はじめに
序章 課題・対象・方法
第1節 問題の所在と研究課題
第1項 原体験―「重症児」の〈ヨコヘの発達〉
第2項 研究課題―〈ヨコヘの発達〉の歴史的・思想的・実践的定位
第2節 先行研究の検討
第1項 「発達保障」思想形成史研究の成果と課題
第2項 〈ヨコヘの発達〉研究の意義
第3項 近江学園・びわこ学園研究の成果と課題
第3節 研究の視点と方法
第1項 研究の視点
第2項 論文の方法
第4節 本論文の構成と概要
第5節 用語の整理
第1項 「療護児」
第2項 「重症心身障害児」(「重症児」)
第3項 「動く重症児」「強度行動障害児」
第4項 「超重症児」
第5項 その他の用語
第1部 近江学園等における重症児者の「発達保障」思想の形成―〈ヨコヘの発達〉の創出(1946~1968年)
第1章 重症児者の「発達」可能性~近江学園・新「さくら組」「杉の子組」,あざみ寮の実践
第1節 糸賀一雄の「発達」観
第1項 近江学園設立と「永遠の幼児」観
第2項転機としての新[さくら組]の実践
第2節 「杉の子組」の実践と思想の往還~糸賀一雄と岡崎英彦
第1項 岡崎英彦の志と近江学園診療所の実践
第2項 [杉の子組]の実践
第3項 「感ずる世界」「意欲する世界」の観取と「共感」という視点
第3節 あざみ寮の実践と思想の往還~糸賀一雄と田中昌人
第1項 あざみ寮開寮と田中の着任
第2項 「人格形成」「発達的共感」という視点
小括「発達」観の転換
第2章 糸賀一雄,岡崎英彦,田中昌人による〈ヨコヘの発達〉の共創
第1節 「発達保障」の提起と創設初期びわこ学園の実践
第1項 田中による発達過程の解明と「発達保障」の提起
第2項 びわこ学園の創設
第3項 「生命」の先にある重症児者の価値
第2節 重症児者との「発達的共感」「自己実現」そして「横」という視点
第1項 見えてきた子どもたちの「変化」と療育の方向性
第2項 重症児者との「発達的共感」,「自己実現」
第3項 おのおのの段階のなかの無限の可能性~糸賀一雄
第4項 「心」や「内面」を「横へのふくらみ」という言葉で~田中昌人
第3節「横(横軸)の発達」,「横(ヨコ)への発達」,「“よこ”への育ち」
第1項 能力主義に抗して~〈ヨコへの発達〉の結像(1966年)
第2項 近江学園・びわこ学園から社会へ~新しい「価値の創造」
第3項 糸賀一雄「横(横軸)の発達」,田中昌人「横(ヨコ)への発達」,岡崎英彦「“よこ”への育ち」
第4節 「横の広がり」と「“よこ”への育ち」~糸賀一雄,岡崎英彦
第1項 著作物における「横(横軸)の発達」表記
第2項 糸賀一雄「横の広がり」~「無限の可能性」「無限な充実」「無限の挑戦」
第3項 岡崎英彦「“よこ”への育ち」を貫いた真意
小括 〈ヨコヘの発達〉の結像
第Ⅱ部 びわこ学園における重症児者の「発達保障」実践の展開―〈ヨコヘの発達〉の内実(1963~2010年代)
第3章 「第一びわこ学園」における「発達保障」実践の展開(1963~2010年代)
第1節 第1期:びわこ学園の創設と〈ヨコヘの発達〉の結像(1963~1966年)
第1項 時期区分
第2項 創設初期びわこ学園の実践
第2節 第2期前半:重症兒者療育の確立(1967~1978年)
第1項 虚弱児の「全面発達」の追求
第2項 「ベッド生活における豊かさ」の追求
第3節 第2期後半:重症児者療育の深化(1979~1993年)
第1項 「いのち」そして「快」「関係性」の保障
第2項 「いのち」そして「生活」の豊かさの保障
第4節 第3期:「超重症児」への療育と〈終末期の療育〉(1994~2014年)
第1項 QOLと自己実現
