山口仲美著作集 3言葉から迫る平安文学 3
説話・今昔物語集
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6,380
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著作集の刊行にあたって
まえがき
I 説話文学の言葉と文体
説話文学の和漢混淆の度合い
1 問題の所在
2 説話文学と説話集
3 接続詞に注目
4 接続詞を分類
5 和漢混淆の度合いを測る
6 表記形式と和漢混淆の度合い
7 個別的な問題
説話文学の文体―戦記文学と比較して―
1 はじめに
2 調査方法と資料
3 体言型か用言型か
4 名詞
5 固有名詞
6 数詞
7 修飾型か非修飾型か
8 色彩語
9 直喩
10 擬声語
11 会話型か文章型か
12 句点
13 説話文学の文体
14 『今昔物語集』の文体上の価値
説話文学の表現の問題
1 はじめに
2 文のすすめかた
3 表現の類型性
4 表現技法―(1)詳悉表現 (2)列挙表現
(3)挙隅表現 (4)反復表現 (5)比喩表現
(6)誇張表現 (7)漸層表現―
5 心理描写の方法―(1)外面的描写 (2)内面的描写
(3)説話文学の方法―
説話文学の文章の展開
1 はじめに
2 池尾の禅珍内供の鼻の語
3 今昔説話と芥川の『鼻』
4 今昔説話の文章展開
5 プロットと起承転結との関係
6 短い説話と長い説話の文章展開
7 日記の文章展開
8 随筆の文章展開
9 歌物語の文章展開
10 物語の文章展開
11 説話文学の文章展開の源流
12 説話文学と昔話との差異
13 おわりに
『今昔物語集』の文体―「事无限シ」をめぐって―
1 はじめに
2 出典文献について
3 出典文献との比較
4 「事无限シ」の本集における分布
5 「事无限シ」の位相的考察
6 「事无限シ」の分布とその解釈
7 撰者の文体の性格
8 おわりに
『今昔物語集』の表現技法―撰者加筆の度合い―
1 はじめに
2 表現技法の種類
3 どんな技法が見られるか(1)―出典の明らかな今昔説話―
4 どんな技法が見られるか(2)―同文的共通話のある今昔説話―
5 出典文献との比較―直喩法―
6 対句法の検討
7 倒置法・設疑法・曲言法・詠嘆法の検討
8 声喩法の検討
9 撰者は、地の文的な表現技法を好む
10 おわりに
『今昔物語集』の文体の重層性―直喩の分析から―
1 はじめに
2 文章類型と直喩表現
3 今昔における直喩表現の形式
4 出典文献との比較
5 類型的な直喩と非類型的な直喩
6 文体の重層性―出典を踏襲した直喩と撰者の付加した直喩―
『今昔物語集』の撰者の文体―直喩の分析から―
1 はじめに
2 撰者の直喩の性質(1)―非独自性―
3 撰者の直喩の性質(2)―仏典の直喩との親近性―
4 撰者の直喩の性質(3)―日常性―
5 撰者の直喩の性質(4)―分析性―
6 直喩から見た撰者の発想法とその人間像
7 おわりに
『今昔物語集』の敬語
1 はじめに
2 神は敬語で
3 初対面での女の敬語
4 重方の敬語
5 美女は敬語をくずさない
6 落差のある罵り語
「かきけつやうに失せぬ」考
1 はじめに
2 平安時代に出現
3 同文的共通話にも見られる
4 説話と密接な表現
5 漢字かな交じり文・かな文で活躍
6 「かきけつやうに失せぬ」の源流
「とつぐ」文学
1 「とつぐ」つて何?
2 交接する
3 『今昔』好み
4 結婚する
美女になった狐
1 『今昔物語集』の狐
2 美男に惚れてしまった女狐
3 原典『法華験記』では
4 『今昔物語集』の工夫
「白い玉」の謎
1 「白い玉」を受け取った人
2 『今昔物語集』に「白い玉」
3 「白い玉」は霊力を持つ
「卒塔婆」の話―『国史大辞典』へのリクエスト―
1 インドや中国の「卒塔婆」
2 『今昔物語集』の「卒塔婆」
3 古代絵巻にみられる「卒塔婆」
4 「卒塔婆」の語は、意味変化した
Ⅱ 『今昔物語集』の表現方法
プロローグ
1 意図は
2 元気な女たち
3 未完成のまま
4 作者は坊さん?
