山口仲美著作集 6オノマトペの歴史 2
ちんちん千鳥のなく声は・犬は「びよ」と鳴いていた
定価:
6,380
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5,800
円+税)
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著作集の刊行にあたって
まえがき
Ⅰ ちんちん千鳥のなく声は―日本人が聴いた鳥の声―
はじめに
1 写声と聞きなし
2 聞きなしは、人の心を
3 どんな鳥の声を
嬶嬶とよびわたる―カラス―
1 コロクと鳴く
2 かわいかわいと鳴くんだよ
3 カラスという名
4 イザワイザワと鳴く
5 無視されたカラス
6 コカコカを何と聞く
7 カアカアを何と聞く
8 カラスとトビの餌争い
9 アホウアホウは、江戸時代
10 憎めないハシブトガラス
ほほうほほうもほめことば―ウグイス―
1 皇居で鳴きなさい
2 出雲の国のウグイスの声
3 ウークヒと鳴く
4 ウクヒズの声
5 ヒトクと鳴く
6 ヒトクの流れ
7 三光に鳴く
8 チヨは、何の声?
9 ホホウホホウとお世辞を
11 なんといってもウグイス
12 法華経の意味を忘れる
仏壇に本尊かけたか―ホトトギス―
1 独特の激しい声
2 ホトトギスは何と鳴く
3 トキスギニケリには、農耕生活のにおいが
4 ホトトギスと鳴く
5 ホトトギス説話
6 ホトトギスは、江戸で消える
7 ケアサノアサケナコと言った
8 タヒラハチヨとトモニチヨニ
9 トキハカキハの声
11 冥途からの使者
12 砥取山のホトトギス
13 包丁立てた
ひいる盗人とさけべば―トビ―
1 現在は、ピーヒョロ
2 霊力をもつ
3 トビと天狗
4 天狗の鼻は、なぜ高い?
5 山伏は、トビになる
6 天狗は、何と鳴く
7 トビは、何と鳴く
8 長すぎる鳴き声
9 ヒーヨロか、ピーヨロか
10 トビは無能
11 ひいる盗人
12 ひい野郎め
13 鳴け鳴けトンビ
虚空にしばしひひめいたり―ヌエ―
1 ヌエは怪鳥?
2 求婚の時に鳴いた
3 ヌエの声は、片思いに泣く声
4 ヌエは、何鳥?
5 ヌエの声を聞いたら、避難・物忌み・誦文を
6 ヌエの声を何と聞く
7 ヌエは、怪鳥である
8 ヌエは、ますます怪鳥に
9 頼政は、怪物を退治した
10 ヌエは、怪物になった
11 怪物は、何と鳴く
12 ヒューヒーと鳴く
お口をそろえてちいぱっぱ―スズメ―
1 スズメの学校
2 シウシウとなく
3 漢語「啾々」は、人の泣く声
4 学校付近のスズメは、何と鳴く
5 ジジめくスズメ
6 ネズミもジジめく
7 スズメの声とネズミの声
8 舌切雀の鳴く声は
9 父をよぶ声
11 酒の相手に来ておくれ
12 チュンチュンの誕生
13 ちいちいぱっぱ
糊すりおけとよぶ声に―フクロウ―
1 昼の顔と夜の顔
2 不気味なしゃがれ声
3 親を食う鳥
4 不孝鳥の系譜
5 83歳で恋をする
6 フクロウは、何と鳴く
7 実際は、どう鳴くか
8 糊すりおけ・糊つけほほん
9 晴雨を鳴き分ける
10 夜明けなば巣つくろう
11 五郎七奉公
12 この月とっくおう
13 ふくろは、老いぼれ
妻恋う声はけんけんほろろ―キジ―
1 キジは、何と鳴く
2 江戸時代の桃太郎
3 ホロロと鳴く
4 キジは、ホロロ・ホロホロ
5 ホロロともなかぬ
6 ホロロは、何か
7 寝酒の肴は、殺したてのキジの肉
8 キジは、目から血の涙
9 なぜ、ホロロが鳴き声になったのか
10 キジの鳴き声は、ケイケイ
11 妻恋ふ声は、ケンケンホロロ
12 「イ」から「ン」へ―犬の声など―
13 子ゆえに身をこがす
14 雌キジは、何と鳴く
ちんちん千鳥のなく声は―チドリ―
1 北原白秋の童謡
2 チドリの声は、物思わせる
3 ヤチヨとないたチドリ
4 イカルチドリは、何と鳴く
5 チドリは、チヨチヨとなく
6 チドリは、いつもヤチヨとなく
7 狂言『千鳥』
8 チドリの声は、チリチリ
9 チリチリ千鳥やカンカン鴎が、うまい仲
10 ちんちん千鳥のチンチンは?