第2項 〈終末期の療育〉
小括「第一びわこ学園」における「発達保障」の基盤と方法
第4章 「第二びわこ学園」における「発達保障」実践の展開(1966~2010年代)
第1節 第1期:療育の模索(1966~1980年)
第1項 時期区分
第2項 「ゆさぶりーひきだし」の療育~西棟
第3項 「運び作業」がつないだ人と人との関係~新棟Ⅰ
第2節 第2期:療育の深化(1981~1991年)
第1項 個々の「人生」に向き合う~西棟
第2項 個々の「思いをくみとる」~新棟I
第3節 第3期:療育の拡大(1992~2002年)
第1項 「生活全体の充実」の追求~西棟,東棟(一部)
第2項 「『内面的』な育ち」の追求~新棟I
第4節 第4期:療育の再考(2003~2009年)
第1項 医療的支援・身体介護と[療育]~第1住棟
第2項 新たな場における「生活づくり」~第3住棟
第5節 第5期:〈終末期の療育〉(2010~2015年)
第1項 限られた時間を豊かに~第1,第2住棟
第2項 〈終末期の療育〉~第3住棟
小括「第二びわこ学園」における「発達保障」の基盤と方法
第5章 びわこ学園園長の苦闘と「ともに生きる」「ヨコヘの広がり」
第1節 岡崎英彦の思想と実践の往還~前期:苦悶と葛藤(1967~1977年)
第1項 時期区分
第2項 職員の腰痛問題
第3項 園生の就学問題
第4項 「ともに生きる」
第2節 岡崎英彦の思想と実践の往還~後期:「ともに生きる」(1978~1987年)
第1項 びわこ学園の将来構想~「ともに」の二つの意味合い
第2項 「ともに生きる」と「発達」「発達保障」
第3項 「ともに生きる」と「“よこ”への育ち」
第3節 高谷清の思想と実践の往還~第1期:「ヨコヘの発達」との出会い(1970~1976年)
第1項 時期区分
第2項 「ヨコヘの発達」との出会い
第4節 高谷清の思想と実践の往還~第2期:「人間的な発達」の追求(1977~1997年)
第1項 重症児者の「人間としての発達」
第2項 重症児者の「いのち」と「心」
第5節 高谷清の思想と実践の往還~第3期:「ヨコヘの広がり」の提唱(1998~2015年)
第1項 「ヨコヘの広がり」
第2項 「パーソン論」に抗して
小括「ともに生きる」「ヨコヘの広がり」としての〈ヨコヘの発達〉
第6章 施設実践者における重症児者の変容を捉える「眼差し」および「対決」
第1節 調査手続きと結果
第1項 びわこ学園の実践者は重症児者の変容をどのように捉えたのか
第2項 インタビュー調査結果の概念化(STEP1)
第3項 カテゴリーへの統合(STEP2)
第4項 カテゴリー問の関係:関係図とストーリーライン(STEP3)
第5項 研究協力者による分析結果への評価(STEP4)
第2節 重症児者の「変容」を捉えるプロセス
第1項 I期:実践者の葛藤
第2項 Ⅱ期:重症児者の「心の表現」の受容と「発達的共感」
第3項 Ⅲ期:「関係形成」と「自己表現・自己実現」を志向した療育実践
第4項 IV期:重症児者の「変容」の確認と実践者自身の「変容」
小括 重症児者の「変容」を捉える「眼差し」および「対決」としての〈ヨコヘの発達〉
結章 〈ヨコヘの発達〉の歴史的・思想的・実践的定位
第1節 近江学園・びわこ学園における重症児者の「発達保障」―思想の形成と実践の展開
第2節 〈ヨコヘの発達〉の歴史的・思想的・実践的定位
第3節 今後の課題と展望
補論〈ヨコヘの発達〉と優生思想
第1節 医療および教育現場からみた優生思想
第2節 〈ヨコヘの発達〉研究からみた優生思想
史料および参考文献一覧
初出一覧
あとがき
索引