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児童・思春期の強迫スペクトラム障害に関する臨床心理学的研究

衝動制御の観点から

定価: 6,600 (本体 6,000 円+税)

強迫性障害との関連が指摘されているチック障害を対象として、実態調査および介入を実施。我が国の強迫スペクトラム障害への支援の発展に寄与する知見を提示する。

【著者略歴】
野中舞子(のなか まいこ)
東京都生まれ
2009年 東京大学教育学部教育心理学コース卒業
2011年 東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース修士課程修了
2015年 東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース博士課程修了 博士(教育学)
現 在 東京大学大学院教育学研究科附属心理教育相談室 特任助教
専門分野:臨床心理学,発達心理学

主な論文
 Preliminary study of behavioral therapy for Tourette Syndrome patients in Japan. Children’s Health Care, vol.44(3), 2015.(共著)
 チックへの行動療法の現状と今後の展望. 行動療法研究, 41巻, 1号, 2015.
 トゥレット症候群の子どもを持つ母親の心理過程 : 体験理解に基づいた援助を目指して.臨床心理学, 12巻, 2012.
目次を表示します。
はじめに
第1部 研究背景
 第1章 強迫スペクトラム障害とは―衝動性を伴う一群への注目―
  1-1. 強迫スペクトラム障害とは
  1-2. 強迫スペクトラム障害におけるチック障害の重要性
  1-3. チック障害と強迫性障害の違い―有効な治療の差異
  1-4. 本研究の着眼点
 第2章 児童・思春期における強迫の特徴と支援の必要性
  2-1. 児童・思春期における強迫
  2-2. 強迫症状が日常生活に与える困難
  2-3. 我が国の児童精神科臨床における強迫スペクトラム障害の位置づけ
  2-4. 第2章のまとめ
 第3章 本研究の目的と構成
  3-1. 問題点の整理と本研究の目的
  3-2. 本書の構成
第2部 児童・思春期における強迫スペクトラム障害の特徴理解―強迫症状を主訴とする来談者の分析―
 第4章 強迫性障害への支援の概観
  4-1. 強迫性障害への支援の流れ
   4-1-1. 薬物療法
   4-1-2. 認知行動療法
  4-2. 児童・思春期強迫性障害への支援の特徴
  4-3. 我が国における研究の現状
  4-4. 今後の展望
 第5章 認知行動療法の効果に関係する要因の検討(研究1)
  5-1. 問題と目的
  5-2. 方法
   5-2-1. 対象
   5-2-2. 実施場所
   5-2-3. 効果指標
   5-2-4. 分析方法
   5-2-5. 倫理的配慮
  5-3. 結果
   5-3-1. 全体の結果
   5-3-2. 介入効果に影響する要因の検討
  5-4. 考察
   5-4-1. 認知行動療法プログラムの効果
   5-4-2. 治療効果と関係した要因
  5-5. 本研究の限界
 第6章 児童・思春期における強迫スペクトラム障害の特徴の分析(研究2)
  6-1. 問題と目的
  6-2. 方法
   6-2-1. 対象
   6-2-2. 調査項目
   6-2-3. 手続き
   6-2-4. 分析手順
  6-3. 結果
   6-3-1. 記述統計
   6-3-2. プログラム適用に影響した要因
   6-3-3. 併発症ごとの特徴
   6-3-4. 具体的な経過の検討―チック障害を併発した事例から
  6-4. 考察
   6-4-1. 来談者の特徴
   6-4-2. 症状ディメンジョンごとの検討の必要性
   6-4-3. 併発症ごとの特徴の差異
  6-5. 本研究の限界と今後の展望
  6-6. 第2部のまとめと第3部に向けて
   6-6-1. 第2部から得られた示唆
   6-6-2. チック障害への着目
第3部 衝動制御を目指した行動療法的アプローチ―チック障害を対象として―
 第7章 チック障害への支援の概観
  7-1. チック障害とは
  7-2. 支援の概要
   7-2-1. 心理教育と環境調整
