教員自主研修法制の展開と改革への展望
行政解釈・学説・判例・運動の対立・交錯の歴史からの考察
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序章 問題の所在と研究目的・構成
1.問題の所在
2.本書の目的
3.研究対象の限定
4.本書の構成
5.本書の表記方法について
第1章 教職員組合の研修保障要求運動とその特質
第1節 全国組織における研修保障要求運動
1.第1期:教特法施行から1960年代半ばまで
2.第2期:1960年代半ばから1970年代まで
(1)労働条件改善・超過勤務改善運動からの自主研修保障要求
(2)自主的教育研究活動推進運動からの自主研修保障要求
(3)2つのルートからの自主研修保障要求結合の萌芽と停滞
(4)研修保障要求運動停滞の要因
3.教職員の勤務時間管理に関する立法と文部事務次官通達
第2節 地方組織における研修保障要求運動
1.地方組織における研修保障要求運動の概観
(1)「勤務時間内校外自主研修」の機会保障
(2)研修費の支給
(3)長期研修
2.兵庫県における研修保障要求運動
(1)運動の始まり
(2)運動の高揚
(3)運動の停滞と終焉
(4)神戸市立高等学校における「研修日」獲得運動
①概要
②運動の意義と課題
第3節 研修保障要求運動の特質
第2章 研修条項に関する行政解釈の変遷
第1節 初期の文部省解釈
1.教特法成立直後の文部省解釈
(1)国公法原理との差異
(2)研修の権利性と義務性
(3)研修の自主性・主体性
(4)「勤務時間内校外自主研修」
①職務性
②校長の裁量性
(5)長期研修
2.1950年代における文部省解釈
(1)国公法・地公法原理との差異
(2)研修の権利性と義務性
(3)研修の自主性・主体性
(4)「勤務時間内校外自主研修」
①職務性
②校長の裁量性
(5)長期研修
第2節 文部省解釈の転換
1.1960年代初頭における文部省解釈の変化
(1)国公法・地公法原理との差異
(2)研修の権利性と義務性
(3)研修の自主性・主体性
(4)「勤務時間内校外自主研修」
①職務性
②校長の裁量性
(5)長期研修
2.文部省解釈の完全転換
(1)国公法・地公法原理との差異
(2)研修の権利性と義務性
(3)研修の自主性・主体性
(4)「勤務時間内校外自主研修」
①職務性
②校長の裁量性
3.文部省解釈転換後の解釈整備
(1)国公法・地公法原理との差異
(2)研修の権利性と義務性
(3)研修の自主性・主体性
(4)「勤務時間内校外自主研修」
①職務性
②校長の裁量性
(5)長期研修
第3節 地方教育行政当局の解釈
1.1950年代における地方教育行政解釈
(1)国公法・地公法原理との差異
(2)研修の権利性と義務性
(3)研修の自主性・主体性
(4)「勤務時間内校外自主研修」
①職務性
②校長の裁量性
2.1960年代初頭における地方教育行政解釈
(1)国公法・地公法原理との差異
(2)研修の権利性と義務性
(3)研修の自主性・主体性
(4)「勤務時間内校外自主研修」
①職務性
②校長の裁量性
3.文部省解釈の転換と地方教育行政解釈
(1)国公法・地公法原理との差異
(2)研修の権利性と義務性
(3)研修の自主性・主体性
(4)「勤務時間内校外自主研修」
①職務性
②校長の裁量性
(5)長期研修
(6)研修費
第3章 教育法学説にみる研修条項解釈
第1節 教育法学説の形成と発展
1.教育法学説形成以前
2.教育法学説の概観
3.学説の形成と発展
(1)国公法・地公法原理との差異
(2)自主研修と行政研修の関係(権利性と義務性、自主性・主体性)
(3)「勤務時間内校外自主研修」
①職務性
②校長の裁量性
第2節 教育法学説(通説)の補強学説
1.教育法学
(1)教師の研修権の淵源
(2)行政解釈との接点
①国公法・地公法原理との差異
②自主研修と行政研修の関係(権利性と義務性、自主性・主体性)
③「勤務時間内校外自主研修」
(3)「研修の目的性・集団性・開放性」の提言
①研修権の本質と目的性
②学校の教育責任と研修権
③研修権の行使と成果の公表・交流
2.労働法学
(1)「職務」の定義
(2)研修の職務性
第4章 判例にみる研修条項解釈
第1節 「研修関係裁判」の概観と先行研究
第2節 研修条項解釈に関係する判例
第3節 判例の争点別検討
1.「研修関係裁判」の争点
2.教特法、地公法・国公法、地方教育行政の優先関係
