山口仲美著作集 4日本語の歴史・古典
通史・個別史・日本語の古典
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著作集の刊行に当たって
まえがき
Ⅰ 日本語の歴史―通史―
一 日本語がなくなったら
1 あなたの問題
2 織物をつむぐ糸
3 日本語がなくなったら
4 何をめざして
5 話し言葉と書き言葉のせめぎあい
二 漢字にめぐりあう―奈良時代―
1 話し言葉の時代
2 「清麻呂」は「穢麻呂」に
3 本名を知られてはならない
4 困った問題
5 日本人は「借りる」ことを選んだ
6 「借りた」ために起こった苦労
7 漢字に日本語の読みを与える
8 万葉仮名の誕生
9 一字一音が基本
10 訓読みの万葉仮名
11 戯書の万葉仮名
12 動物揃え
13 日本にも文字があった?
14 日本固有の文字はなかった
15 現在の発音は
16 奈良時代の発音は
17 「恋」と「声」の「こ」の音は別もの!
18 現在には無い発音
19 どんな言葉が使われていたのか
三 文章をこころみる―平安時代―
1 日本最古の文章は
2 天皇は自分に敬語を
3 漢式和文という名前で
4 日本語の文章を書き始めたのは、いつ?
5 男性たちは漢式和文で日記を付けた
6 最もステイタスの高い文章とは
7 奇妙な翻訳
8 漢文を和語で訓読する
9 ヲコト点という面白い発明
10 カタカナの発生
11 漢字カタカナ交じり文の誕生
12 『今昔物語集』は読める
13 事件を活写する
14 助詞・助動詞を小さく書く
15 万葉仮名文から草仮名文へ
16 ひらがなの思想
17 女は、ひらがなを使う
18 男も、ひらがなを使う
19 ひらがな文には漢字も入る
20 ひらがな文は話し言葉で書ける
21 『源氏物語』は和歌的散文
22 ひらがな文は、なぜ代表にならなかったのか
四 うつりゆく古代語―鎌倉・室町時代―
1 「係り結び」に注目
2 強調するといわれても
3 念を押して強調する
4 指し示して強調する
5 取り立てて強調する
6 疑問や反語を表したい時
7 現代に痕跡はあるか
8 明けてぞけさは別れ行く
9 「なむ―連体形」は衰える
10 なぜ衰退したのか
11 「なむ―連体形」の消滅
12 慣用的な表現「とぞ申しける」
13 「こそ候へ」と固定化してくる
14 「こそ―已然形」が生き残る
15 疑問と反語は、どうなったか
16 終止形が連体形と同じ形に
17 文の構造を明示する
18 論理関係を明示する
19 武士たちの言葉
五 近代語のいぶき―江戸時代―
1 話し言葉は会話文に
2 地の文は書き言葉で
3 「じ」「ぢ」と「ず」「づ」の発音が現在と同じに
4 清音は、どうなっていたか
5 母には二度会ったけれど
6 謎が解けた
7 「大工調べ」に江戸語の面影
8 「アイ」が「エー」に
9 「エー」になる、その他のパターン
10 町人階級の言葉
11 上方では町人階級でも使わない
12 上方語と江戸語の対立
13 なぜ「かんのん」なのか
14 「アナタ」「オマエ」も江戸時代から
15 「オメー」「キサマ」も尊敬語
16 「ワタシ」「ワシ」も江戸時代から
17 「オレ」は女性も使った
18 武士は自分を何と呼ぶか
19 敬語表現も現在の源流
20 丁寧表現も現在に連なる
21 「である」「だ」も現れた
22 女性は「お」と「もじ」を愛用する
23 ありんす言葉
六 言文一致をもとめる―明治時代以後―
1 話し言葉を統一せねば
2 東京語を標準語に
3 漢字御廃止の議
4 幕末の文章は、すべて文語文
5 なぜ話し言葉と書き言葉は離れるのか
6 公用文を漢字カナ交じり文で書く
7 漢文直訳調が勢いづく
8 福沢諭吉の思想
9 「ござる」体の登場と言文一致の挫折
10 なぜ、言文一致は難しいのか
11 西洋文明の吸収は、どう行なわれた
12 翻訳も漢文直訳調で
13 「かなのくわい」と「羅馬字会」が設立された
14 円朝の語り口が言文一致体の手本に
15 二葉亭四迷の試み
16 翻訳も言文一致体で
17 山田美妙と嵯峨の屋おむろの言文一致体
18 言文一致体は再び暗礁に
19 普通文の台頭
20 尾崎紅葉の「である」体
21 「である」体は、なぜ受けたか
22 言文一致会の設立
23 最後になった公用文
24 個性の出せる言文一致体
七 日本語をいつくしむ
1 過去からの贈り物
2 豊かさと煩雑さの狭間で
3 どう折り合いをつけるのか
4 語彙が多すぎる?
