ジェームズ・カマーの学校開発プログラム研究
米国都市における貧困家庭の子どもの学習支援の取り組み
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序章 本研究の課題と方法
第1節 本研究の目的
第2節 米国都市における教育上の諸問題
1.都市学区の貧困・マイノリティ家庭の集中と学力問題
2.「危機に瀕する子ども」をめぐる全米調査研究の検討
3.インナーシティ問題の考察で鍵となる概念
―「社会的孤立」の問題―
4.カマーの人種問題への洞察
―「周縁化」問題への「全体論的アプローチ」構想―
第3節 カマー「学校開発プログラム」の評価研究の検討
1.「学校開発」を通した主題
2.研究デザインの特徴
3.貧困・マイノリティの低学力問題への諸説をめぐる論点
第4節 日本における先行研究の検討
1.「教育福祉問題」研究からの視座
2.子どもの学習権保障と教育行政の役割
3.新しい指導助言行政の質の追求
第5節 本研究の課題と方法
1.本研究の課題
―学校開発における価値判断の枠組みをめぐる研究課題―
2.本研究の構成と方法
―カマー・プログラムの理論的考察と実践的可能性の探究―
第1章 カマー「学校開発プログラム」の構想と特徴
第1節 パイロット・スクールの概要と問題の所在
1.大学と学区教育委員会との共同プロジェクト開始の背景
2.パイロット・スクールの概要と問題状況
3.学校全体の「関係性の風土」改善の必要性
第2節 「学校風土」開発を鍵概念とする学校改善計画
1.学校改善の前提となる4つの仮説
2.親参加形態の「3つのレベル」の開発
3.「価値ある風土」の創造と協働的な取り組み
第3節 発達の原理に基づく全体論的アプローチの構想
1.【9つの構成要素】の学校開発モデル
2.子どもの発達の理論的枠組と実践構想
―【6つの発達の筋道】に沿った支援―
3.発達過程における「経験の質」と「学業的学び」
4.子どもの発達を促進する「3つのネットワーク」からの支援
第4節 子どもの発達理論に基づく「学校風土」の質的向上
1.パイロット・スクールにおける5ヵ年計画の効果
2.外部評価とカマーらの総括
―社会的風土の改善と学業達成との関係―
第2章 「周縁化」問題を克服するためのカリキュラム開発
第1節 インナーシティの子どものためのソーシャルスキル・カリキュラム
1.教育とカリキュラム開発の目標
2.カリキュラムの主要な課題
3.ソーシャルスキル・カリキュラムの構想
第2節 教師と親とのカリキュラムの共同開発
1.開発された単元の概要
2.アンケート結果にみる親への波及効果
第3節 「選挙」単元の実践事例の検討
1.「選挙」単元における学習活動の展開
2.学習過程にみる獲得させたい社会的諸能力
3.「3つのソーシャル・ネットワーク」の支援が交差する状況
第4節 「周縁化」問題を克服する学びの意義
1.「社会的孤立」から市民的自立へと向かう道筋
2.学校を拠点とした「3つのソーシャル・ネットワーク」の新たな公共圏
第3章 「効果的な学校研究」と「学校開発プログラム」の質的相違
―カマーとエドモンズの対談集会における「効果」をめぐる論点―
第1節 エドモンズらによる「効果的な学校」論の提唱
1.「効果的な学校」提唱者の問題意義
2.識別された「効果的な学校の特性」
3.「効果的な学校の特性」提唱と実践的応用へのジレンマ
4.「効果的な学校の特性」をめぐる論点
第2節 対談集会における「効果的な学校改善」をめぐる論点
1.対談集会の概要と趣旨
2.カマーとエドモンズにおける議論の論点
第3節 「効果的な学校研究」と「学校開発プログラム」の質的相違
1.教育実践過程の質的相違
―アクション・リサーチ・アプローチの有用性―
2.指導助言者としての質的相違
3.学校のガバナンスモデルにおける質的相違
―「校長のリーダーシップ」および「学校風土」概念の相違―
第4章 学校における援助専門職の協働
―トランスディシプリナリー・チーム・アプローチの可能性―
第1節 学校における専門職の協働に関する理論的課題
1.学際的チーム・アプローチにおける「協働」の意義
2.トランスディシプリナリー・チーム・アプローチと「分散型リーダーシップ」
