置づける文脈の存在
6.ティーチング・アシスタントなどの様々な支援スタッフの存在
7.特別な教育的ニーズ・コーディネーターと各教師や関連スタッフとのコミュニケーションの機会が日常的に用意されていること
8.年次レビュー(annual review)制度の存在
第4節 本章のまとめ
第11章 総合考察
第1節 特別な教育的ニーズへの対応のための教育制度がもたらした意義
第2節 日本の特別支援教育制度への示唆
第3節 結論と残された課題
1.結論
2.残された課題
引用文献一覧
初出一覧
事項索引