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徒然草の研究

定価: 29,700 (本体 27,000 円+税)

『徒然草』の諸本系統・成立過程と構成意識・表現機能・古注と受容の実証的研究。主に兼好の和歌的表現と論理に即して読み解き、従来未解決のテーマを追究した大著。

【著者略歴】
齋藤 彰(さいとう あきら)
昭和24年2月 新潟県生まれ。
昭和51年3月 日本大学大学院文学研究科博士課程修了。
現 職    昭和女子大学教授
専 攻    中世文学
※略歴は刊行当時のものです※
目次を表示します。
序                  有吉 保 博士
序論
〈論考編〉
第一章 徒然草諸本四系統の性格
 一 『徒然草』諸本の系統分類
 二 正徹本系統つれづれ草の古態的性格
    ―龍谷本の性格―
     序
     1 龍谷本の章段区分と本文内容
     2 正徹本と龍谷本に共通する誤脱
     結
 三 常緑本系統つれづれ草の過渡的性格
     序
     1 常緑本系統諸本の章段区分
     2 常緑本系統諸本の本文内容
     結
 四 幽齋本系統つれづれ草の混態的性格
     序
     1 幽齋本系統諸本の奥書
     2 幽齋本系統諸本の章段区分
     3 幽齋本系統諸本の本文内容
     結
 五 幽齋本系統第一類の性格
    ―臼杵本と東大本及び桂宮本との近似性―
     序
     1 臼杵本と桂宮本との比較
     2 臼杵本と東大本との比較
     結
 六 幽齋本系統第二類の性格
    ―永青本と王堂本及び重近本との近似性―
     序
     1 永青木と王堂本との近似性
     2 永青本と重近本との近似性
     3 永青本と王堂本及び重近本との近似性
     4 幽齋本系統第一類と第二類の烏丸本との相違性
     結
 七 烏丸本系統つれづれ草の遡源
    ―桃園文庫蔵室町期写本の性格―
     序
     1 桃園文庫本の章段区分
     2 桃園文庫本と烏丸本の本文比較
     結 
 八 烏丸光広筆つれづれ草の性格
    ―嵯峨本と御所本の近似性―
     序
     1 烏丸光広筆本と嵯峨本との比較
     2 嵯峨本と十行古活字本との比較
     3 嵯峨本と御所本との比較
     結
第二章 兼好自撰家集と徒然草の構成意識
 一 兼好自撰家集の哀傷歌事と構成意識
     序 
     l 忠岑集における哀傷歌の位置
     2 兼好自撰家集における哀傷歌の位置と構成の特質
     3 兼好自撰家集第二部の構成意識
     結
 二 兼好自撰家集の改編過程と構成意識
     序 
     1 推敲―編入歌・補記・見せ消ち・傍書訂正・脱葉―
     2 朱注―集付・人名―、墨注―「風雅」集付―
     3 その他―内題・奥書・家集事・巻頭歌・合点・巻末八首―
     結
 三 兼好自撰家集詠歌年譜考証
     序 
     1 兼好自撰家集の登場人物
     2 兼好自撰家集の撰集素材
     3 兼好自撰家集詠歌年譜
     結
 四 徒然草の哀傷による構成意識
     序
     1 〈雪の朝〉の女性〔第三一段〕
     2 〈月の夜〉の女性〔第三二段〕
     結
 五 徒然草の成立過程と構成意識
    ―語縁放下と才芸尊重―
     序
     1 諸縁放下に関する章段の構成
     2 才芸尊重に関する章段の構成
     3 諸縁放下と才芸尊重に関する章段の構成
     4 諸縁放下と才芸尊重に関する章段の成立過程
     結
 付 徒然草抄(磐齋)の章段区分と来意説
     序 
     1 徒然草抄(磐齋)の章段区分
     2 徒然草抄(磐齋)の章段区分と来意説
第三章 徒然草における表現機能
 一 徒然草の和歌的基盤
    ―表現棟能と構成意識―
     序
     1 和歌的基盤の形態と機能
     2 和歌的基盤を形成する先行作品の分布
     3 歌枕・歌題・歌材・評語・歌人
     4 和歌の認識
     5 思想と美の表現効果
     6 歌論と故実の論証効果
     結
 二 〈空の名残〉の象徴性
     序 
     1 〈空の名残〉〔第二〇段〕
     2 〈水のけしき〉〔第二一段〕
     結
 三 実利的な語句の用法にみる兼好の論理
     序 
     1 〈益なき事〉の二義性
     2 〈益〉の実効性
     3 〈利〉の表現機能
     4 〈得失・得・失〉の表現機能
     5 〈用・用なき・不用〉の表現機能
     結
第四章 徒然草の古注と受容
 一 幽齋本系統つれづれ草の注の性格
    ―中院通勝説と細川幸隆注の吟味―
     序
     1 出典・参考資料を明示する注
     2 文意解読の注
     3 用字・用語に関する注
     4 禁中の故実や知識に関する注
     5 時代性や存続性の観点による注
     6 人名の朧化表現を「双紙の筆法」と認めている注
     7 年号や人名に関する注
     8 音便化や発音指定の注
     結
  付
  (1)『寿命院抄』・『野槌』との比較
  (2)細川幽齋の口伝の吟味
 二 烏丸光広跋目覚し草のつれづれ草受容
     序 
     1 『目覚し草』の作者と執筆意図
     2 『目覚し草』の『つれづれ草』受容
     結
 三 にぎはひ草のつれづれ草受容
     序 
     1 『にぎはひ草』の書名と執筆意図
     2 『にぎはひ草』の『つれづれ草』受容 
     結
 四 わらんべ草の徒然草古注受容
     序 
     1 『わらんべ草』の成立過程と徒然草古注
     2 『わらんべ草』の『つれづれ草』受容 
     3 『わらんべ革』の『野槌』受容
     4 『わらんべ草』の『なぐさみ草』受容
     5 大蔵虎明の徒然草印可
〈資料編〉
一 徒然草の主要な校異
二 常緑本系統『つれづれ草上(下)』(岸上慎二博士蔵)の翻刻と校異
三 幽齋本系統つれづれ草の注の翻刻と校異
四 『つれづれ草』諸本・徒然草古注の章段区分比較一覧
五 加藤磐齋の古今伝授ならびに徒然草伝授資料『條々』(昭和女子大学図  書館蔵)の翻刻と解題
六 徒然草伝授資料『徒然草三ケ之傳五ケ之秘事』(昭和女子大学図書館
  蔵)の翻刻と解題
七 徒然草の近世期刊本・注釈書書目
八 徒然草の研究動向(研究文献紹介)
索引(人名、書名・事項)
あとがき
著者齋藤彰 著
発行年月日1998年02月28日
頁数876頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1078-0