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算数・数学の問題解決型授業における精緻化を促進する指導法

定価: 7,150 (本体 6,500 円+税)

精緻化の視点から算数・数学の学習の質をとらえ、解法を部分提示することによって学習者を深い学びに導く発見的追跡法の効果を、実践検証しまとめた研究書。

【著者略歴】
小池嘉志(こいけ よしゆき)
1958年 愛知県東海市に生まれる
1981年 愛知教育大学教育学部数学科卒業
1981年 愛知県知多市立岡田小学校教諭
1983年 愛知県東海市立上野中学校教諭
1989年 愛知教育大学附属名古屋小学校教諭
2000年 愛知県知多郡東浦町教育委員会指導主事
2003年 愛知県常滑市立常滑西小学校教頭
2007年 愛知県東海市立加木屋南小学校長
2009年 愛知県豊田市立若園中学校長
2012年 愛知県知多郡東浦町立東浦中学校長
2014年 中部大学現代教育学部准教授 現在に至る
2021年 愛知教育大学・静岡大学大学院教育学研究科博士課程修了
    博士(教育学)
目次を表示します。
序(飯島康之)
まえがき

序章 本研究の目的と方法
 第1節 研究の背景と目的
 第2節 研究の方法
 第3節 論文の構成
 序章の引用・参考文献

第1章 記憶を促進し,学習の質を高める精緻化についての基礎研究
 第1節 学習の質と有意味学習
  (1)学習の質について
  (2)学習の質を高める有意味学習
 第2節 学習内容の理解と精緻化
  (1)精緻化概念のさまざまな捉え方
  (2)有意味学習と精緻化
 第3節 学習に関する精緻化研究の系譜
  (1)学習に関する精緻化研究の変遷
  (2)学校学習を重視した北尾による精緻化研究
  (3)精緻化の型に着目した豊田による精緻化研究
 第4節 人間の情報処理に関する精緻化の働き
  (1)パターン認識における既有知識の働きと精緻化
  (2)精緻化の過程におけるスキーマの役割
  (3)スクリプトと精緻化
 第5節 精緻化理論の学習への応用と評価
  (1)授業における学習内容の理解と精緻化
  (2)自己生成精緻化の学習への応用
  (3)学習の過程で精緻化を評価する指標
 第6節 第1章のまとめ
 第1章の引用・参考文献

第2章 精緻化の視点から見た算数・数学の問題解決型授業の課題と先行研究の検討
 第1節 わが国における算数・数学の問題解決型授業の現状
  (1)わが国の算数・数学の授業形態の特徴としての問題解決型授業
  (2)問題解決型授業のねらいと授業のプロセス
 第2節 算数・数学の問題解決型授業における解法理解活動についての考察
  (1)問題解決型授業における練り上げの役割
  (2)問題解決型授業における未解決者の存在と解法理解活動
  (3)自己発表法による解法理解活動
  (4)他者発表法による解法理解活動
  (5)解法の全体提示による解法理解活動を行う説明・受容型学習
 第3節 精緻化の視点から見た算数・数学の問題解決型授業の課題
  (1)説明を聞くことを中心とした理解活動に関する課題
  (2)「わかったつもり」と呼ばれる表面的な理解についての課題
  (3)自己生成精緻化の視点から見た説明・受容型学習の解法の全体提示の問題点
 第4節 精緻化の理論を取り入れた算数・数学分野における先行研究の検討
  (1)精緻化に関わるE.A.Silverの研究
  (2)問題解決から自力解決を重視した松川・高橋による研究
  (3)学びを深める協同的探究学習を取り入れた藤村の研究
  (4)先行研究の課題と本研究における算数・数学分野への新たな精緻化理論の応用
 第5節 第2章のまとめ
 第2章の引用・参考文献