11 「チドリ」の「チ」は、鳴き声
12 「ちんちん」は、男女の深い仲をも意味する
13 ちんちん千鳥のなく声は
うたう声にも血の涙―ウトウ―
1 悲劇の主人公
2 ウトウとよべば、ヤスカタと答える
3 子を呼ぶ声は、ウトウヤスカタ
4 実際の鳴き声
5 地獄で苦しむ猟師
6 鳥の名は、三種
7 鳥名と鳴き声
8 ウトウは、アイヌ語から?
9 ウトウは、ほら穴の意味から?
10 ウトウは、「穴にすむウ」のこと
11 ヤスカタの名は、どこから?
12 うたう声にも血の涙
がんがんと鐘ならせ―ガン―
1 深い感情を表すガン
2 昔の名前は?
3 カリは、何と鳴く
4 カリと鳴くガンは、いるか
5 カリの声は、哀感をさそう
6 カリの声は、近世まで
7 武蔵国の雁は、何と鳴く
8 カリとガンの争い
9 ガンの勝ち
10 カリの方が、上品
11 なぜ、ガンに?
12 ガンは、鳴き声
13 鳴き声から鳴き声へ
こけこっこのおばさんに―ニワトリ―
1 コケコッコは、おじさんだ
2 カケロと鳴く
3 くたかけを水槽にぶち込んでやるわ
4 「駆けろ」と鳴く
5 にわとりむこは、何と鳴く
6 トッテコーとカッケコー
7 東天紅となく
8 にわとり屁
9 トッケイコーと鳴く
10 コケコー・コッカッコー・コッケイコー
11 コケコッコーは、明治時代から
12 時をつくる声の歴史
13 闘鶏のとき
14 警戒するとき
15 のどかな気分の時
16 コメクレロー
おわりに
Ⅱ 犬は「びよ」と鳴いていた―日本語は擬音語・擬態語が面白い―
一 擬音語・擬態語の不思議
擬音語・擬態語に魅せられる
1 毀誉褒貶の言語
2 昔のものほど面白い
3 犬は「びよ」と鳴いていた
4 鳴き声の変遷で分かる動物と人との関係
5 場面を効果的に演出する
6 和歌の掛詞にする
7 『源氏物語』では人物造型まで行う
擬音語・擬態語のかたち
1 匂いで分かる
2 現代の擬音語・擬態語の語型
3 「ッ」「ン」「ー」の大活躍
4 時代を遡ると
5 [ABAB]型が日本代表
6 ある時代だけに栄えた語型
7 「ラ」「ロ」から「リ」へ
擬音語・擬態語の寿命
1 宝庫は『今昔物語集』
2 そこに見られる擬音語・擬態語
3 53%は、現代まで継承
4 消えた擬音語・擬態語
5 流行語ではありません
擬音語・擬態語の変化
1 郷愁の音
2 機械音の増加
3 〝笑い系〟が増えた現在
4 「ビビビッ」「プッツン」「ウルウル」
5 〝慎み深くゆっくり〟だった30年前
6 時代は〝過激にすばやく豪快に〟
掛詞で楽しむ擬音語・擬態語
1 隠された意味はないのが、ふつう
2 葉ずれの音は、相づちの言葉
3 鹿の声に思いを託す
4 「ミウミウ」と「見う見う」を掛ける
5 人気があった鳥の声
6 和歌ならではの技法
辞典の中の擬音語・擬態語
1 国語辞典に載らない日本語
2 日本語を学ぶ外国人と翻訳者のため
3 「あっさり」と「さっぱり」の違い
