博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

フレーベルのキンダーガルテン実践に関する研究

「遊び」と「作業」をとおしての学び

定価: 13,200 (本体 12,000 円+税)

フレーベルのキンダーガルテン実践の成立過程とその保育内容・方法を歴史的に解明。現代の幼児の発達と学びを促進させる幼児教育実践となりうるかを考察する。

★☆★第51回(平成27年度)日本保育学会保育学文献賞★☆★

【著者略歴】
白川蓉子(しらかわ ようこ)
1941年 大連生まれ
1970年 東京大学大学院教育学研究科修士課程修了
1975年 東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学
1975年 徳島大学講師から助教授を経て
1980~2004年 神戸大学助教授から教授
2004~2011年 甲南女子大学教授
現  在 頌栄短期大学専攻科非常勤講師、神戸親和女子大学通信教育
      部講師、神戸大学名誉教授 博士(教育学)
※略歴は刊行当時のものです※
目次を表示します。
Foreword(Bernard Spodek)
はじめに
序章
 はじめに
 第1節 フレーベルの著作・著述について
  1.フレーベルの主要な著作・著述
  2.ランゲの『フレーベル全集』(1862)からフレーベルの著作・著述出版の歩み
  3.フレーベルの著作・著述に基づくフレーベル研究の困難性
 第2節 フレーベル研究史とキンダーガルテン実践の展開
  1.ドイツにおけるフレーベル研究史とキンダーガルテン実践の展開史
  2.イギリス・アメリカの英語圏におけるフレーベル研究史とキンダーガルテン実践の展開史
  3.日本におけるフレーベル研究史とキンダーガルテン実践
 第3節 本研究の課題と観点
  1.フレーベル・オリジナルなキンダーガルテン実践に関する研究の遅れ
  2.カイルハウ実践とキンダーガルテン実践の繋がり
  3.解釈学的研究と社会学的アプローチ
 第4節 本論文の目的,研究方法,現代乳幼児教育保育への示唆
  1.本研究の目的
  2.研究の方法
  3.本研究から現代の幼児教育へ示唆すること
  4.本論文の構成と各章の概要
第1章 フレーベルのキンダーガルテン実践の成立
 第1節 教育実践への内的動機づけ―戦争体験と「1836年,生命の革新」
  1.ドイツ解放戦争体験と教育実践への始動  
  2.カイルハウ実践からブランケンブルク実践へ
 第2節 キンダーガルテンの前身と三つの事業の統合
  1.「自己教授施設」(Autodidaktische Anstalt)における教具の開発
  2.「幼少期および青少年期の作業衝動を育てるための施設」
 第3節 一般ドイツ・キンダーガルテンの成立
第2章 フレーベル・オリジナルなキンダーガルテン実践の内容と方法
 第1節 フレーベル・オリジナルなキンダーガルテン実践の中心内容―遊具・作業具による遊戯(Spiel)と作業(Beschaftigung)
  1.遊具(ガーペ)による遊戯
  2.作業具による作業遊戯および作業(Beschaftigung)
 第2節 運動遊戯(Bewegungsspiele)
  1.ボールを用いた運動遊戯
  2.運動遊戯
  3.『母の遊戯と育児歌』からの遊戯
 第3節 自然との関わり,庭での栽培活動,砂場遊び
  1.自然物の収集
  2.キンダーガルテンにおける庭での栽培活動
  3.砂場遊び
 第4節 言葉,お話,読み書き
  1.言葉の教育
  2.文字の読み書き
 第5節 まとめ:フレーベル・オリジナルなキンダーガルテン実践の教育保育課程
第3章 人間教育の基礎段階における「遊び」と「作業」による学びの検証
 第1節 遊びと作業によるキンダーガルテン実践の理論的基礎
  1.キンダーガルテン実践とカイルハウ実践の連続性
  2.フレーベルのキリスト教教育および神観とキンダーガルテン実践
  3.キンダーガルテン実践における形而上学的構想―球体哲学他
  4.フレーベルに影響を及ぼした遊戯・作業教育論および遊戯論
 第2節 キンダーガルテンにおける「遊び」(Spiel)による学びの幼児教育学からの検討
  1.遊具・作業具を用いた「遊び」による「学び」
  2.運動遊戯と幼児の学びの特質
 第3節 キンダーガルテンにおける「作業」(Beschaftigung)をとおしての学び
  1.フレーベルの「労働」―人間の内的生命を外的に表わす生産活動としての労働
  2.キンダーガルテン実践における「作業」の意義
第4章 キンダーガルテンの伝播とフレーベリアン・オーソドックスの成立
 第1節 ドイツ,イギリスで展開したキンダーガルテン実践
  1.ドイツにおけるキンダーガルテン実践の展開
  2.イギリスにおけるキンダーガルテン実践の展開
 第2節 アメリカのキンダーガルテン実践と20恩物(Twenty Gifts)
  1.エリザベス・ピーボディーによるキンダーガルテンの導入(1850-1860年代)
  2.1870年代のキンダーガルテン実践―フィラデルフィア建国百年記念博覧会を頂点として
  3.ドイツ,イギリス,アメリカの指導書からみるキンダーガルテン実践の定型化
 第3節 日本におけるキンダーガルテン実践の導入と展開
  1.田中不二麿と中村正直の働き
  2.キンダーガルテン指導書の翻訳紹介
  3.キンダーガルテン実践の受容―松野クララと豊田芙雄
  4.エピローグ:東京女子師範学校附属幼稚園の教育課程
終章 フレーベル・オリジナルなキンダーガルテン実践の変容・改革・継承
 第1節 フレーベリアン・オーソドックスによるキンダーガルテン実践の変容
  1.遊具・作業遊具による「遊び」と「作業」の変容
  2.その他の保育内容の変容―「物を作りだすことに繋がる作業」,庭での栽培活動,運動遊戯
 第2節 キンダーガルテン実践への経験主義教育はらの批判
  1.キンダーガルテン実践についてのデューイの指摘
  2.キルパトリックによるフレーベル主義幼稚園の評価
 第3節 モンテッソーリ・メソッドから見たキンダーガルテン実践
  1.キンダーガルテンと「子どもの家」の背景―社会的・学問的・思想的背景
  2.モンテッソーリのフレーベル受容と批判
  3.キンダーガルテン実践と「子どもの家」実践の比較検討
 第4節 フレーベル・オリジナルなキンダーガルテン実践の幼児教育における意義と継承
  1.フレーベル・オリジナルなキンダーガルテンの「遊び」をとおしての「学び」の意義
  2.フレーベル・オリジナルなキンダーガルテンの「作業」の意義
  3.庭での植物栽培,自然との関わり,砂場遊び
  4.運動遊戯の意義と継承
  5.フレーベル・オリジナルな実践の何をどのように継承すべきか
参考文献一覧
あとがき
著者白川蓉子 著
発行年月日2014年02月28日
頁数440頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-2027-7