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哲学的建築学 生得的融合論

生の文脈における生物と環境との動的関係性に基づく世界観としての意味理論

定価: 3,850 (本体 3,500 円+税)

 生得的融合論(Innate Fusionism)は、建築学から初めて発信される本格的な意味理論である。生得的融合論が提示する独創的な世界観は、建築学のみならず多様な学術分野におけるパラダイムの転換(paradigm shift)をもたらし、それら学術分野の融合をも視野に入れた新たな地平を提供するものとなるであろう。
 本書は、新たな世界観としての意味理論である生得的融合論をより詳しく理解するために執筆されたものである。

【著者紹介】
赤木徹也(あかぎ てつや)

1967年 大阪府大阪市生まれ
1985年 大阪府立住吉高等学校 卒業
1986年 関西大学工学部建築学科 入学
1990年 関西大学工学部建築学科 卒業
1990年 関西大学大学院工学研究科建築学専攻 入学
1992年 関西大学大学院工学研究科建築学専攻 修了
1992年 関西大学 工学修士
        論文題目:屋内歩行時における痴呆性老人と精神薄弱者の
             探索的注視特性に関する研究
1992年 清水建設株式会社設計本部 入社
1998年 清水建設株式会社設計本部 退社
1998年〜2001年 関西大学工学部員外研究者
2001年 大阪大学 博士(工学)
        論文題目:痴呆性高齢者の視覚探索特性に基づく建築空間
             整備に関する基礎的研究
2001年 工学院大学工学部建築学科 専任講師
2004年 工学院大学工学部建築学科 助教授
2007年 工学院大学工学部建築学科 准教授
2011年 工学院大学建築学部建築デザイン学科 准教授
2015年 工学院大学建築学部建築デザイン学科 教授
現在に至る

 主要著書
『認知症ケア用語辞典』(共著)、ワールドプランニング、2016
『認知症ケア標準テキスト改訂5 版―認知症ケアにおける社会資源―』(共著)、 ワールドプランニング、2016
『建築空間計画』(共著)、彰国社、2012
『建築・都市計画のための調査・分析方法(改訂版)』(共著)、井上書院、2012
『認知症高齢者が安心できるケア環境づくり―実践に役立つ環境評価と整備手法―』 (共著)、彰国社、2009
『空間要素―世界の建築・都市デザイン―』(共著)、井上書院、2003
など
目次を表示します。
まえがき

第1章 序論
 第1節 本研究の目的、ならびに生得的融合論の指針・適用範囲
  1 .本研究の目的
  2 .生得的融合論の指針
  3 .生得的融合論の適用範囲
 注釈・引用文献
 第2節 謝辞
第2章 哲学的枠組み
 第1節 生物環境関係性と意味
  第1項 意味の起源
   1 .意味の意味への問題提起
   2 .存在における偶然性
   3 .生の有限性に関する理解
   4 .生と意味
   5 .意味の意味への仮説
 注釈・引用文献
  第2項 人間環境関係性に基づく世界観
   1 .世界観の枠組み
   2 .環境決定論・環境可能論・主体論とその矛盾
   3 .相互浸透論・相互作用論・有機体論とその矛盾
   4 .生物環境関係性としての新たな世界観
 注釈・引用文献
  第3項 生得的融合論における環境・生物・意味
   1 .生得的融合論における環境
   2 .生の文脈における生物と環境との動的関係性
   3 .環境・身体(自我)・意味(自己)の定位
 注釈・引用文献
 第2節 生得的融合論における意味の特性
   1 .意味の所在・創発とその顕現化プロセス
   2 .意味の様態
   3 .意味の性質
 注釈・引用文献
 第3節 生得的融合論と実践
   1 .理論と実践に関する基本姿勢
   2 .生得的融合論が志向する実践としての環境デザイン研究の姿勢
   3 .生得的融合論が志向する実践としての環境デザイン計画の姿勢
 注釈・引用文献
第3章 生得的融合論における意味創発事例
第Ⅰ部 Interaction を中心とする意味創発
 第1 節 学習・技能(熟達)・行為実行論的アプローチ─都市環境における『最短距離』の意味─
  1 .研究目的
  2 .調査概要
  3 .調査結果と考察
  4 .まとめ
 注釈・引用文献
 第2節 知覚・意識(注意)発達論的アプローチ─認知症高齢者の建築環境における『安全・わかりやすさ』の意味─
  第1項 注視の基本特性
   1 .研究目的
   2 .調査概要
   3 .調査結果と考察
   4 .まとめ
 注釈・引用文献
  第2項 潜在的障害への注視特性
   1 .研究目的
   2 .調査概要
   3 .調査結果と考察
   4 .まとめ
 注釈・引用文献
  第3項 誘導指標への注視特性
   1 .研究目的
   2 .調査概要
   3 .調査結果と考察
   4 .まとめ
 注釈・引用文献
  第4項 総括
   1 .建築環境における『安全・わかりやすさ』の意味と環境整備条件
   2 .環境デザインへの示唆
   3 .生態学的妥当性における課題
 第3節 感情・発達・行為実行論的アプローチ─認知症高齢者の建築環境における『家庭らしさ』の意味─
  1 .研究目的
  2 .調査概要
  3 .調査結果と考察
  4 .まとめ
 注釈・引用文献
第Ⅱ部 Transaction を中心とする意味創発
 第1節 知識・言語論的アプローチ─都市環境における『街区』の意味とその変容─
  第1項 都市環境における『街区』の意味
   1 .研究目的
   2 .調査概要
   3 .調査結果と考察
   4 .まとめ
 注釈・引用文献
  第2項 期待効果の影響による『街区』の意味変容
   1 .研究目的
   2 .調査概要
   3 .調査結果と考察
   4 .まとめ
 注釈・引用文献
 第2節 意識(注意)・発達・言語論的アプローチ─建築環境における認知症高齢者の『その人らしさ』の意味─
  1 .研究目的
  2 .調査概要
  3 .調査結果と考察
  4 .まとめ
 注釈・引用文献
 第3節 感情・記憶・言語論的アプローチ─建築環境における『表象的幸福感』の意味─
  1 .研究目的
  2 .調査概要
  3 .調査結果と考察
  4 .まとめ
 注釈・引用文献
第4章 結論
 第1節 生得的融合論の意義
  1 .生を指針とする意味理論
  2 .生物環境関係性としての新たな世界観
  3 .環境・身体(自我)・意味(自己)の定位
 注釈・引用文献
 第2 節 建築学への提言:『哲学的建築学』の創設
 注釈・引用文献
 
あとがき
原書(引用文献)目録
人名索引
事項索引
著者赤木徹也 著
発行年月日2020年04月30日
頁数360頁
判型 B5
ISBNコード978-4-7599-2323-0