5 タネ本がある
6 輝く魅力を
言葉の落差を利用する―巻28第1話―
1 はじめに
2 舎人はもてる
3 伏見稲荷の初午の日
4 女の顔が見たい
5 女房の顔は猿のよう
6 誘う水あらば
7 「山響く」平手打ち
8 敬語から罵り語へ
9 好きな女の所へ行け
10 亭主が悪い
11 元気印の妻は再婚
きわどい場面をドライに描く―巻24第8話―
1 はじめに
2 医者の名前は分からない
3 華やかな女車がやって来た
4 非の打ちどころのない美女だった
5 この身はすっかりお任せします
6 美女の秘部を診察する
7 きわどい場面はいつでもうまい
8 病名は何か
9 医者は張り切って治療にあたる
10 私の名前もその時に
11 医者は悔しくて泣きべそかいた
独特の語り口―巻27第15話―
1 はじめに
2 無いものづくし
3 もし、お産で死んだら
4 「しかる間」と語り継ぐ
5 空き家があった
6 ここでお産みなされ
7 子はかわいい
8 人に語る息づかい
9 あなうまげ、ただ一口
10 反復のリズム
11 耳で聞くと快い
12 忘れられないセリフ
ビジュアルに描く―巻5第4話―
1 はじめに
2 なぜ額に角がある
3 滑って転んで腹をたてた
4 映画的に登場した
5 美女に「笑み曲ぐ」
6 「少し触ればひ申さむ」
7 女はおずおず従った
8 聖人の風貌は比喩で
9 クローズ・アップの表現法
10 女は甘える
11 錫杖を女の尻にあてて
効果満点の擬音語―巻27第43話―
1 はじめに
2 夜になると、渡には
3 渡に行くぞ
4 女の声がし、赤児が泣いた
5 イガイガと赤児は泣く
6 「頭の毛太りて」
7 季武は、あっぱれ
8 闇夜に、力力と高笑い
9 深夜に、コホロと盖が開く
ミステリーを生む視点―巻29第3話―
1 はじめに
2 「鼠鳴き」の誘い
3 色香に陶酔
4 男の気持ちはよく分かる
5 視点は男の側にある
6 鞭で打たれる
7 盗賊としてデビュー
8 鞭打ちは何のためか
9 女の涙
10 一つの視点のかもす謎
11 謎の女の正体は
起承転結の運び―巻10第36話―
1 はじめに
2 いつ、どこで
3 お婆さんは一途であった
4 涼めるほどの卒塔婆とは
5 若い男たちは興味を示した
6 卒塔婆に血を塗る
7 世界が「さらめく」
8 お婆さんは真実を述べた
9 起・承・転・結の展開法
10 お婆さんの話も起・承・転・結で
11 行動と会話で綴る
動作で心を表す―巻28第42話―
1 はじめに
2 大柄の少年が盗人に
3 いや、ざんばら髪の男だ
4 お前が追い出せ
5 弓矢を持ってお月見ね
6 お前のせいだ
7 「手をねぶる」
8 「脇を掻く」
9 「目口はだかりて」
10 さまざまな動作で心を
11「歯より汗出づ」
漸層法の駆使―巻30第1話―
1 初めての返事に、ときめく
2 「見た」とだけある
3 「目さすとも知らず暗き」夜に
4 うれしくて体がふるえた
5 涙が雨のように
6 筥を奪って見ると
7 焦がれ死んだ
8 漸層法を使った
9 低きから高きへ
10『今昔』はテクニシャン
Ⅲ 『今昔物語集』にみる生きる力
プロローグ
阿吽の呼吸―巻10第35話―
原文・現代語訳
1 信じあう夫婦の力
2 中国の夫婦
3 権力者の横暴
悟りを得る―巻4第6話―
原文・現代語訳
1 師の僧は二コニコ笑って
2 擬態語も秀逸
3 「ふた」「ふたふた」「ふりふり」も真に迫る
4 苦しみあがいて悟りを得る
果敢な挑戦―巻26第3話―
原文・現代語訳
1 少年の知力と胆力
2 どのみち死ぬなら、やってみる
3 危機に立ち向かう
武士の魂―巻25第12話―
原文・現代語訳
1 行動に直結する「以心伝心」
2 蓄えられていく武士の力
3 油断厳禁の世界
とっさの一言―巻28第10話―
原文・現代語訳
1 同じような体験
2 抜群の一言
3 構成がしっかりしている
弁舌の力―巻28第15話―
原文・現代語訳
1 舌先三寸と度胸
2 助泥の弁当箱
連携プレイ―巻16第20話―
原文・現代語訳
1 理想的な夫婦
2 夫の機転と腕力
3 背後で支える賢い妻
4 夫の戦い
5 情けない夫、怪しからん妻
エピローグ
既発表論文・著書との関係