4 意味のわからない解説文
5 押し入れみたいな項目
6 「あたふた」を「おたおた」で説明されても
7 鶏の声はいつから「こけこっこー」
8 カラスは「コロク」と鳴いていた
9 ビジュアル情報も欲しい
二 動物の声の不思議
昔の犬は何と鳴く―犬―
1 「わんわん」は江戸時代初めから
2 平安時代は「ひよ」の文字
3 昔は濁音表記がなかった
4 犬の鳴きさし虻の一声
5 「びよ」は江戸時代中頃まで
6 「びょう」は遠吠えだった
7 「椀」「湾」「腕」
8 飼犬と野犬の違い
ニャンとせう―猫―
1 ぽんと蹴りゃ にゃんと鳴く
2 淫靡な意味合いの「にゃあん」
3 江戸時代は「にゃあ」が一般的
4 切実な「にゃあご」
5 「ねうねう」を「寝よう寝よう」に掛ける
6 「猫」には遊女の意味も
7 猫はいつから日本にいたか
チウき殺してやらう―鼠―
1 鼠の名前には「忠」がつく
2 「チウ」は江戸から
3 一時栄えた「チイチイ」
4 室町時代までは「シウシウ」
5 鼠と雀は同じ声だった
6 私はあなたに「ムチュウ」
モウモウぎうの音も出ませぬ―牛―
1 万葉の牛は英語式
2 方言に残る「ンモ」
3 牡牛は「モー」、牝牛は「メー」
4 東北では「メー」と鳴く
5 「モー」の活躍
イヒヒンヒンと笑うて別れぬ―馬―
1 奈良時代は「イ」
2 平安時代は「イン」
3 江戸時代から「ヒン」
4 「イ」が「ヒ」に変化した理由
5 「イン」と「ヒン」の戦い
われは狐ぢゃこんこんくゎいくゎい―狐―
1 狐は「こんこん」でしょう
2 「コン」の声は奈良時代から
3 掛詞によく使われた「こんこん」
4 消えた「こうこう」
5 機嫌の悪い「くゎいくゎい」の声
6 「こんこん」が生き残った理由
ももんがの鳴きやうを知らぬ―モモンガ―
1 モモンガの声を求めて探索
2 モモンガが現れない
3 モモンガとムササビは同じか
4 モモングヮは化け物
5 脅し文句・ののしりことば
6 元興寺の後継ぎ?
7 実際の鳴き声は?
美し佳しと鳴く蝉は―ツクツクボウシ―
1 漱石はオシイツクツク
2 現在では、「つくつく」は後ろに
3 「くつくつ」だった
4 蟬がお経を読むという発想
5 ウツクシの異名
6 ツクツクボウシの登場
7 転倒に次ぐ転倒の歴史
エピローグ
1 一通の手紙
2 今度は身近の動物の声で
3 擬音語・擬態語の特色も
4 こうして本に
Ⅲ オノマトペ研究余滴&エッセイ
ちんちんかもかも
1 男女の深い仲
2 湯のわく音から
3 三味線の音から
4 なぜ、「かも」なのか
「ぼろおん」は、ホラ貝の音?1
1 擬音語か
2 呪文か
3 梵語から来た呪文
「ぼろおん」は、ホラ貝の音?2
1 いつから辞書に
2 『言泉』と『大言海』
3 狂言の「ぼろおん」
「ぼろおん」は、ホラ貝の音?3
1 ホラ貝の音を聞く
2 ホラ貝の音は「ぶうぶう」
3 大槻文彦の錯覚の謎解き
「ほおん」は、フクロウの鳴き声か?