   7-2-2. 薬物療法
   7-2-3. 行動療法/認知行動療法
  7-3. チックに対する行動療法の近年の動向
  7-4. 我が国における支援の現状
  7-5. 今後の展望
 第8章 行動療法プログラムの効果の検討(研究3)―トゥレット症候群を対象とした量的・質的分析―
  8-1. 問題と目的
  8-2. 方法
   8-2-1. 対象
   8-2-2. 評価バッテリー
   8-2-3. 研究の手続き
   8-2-4. 介入内容と具体的な工夫
  8-3. 結果
   8-3-1. チック及び関連する症状の変化
   8-3-2. チックに対する主観的な苦痛の変化
   8-3-3. 具体的な事例の経過
  8-4. 考察
   8-4-1. 行動療法の有効性
   8-4-2. 強迫性の影響の検討―汚言症の特殊性
  8-5. 本研究の限界と展望
 第9章 チック障害に伴う心理的困難と強迫性の関連(研究4)
  9-1. 問題と目的
  9-2. 方法
   9-2-1. 対象
   9-2-2. 調査項目
   9-2-3. 分析方法
  9-3. 結果
   9-3-1. 基礎情報の算出
   9-3-2. 汚言症の有無による属性の差異の検討
   9-3-3. 本人の捉え方の影響
  9-4. 考察
   9-4-1. 音声チックの影響について
   9-4-2. 心理的困難を予測する変数について
   9-4-3. 本研究の限界と今後の展望
  9-5. 第3部のまとめ:社会との相互作用への注目の必要性
第4部 社会に対してどのように介入するのか―家族・学校を対象とした調査研究―
 第10章 トゥレット症候群の子どもを持つ家族の心理過程の質的検討(研究5)
  10-1. 問題と目的
   10-1-1. 家族の心理過程を理解する必要性
   10-1-2. 研究5の目的
  10-2. 方法
   10-2-1. 対象
   10-2-2. データ収集方法
   10-2-3. 分析方法
   10-2-4. 倫理面への配慮
  10-3. 結果
  10-4. 考察
   10-4-1. 理論的示唆
   10-4-2. 臨床心理学的支援への示唆
   10-5. 本研究の限界と今後の課題
 第11章 保護者の精神的健康に影響を及ぼす要因(研究6)―本人との相互作用への注目―
  11-1. 問題と目的
  11-2. 方法
   11-2-1. 対象者
   11-2-2. 調査項目
   11-2-3. 分析方法
  11-3. 結果
   11-3-1. 基礎統計量の算出
   11-3-2. 保護者の精神的健康に関係する要因の検討
   11-3-3. 親子相互作用で生じる影響
  11-4. 考察
   11-4-1. 保護者の心理過程が精神的健康に及ぼす影響
   11-4-2. 子どものチックへの捉え方と保護者の心理過程の関係
 第12章 チック障害についての学校現場の認識と対応(研究7)
  12-1. 問題と目的
   12-1-1. チック障害の子どもが学校で抱く困難
   12-1-2. 研究7の目的
  12-2. 予備調査
   12-2-1. 方法
   12-2-2. 結果
   12-2-3. 予備調査からの示唆
  12-3. 本調査の目的
  12-4. 本調査の方法
   12-4-1. 対象
   12-4-2. 質問紙の構成
   12-4-3. 分析方法
   12-4-4. 倫理面への配慮
  12-5. 結果
   12-5-1. 働きかける対象
   12-5-2. 働きかけの内容
  12-6. 考察
   12-6-1. 日常場面における関わり
   12-6-2. 対応必要場面における関わり
   12-6-3. 研究7の限界
第5部 総合考察
 第13章 総合考察
  13-1. チック障害への支援モデルの提示
  13-2. 本研究で得られた知見と臨床的意義
   13-2-1. 我が国の強迫スペクトラム障害への支援への示唆
   13-2-2. 発達特性としての強迫性
   13-2-3.『社会』へのアプローチの重要性
  13-3. 本研究の臨床心理学的意義
  13-4. 本研究の限界と今後の展望

引用文献
謝辞
著者野中舞子 著
発行年月日2018年01月15日
頁数256頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-2200-4