3.初等・中等教育機関の教員と高等教育機関の教員の研修における差異
4.研修の義務と権利の法的性質
(1)教特法第19条の「研修に努める義務」の法的性質
(2)研修の権利性
(3)「研修」の語義について
5.研修活動の職務性
6.本属長の承認の法的性質と不承認の相当性
(1)承認の法的性質
(2)承認・不承認の相当性
①授業への支障
②研修内容の研修性・緊急性
(3)不承認の告知義務
7.教職員組合主催の教育研究集会参加のとり扱い
第4節 判例形成と学説・行政解釈の関係性
第5章 教員研修に関わる教育法学説の検討課題
第1節 1990年代以降の「研修関係裁判」
1.裁判の特徴
2.1980年代からの変化
(1)川上教諭事件(教研参加事件)札幌高裁判決の継承
①「研修権」の否認
②「勤務時間内校外自主研修」は「職務専念義務免除」扱い
(2)川上教諭事件(教研参加事件)札幌高裁判決からの変化
①1990年代初頭
②1993年11月以降
第2節 教員研修政策の特徴と文部科学省の研修条項解釈
第3節 教育法学説検討の視点
1.「授業に支障のない限り」の解釈
2.校長の裁量性
3.計画書・報告書の提出
第6章 自主研修法制の実態と課題
第1節 「勤務時間内校外自主研修」の逼塞状況
1.教職員養成審議会の「自主的・主体的研修の奨励・支援」方針
(1)研修統制・行政研修強化の半世紀
(2)個性豊かな教員像と自主的・主体的研修奨励・支援
(3)中央教育審議会答申での後退と継承
2.「勤務時間内校外自主研修」の逼塞状況
(1)2002年7月の文部科学省通知
(2)長期休業中の「職専免研修」取得状況の変化
3.「自主的・主体的研修の奨励・支援」の実態―2006・2007年度調査から―
第2節 長期派遣研修の実態と課題
1.教育行政当局の研修法制認識
2.研修の自由
(1)研修機関
(2)研修内容
(3)研修の自主性・主体性
3.研修の機会均等性
(1)研修の機会
①長期研修機会の稀少さと機会不均等
②海外留学は退職
(2)派遣希望者の募集
(3)入学金・授業料・日当等の支給
4.研修の職務性
5.研修条件の整備義務
(1)研修条件整備と機会均等性の対立
(2)「14条特例」についての教育行政当局の認識
第3節 大学院修学休業制度の創設とその教育法的検討
1.大学院修学休業制度の創設と課題
(1)大学院修学休業制度の適用状況
(2)積極的側面
①自主性・主体性の重視
②教特法の研修原理の再確認
(3)問題点
①研修の自由(研修機会)の制約
②「研修3分類説」の矛盾
③研修条件整備義務遂行の遅滞
2.大学院修学休業制度の教育法的検討
(1)大学院修学休業制度の性格
(2)研修の自主性と職務性の対立的把握
①職務性の同一性
②職務研修における自発性の否定
③職務性の否定=無給
④待遇上の差異の過大
3.教育行政の役割
第4節 大学院での長期研修が教員の力量形成に与える影響
1.調査対象・方法・質問内容
2.調査結果からの考察
3.考察のまとめ
終章 自主研修法制の改革構想
第1節 「一定勤務年数での長期研修機会附与制度」の創設
1.教特法成立過程における長期研修制度構想の特徴
(1)長期研修制度の萌芽的構想
(2)「教員身分法案要綱集」の長期研修規定
(3)「学校教員法要綱案」の長期研修規定
(4)「国立、公立学校教員法要綱集」の長期研修規定
(5)「教育公務員法要綱集」の長期研修規定
(6)「教育公務員の任免等に関する法律案」及び「教育公務員特例法案」の長期研修規定
(7)長期研修制度構想の原理
2.現行長期研修制度の課題
3.教特法施行後の長期研修制度構想
(1)長期研修制度構想の停滞
(2)中・長期的改革構想
4.「一定勤務年数での長期研修機会附与制度」の創設
(1)「一定勤務年数での長期研修機会附与制度」構想骨子
(2)制度創設に関する教育関係者の意見
第2節 教育公務員特例法改正の提言
1.教特法に内在する矛盾
(1)制定時から内在する矛盾と課題
①「研修」概念の混乱
②研修費支給規定の欠如
③私学教員・事務職員問題
(2)改正により生起した矛盾
①「教員擁護の規定」から「教員統制の規定」へ
②長期派遣研修と大学修学休業の矛盾
2.「教育公務員特例法研修関係規定改正私案」
第3節 自主研修法制を支える基礎的教育条件の改善
1.教員の勤務・研修条件の抜本的改善
2.非正規教員問題の飛躍的改善
3.おわりに
参考文献一覧
あとがき
事項索引
人名索引