1 問題は
2 「頭脈」をとる
3 「ほほん」も、出現する
4 「ほおん」と「ほほん」
5 「ほおん」が本来?
6 他の狂言台本は、すべて「ほほん」「ほほ」
7 実際のフクロウの声
8 「ほほん」が、正しい
「ほろほろ」は、鳴き声か羽音か
1 ほろほろと鳴く
2 キジでは羽音
3 山鳥では鳴き声
お化けの出る音
1 「ひゅうどろどろ」は、いつ現れた?
2 歌舞伎の効果音楽
3 「ひゅうどろどろ」は、笛や太鼓の楽譜
4 寺の開帳の時にも
5 お化けの出没を知らせる「言葉」に
6 「焼酎火」や「お化け」の意味も
ツルの一声
1 ツルの一声を発するのは誰?
2 ツルは、姿も声もすばらしい
3 ツルの声は、天まで届く
4 なぜ「一声」なのか?
5 ツルの一声スズメの千声
消えた音
1 水に溺れる音は?
2 経箱が「ごぶごぶ」
3 今の「ごぼごぼ」「がぶがぶ」
豊饒な言語
1 造語の力
2 詩では
3 散文でも
4 使い方をずらす
作詩の秘密―オノマトペからさぐる―
1 「そよそよと」する女の手
2 「そっくりと」口にあてて食べる
3 蝶の羽音は「てふてふ」
4 犬は「のをあある」
五感を刺激する文章
1 身体的記憶
2 肌への刺激
3 耳への刺激
4 目への刺激
一茶の句法
1 一句に二語も
2 感性に強く訴える
3 滑稽感を誘いだす
4 人間性を加える
5 狂歌の世界に通じる
短歌と擬音語
1 「むりッむりッ」と芽吹く
2 「そよ」といふ
3 「人が来る」と嫌がる
4 「美し佳し」と蟬が鳴く
楽器の音―背後に「唱歌」―
1 三味線の音
2 口三味線から
3 小鼓の音と「唱歌」
4 太鼓・笛・琴と「唱歌」
5 日本人の擬音語好き
ヒャラリヒャラリコ
1 江戸時代の流行歌に
2 「唱歌」からきた笛の音
ワシの声
1 一例見られたワシの声
2 「カカ」は、何ワシの声か
ウズラは美声
1 人気者だった
2 何と鳴く?
3 最高の鳴き声は?
ヒバリは何とさえずるか?
1 ちよちよと鳴く?
2 ピーピーとさえずる
3 昔はチヨチヨ
現代のハトは「九九」
1 ポッポと鳴くか
2 ハト売り
3 中国でも
「キャッキャッ」の声は、何を語る?
1 キャッの声は
2 ちょっと恐いと
3 ココと鳴いていた
カエルの歌は濁音か?
1 ゲェッゲェッ
2 カエルの声がウグイスと
3 「こうしていたい」と鳴くカジカ
鹿の妻呼ぶ声は
1 鹿の声はヒヒ
2 カヒヨとぞ鳴く
3 ビイと鳴く
世界の動物の声
1 中国語のニワトリの声
2 犬の声・猫の声
3 なぜ、国によって異なるのか?
名前のルーツ
1 言語の起源にも
2 動物の名前
3 植物の名前
4 物の名前
「蚊」という名前
1 蚊の羽音
2 羽音をうつす言葉が変わる
象のすすり泣き
1 北京動物園に行く
2 象舎の中で
オノマトペは輸出言語!
1 コミックの場合
2 フィルム・コミックの場合
オノマトペ作りに挑戦
1 型をふまえる
2 オノマトペを作る
既発表論文・著書との関係