第2節 SDPモデルにおける「生徒・教職員へのサポートチーム」の特徴
1.発達の原理に基づく全体論的アプローチ
―【6つの発達の筋道】という理解―
2.「生徒・教職員へのサポートチーム」の構成と各専門職の役割
3.ケース会議におけるメンバー間の「対等性」の追求
4.チーム・アプローチにおけるソーシャルワーカーへの役割期待
第3節 援助専門職のチーム・アプローチによる支援的力量向上の可能性
第5章 「学校開発プログラム」実践と子どもの発達への効果
第1節 都市学区における子どもの学習・発達保障の観点からの評価
1.都市学区における「効果的な学校の特徴」
―校長・教師の認識を中心に―
2.「危機に瀕する子ども」の教育実践としての効果研究
3.マイノリティ生徒への教師の期待効果に関する評価研究
第2節 学校の組織開発に着目した評価研究
第3節 「学校風土」の子どもへの効果の相関関係
第6章 「学校風土」の重要な構成要素
―SDP評価研究の今日的到達点―
第1節 カマーらが追求する〈学校風土〉の概念
1.子どもの発達への〈学校風土〉の影響
2.〈学校風土〉の重要な構成要素
―「相互作用」と「経験の質」―
第2節 『学校風土調査』尺度にみる「相互作用」の特徴
1.子どもの発達への「網目のような支援」態勢づくり
2.子どもにとっての「価値ある〈風土〉」の指標
第3節 学校教職員における〈学校風土〉創造の指標
1.「協働による意思決定」を促進する校長のリーダーシップ
2.校長のリーダーシップと教職員との関係性
3.学校・家庭・地域の協働的な関係性
第4節 『学校風土調査』を介した大学研究者による学校支援
1.『学校風土調査』の結果分析で重視される視点
2.〈学校風土〉の3つの重要なファクター
3.カマー・スクールにおける効果的な実践の特徴
4.効果的な実践を促進する指導助言
第7章 「学校風土」の開発と教育長のリーダーシップ
―New Haven School Changeにおける学習コミュニティの創造―
第1節 都市学区のリーダーシップにおける理論的課題
第2節 ニューヘイブン学区の教育改革を支える協働的な関係性
1.大学と教育委員会との協働による「学校開発プログラム」の発展過程
2.学区教育長と市長との協働による教育改革
3.カマーとメーヨー教育長との長年にわたる協働
第3節 学区教育委員会による教育改革の今日的展開
1.教育長の教育ビジョンと方向性の設定
2.「リニューアルSDPプロジェクト」の開始
3.教育委員会と「学区全体の親リーダーシップ・チーム」会合
4.各委員会における「共有型リーダーシップ」体制
第4節 学区独特の『学校風土調査』を介した新たな学校公共空間の創造
1.学区『学校風土調査』における価値的指標
2.教師への質問項目にみる「学校のリーダーシップ実践」
3.学区『学校風土調査』の成果
4.指導助言行政の新たな質の探究
―School Changeイニシアチブの新展開―
5.教育長のリーダーシップによる学習コミュニティの創造
第5節 『学校風土調査』を活用した専門職の学習コミュニティの開発
―ネイサン・ヘイル小学校における実践の検討―
1.ネイサン・ヘイル小学校の概要
2.SDPを導入した初年度の目標
3.ネイサン・ヘイル小学校における【3つのチーム】の組織化
4.校長のリーダーシップと〈学校風土〉
5.〈学校風土〉の子どもへの効果
終章 総括と展望
―都市教育におけるカマー「学校開発プログラム」の今日的意義と課題―
第1節 各章の総括
第2節 SDP実践で開発された〈学校風土〉指標に基づく学校計画経営
1.社会正義を希求する「コミュニティの風土」の開発
2.人間の発達可能性への焦点化
―【6つの発達の筋道】に沿った学習・発達支援―
3.【9つの構成要素】を用いた学校計画経営
4.「3つのソーシャル・ネットワーク」構想と展開
第3節 学区教育委員会の指導助言行政とソーシャル・ネットワークの創造
―学区全体における「風土」開発の今日的意義―
1.「学級風土」の創造に向けたすべての取り組み努力
2.学区全体の取り組みを支える信頼関係
3.学区教育委員会による指導助言行政の新たな質の探究
4.学区教育委員会による組織的取り組みの意義
結語
参考文献
資料
あとがき
事項索引
人名索引