5 カタカナ語をどうするか
6 日本語の論理性を生かすには
あとがき
参考文献
Ⅱ 日本語の歴史―個別史―
和文体の歴史
1 和文体とは何か
2 和文体の源流
3 万葉仮名文と和文との違い
4 物語の可能性―竹取物語―
5 朧化の表現―伊勢物語―
6 主観の叙述―土左日記―
7 情緒的表現―蜻蛉日記―
8 和歌的散文の達成―源氏物語―
9 対話の形式―大鏡―
10 和文体の行方
感覚・感情語彙の歴史
1 はじめに―研究の現状―
2 感覚語彙とは
3 感情語彙とは
4 感覚語から感情語へ
5 不快な勢力―感覚・感情語彙に共通の傾向―
6 感覚語彙の永続性と意味の不変性
7 感情語彙の意味の可変性
8 感情語彙の意味変化
9 状態語から感情語へ
売薬名の歴史
1 資料と概観 ⑴はじめに ⑵時代区分と資料 ⑶漢字名から
カタカナ名へ
2 旧薬の時代―江戸時代― ⑴漢方薬名の全盛 ⑵神秘性を
志向する ⑶さまざまな漢方薬名 ⑷おおらかな民間薬名
⑸わずかに見られる洋薬名
3 新旧交代の時代―明治時代― ⑴減少する漢方薬名
⑵現実性を志向する ⑶洋服に下駄ばきの新薬名
⑷新薬名の名づけ ⑸保証金付き
4 新薬突入時代―大正時代― ⑴新薬名の台頭 ⑵科学性を
志向する ⑶さまざまな新薬名 ⑷語末に「ン」をつける
⑸変化してゆく民間薬名
5 新薬全盛時代―昭和時代― ⑴新薬名の全盛 ⑵最新性を
志向する ⑶ひとりよがりな新薬名 ⑷難解な新薬名
⑸語感のよい名前の出現
6 まとめと明日への展望 ⑴まとめ ⑵明日への展望
『薬品名彙』の翻訳語
1 はじめに
2 訳語概観
3 基本単位
4 一字漢語語基
5 二字漢語語基
6 外来語語基
7 注記形式の翻訳
『学術用語』翻訳の歴史と問題点
1 はじめに
2 学術用語の形成
3 学術用語の命名法
4 対訳法による術語
5 借訳法による術語
6 新訳法による術語
7 音訳法による術語
8 術語のかかえた問題⑴―意味のずれ―
9 術語の抱えた問題⑵―多様な術語―
10 術語のかかえた問題⑶―音訳名の増加―
11 現代的な術語をめざして
Ⅲ 日本語の古典
プロローグ
1 なぜ古典を読まなければならないか
2 相対化する目を養う
3 創造性の芽をはぐくむ
4 言葉・表現から読む
5 一作品ごとにテーマを設ける
6 各時代の特色
一 言葉に霊力が宿る―奈良時代―
1 古事記―言葉が生む悲劇―
2 日本書紀―リアルな歴史叙述―
3 風土記―タブーと地名由来―
二 貴族文化の花が咲く―平安時代―
1 竹取物語―成長するかぐや姫―
2 伊勢物語―命をかける、それが愛―
3 うつほ物語―理想の男性を造型する―
4 蜻蛉日記―告白日記を書かせたもの―
5 大和物語―歌物語から説話文学へ―
6 落窪物語―セリフから人物が見える―
7 枕草子―エッセイストの条件―
8 源氏物語―言葉に仕掛けられた秘密―
9 堤中納言物語―カタカナを書く姫君は何歳か―
10 大鏡―権力闘争を勝ち抜く男―
11 今昔物語集―落差のある言葉遣いの魅力―
三 乱世を生きた人は語る―鎌倉・室町時代―
1 方丈記―見事なドキュメンタリー―
2 平家物語―鮮烈に描かれる若武者の死―
3 とはずがたり―愛欲に生きた人―
4 徒然草―兼好法師は女嫌いか―
5 太平記―「武者詞」の活躍―
6 風姿花伝―経験と情熱の能楽論―
7 狂言―短い時間で笑いを作る―
8 伊曾保物語―450年前から愛された翻訳文学―
四 庶民が楽しむ言葉の世界―江戸時代―
1 好色一代男―近世的なプレイボーイ―
2 おくのほそ道―句を際立たせる―
3 曾根崎心中―言葉が人形に魂を吹き込む―
4 雨月物語―怪異のリアリティ―
5 東海道中膝栗毛―シモネタの生む開放感―
6 蘭東事始―翻訳者の良心の告白―
7 南総里見八犬伝―迫力満点の戦闘シーン―
8 春色梅児誉美―心を揺さぶるエロチシズム―
エピローグ
1 『日本語の古典』ができるまで
2 心がけたこと
3 ささやかな使命感
参考文献
既発表論文・著書との関係