第3章 算数・数学の学習における精緻化理論の応用と精緻化の促進
 第1節 算数・数学の学習への精緻化理論の応用
  (1)算数・数学の学習の特徴から見た精緻化理論の応用
  (2)算数・数学の授業における自己生成精緻化に基づく授業例
  (3)本研究における手だてについての考え方
 第2節 算数・数学の授業における精緻化を促し学びを深める手だて
  (1)自己生成精緻化を促進させる精緻的質問
  (2)外化活動による精緻化の促進
  (3)協同学習がもつ精緻化効果
  (4)部分提示をもとに解法の全体を完成させることによる精緻化効果
  (5)精緻化を促すその他の手だて
  (6)精緻化を促す手だてと期待される子どもたちの精緻化の姿
 第3節 第3章のまとめ
 第3章の引用・参考文献

第4章 算数・数学の問題解決型授業における精緻化を促進する指導法の構築
 第1節 精緻化を促す手だてを組み入れた指導法の理論
  (1)解法理解活動における解法の部分提示の効果
  (2)解法の部分提示を取り入れた算数・数学の解法理解活動の様相
  (3)解法理解活動における精緻化を促す手だての活用
  (4)発見的追跡法を組み入れた解法理解活動の構成
 第2節 精緻化理論に基づく発見的追跡法による授業構成の方法
  (1)発見的追跡法により授業を組み立てる際の基本的な考え方
  (2)発見的追跡法による解法理解活動の組み立ての手順
 第3節 発見的追跡法による算数・数学の授業構成のポイント
  (1)数と計算領域における発見的追跡法の利用のポイント
  (2)図形領域における発見的追跡法の利用のポイント
 第4節 第4章のまとめ
 第4章の引用・参考文献

第5章 授業実践を通して見る発見的追跡法の精緻化の効果の検証
 第1節 授業実践の目的・方法および計画
  (1)検証の目的および検証すべき仮説
  (2)検証の方法
  (3)検証の計画
 第2節 相殺方略の定着度の調査および実験群,統制群のグループ分け
  (1)事前テストの目的と方法
  (2)事前テストの結果と実験群,統制群のグループ分け
  (3)授業実践における倫理的側面についての考え方
 第3節 授業実践の実際および解法理解活動の質的分析による比較
  (1)問題の選定と子どもたちから出される解法
  (2)授業実践における問題設定活動の概要
  (3)統制群の説明・受容型学習による解法理解活動の概要
  (4)実験群の発見的追跡法による解法理解活動の概要
  (5)解法理解活動における精緻化を促す手だての様相と精緻化の姿の質的分析
 第4節 事後アンケート調査から見る理解度の比較
  (1)理解度の調査の目的
  (2)理解度の調査の方法
  (3)理解度の調査結果
  (4)理解度の調査結果からの考察
 第5節 事後アンケート調査から見る解法理解時の満足度(うれしさ)の比較
  (1)満足度の調査の目的
  (2)満足度の調査の方法
  (3)満足度の調査結果  
  (4)満足度の調査結果からの考察
 第6節 事後テストから見る発見的追跡法の学習内容の保持・転移に関する考察
  (1)事後テストの目的  
  (2)学習内容の保持についての調査の方法
  (3)学習内容の保持についての調査結果
  (4)学習内容の転移についての調査の方法
  (5)学習内容の転移についての調査結果
 第7節 授業実践を通して見る発見的追跡法の有効性についての考察
  (1)精緻化を促す手だての様相と精緻化の姿の比較からの考察
  (2)授業後の理解度の比較からの考察
  (3)解法理解時の満足度(うれしさ)の比較からの考察
  (4)学習内容の保持・転移の効果の比較からの考察
 第8節 第5章のまとめ
 第5章の引用・参考文献

終章 本研究の成果と今後の課題
 第1節 本研究の成果
  (1)算数・数学の学習内容の理解への精緻化の概念の適用
  (2)自己生成精緻化を促し,子どもたち一人一人の学びの成立を保障する指導法としての発見的追跡法の提案
 第2節 今後の課題
 終章の引用・参考文献
著者小池嘉志 著
発行年月日2021年08月31日
頁数230頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-2393-3