博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

感染症と心理臨床

HIV/エイズと新型コロナウイルス感染症を中心に

定価: 2,530 (本体 2,300 円+税)

感染症における心理臨床のアプローチとは?
HIV/エイズとCOVID-19を中心に、感染症の特質を押さえつつ
具体的な予防とケアについて実践を通して論じる。

【編者紹介】
矢永由里子(やなが ゆりこ) 1章1、2、4節、2章3節、4章4節、5章、あとがき2
西南学院大学大学院人間科学研究科臨床心理学専攻非常勤講師。博士(心理学)・公認心理師・臨床心理士・医療福祉連携士。九州大学大学院人間環境学府臨床心理学コース博士課程修了。米国留学時のターミナル・遺族ケア実習を経て、1990年より産業医科大学病院、九州医療センターにてHIV感染症の患者と家族ケアや検査担当者支援に従事。公益財団法人エイズ予防財団研修・企画課課長を経て、慶應義塾大学医学部感染制御センター特任講師として臨床・研究・教育に従事。東日本大震災時に岩手県大槌町の災害支援に入り、「風の電話」の活動にも関わる。現在、福岡市精神保健福祉センターにてコロナ専門メンタルケアの電話相談に従事。
主な著書に「心理臨床実践」(誠信書房)、「『風の電話』とグリーフケア」(風間書房)など。

向笠 章子(むかさ あきこ) 4章1節、あとがき1
広島国際大学大学院教授。臨床心理士。久留米大学大学院心理学研究科後期博士課程満期終了。専門は、病院臨床・学校臨床。総合病院で勤務後にデイケアやスクールカウンセラーを経て現職。所属病院がエイズ治療拠点病院のため、初期からHIVに関し多職種連携を進めた。地域医療としてADHD児の包括的治療プログラムを立ち上げる。今回のCOVID-19の感染予防が、児童生徒に対して対人関係の捉え方の変化を生んでいるのではないかと危惧する。

【執筆者紹介】(執筆順)
武藤 正樹(むとう まさき) まえがき1
荒瀬 泰子(あらせ やすこ) まえがき2
岩室 紳也(いわむろ しんや) 1章3節
小松 賢亮(こまつ けんすけ) 2章1節
霧生 瑶子(きりう ようこ) 2章トピックス1
木村 聡太(きむら そうた) 2章トピックス2
福澤 理香(ふくざわ りか) 2章2節
大盛 久史(おおもり ひさし) 3章1節
安藤 博子(あんどう ひろこ) 3章トピックス
渡邉真奈美(わたなべ まなみ) 3章2節
扇澤 史子(おうぎさわ ふみこ) 3章3節
福永 聡子(ふくなが さとこ) 4章2節
吉川 昌子(よしかわ しょうこ) 4章3節
目次を表示します。

まえがき1 新型コロナと医療計画
まえがき2 新型コロナウイルス感染症に直面して

1章 総論
 1節 はじめに
  1.新型コロナウイルス感染症の出現
  2.心理職と感染症
  3.本著について
 2節 感染症の歴史:長い歴史のなかで、今、私たちはどこにいるのか
  1.感染症、意外に身近な病
  2.感染症パンデミックについて
  3.新興感染症の出現:HIV/エイズ、そして新型コロナウイルス感染症、その病の実態と特徴について
  4.まとめ
 3節 感染症と公衆衛生
  1.はじめに
  2.感染症対策に不可欠な公衆衛生の視点
  3.感染症対策の考え方
  4.事例、当事者との対話の大切さ
 4節 心理臨床で留意したい5つのポイント
  1.感染症の対応の基本は、予防とケアの同時進行
  2.全ての取り組みは、検査から
  3.感染症が人々へもたらす影響:交わりの遮断(disconnection)
  4.感染者の置かれた状況と感染判明後の心理的プロセス
  5.心理職が現場の支援を依頼されたら

2章 HIV感染症
 1節 HIV感染症から学ぶ
  1.はじめに
  2.精神科医療と「感染症」の医療
  3.HIV感染症と精神疾患
  4.HIV感染症の心理的問題
  5.患者個人の病の意味づけ
  6.変化し続ける環境への適応:医療の進歩と患者心理
  7.心理職に求められるもの
 トピックス1 感染判明時の心理と支援
 トピックス2 パートナー・家族へのHIV感染症のカミングアウト(周囲への告知)
 2節 総合病院におけるHIV感染症と心理臨床
  1.総合病院心理臨床の中でのHIV心理臨床の位置づけ
  2.HIVに関わることになったきっかけと戸惑い
  3.HIV感染症への心理臨床はそれまでと何が違うのか
  4.心理臨床の基本は変わらない
  5.総合病院の心理臨床がHIVに活きた部分
  6.HIV の心理臨床が総合病院に活きた部分
  7.医療スタッフを支援する
  8.心理職にも支えが必要
  9.心理職の専門性とは
 3節 HIV検査とカウンセリング
  1.はじめに
  2.HIV感染症と検査の取り組み
  3.検査相談における「カウンセリング」の役割
  4.検査に訪れる人たちとその心理的支援について
  5.感染症とコミュニティ
  6.「カウンセリング研修」と人材養成:支援者支援の一環として
  7.新型コロナウイルス感染症と検査:整備途上の検査体制

3章 新型コロナウイルス感染症1 医療
 1節 総合病院における感染症と心理臨床
  1.はじめに
  2.病院の特徴と概要
  3.大規模クラスター発生によって地域で起きている問題
  4.実際の支援
  5.地域の心理職の支援について
  6.考察:感染症がもたらす心理的問題と心理支援について
  7.おわりに
 トピックス 感染管理認定看護師より心理職へのメッセージ
 2節 精神科病院における感染症と心理臨床
  1.はじめに
  2.感染発生の病棟における職員への影響
  3.病院組織への影響
  4.通常の心理業務への影響
  5.考察:課題と心理職の役割
  6.おわりに
 3節 コロナ禍における高齢者医療:感染管理とケアの両立を目指した心理支援
  1.はじめに
  2.多職種チームの一員として院内全体およびコロナ専門病床への心理支援
  3.コロナ禍の精神科病棟における認知症入院患者への心理支援
  4.おわりに

4章 新型コロナウイルス感染症2 教育・コミュニティ
 1節 感染症と学校臨床
  1.新型コロナウイルス感染症対策の中でのスクールカウンセラーの役割
  2.コロナ禍における児童生徒への影響を考える
  3.まとめ
 2節 スクールカウンセラーからみた新型コロナウイルス感染症と学校
  1.はじめに
  2.新型コロナウイルス感染症の影響下の学校と心理支援の実際
  3.学校における心理支援から見えてきたもの
  4.まとめ:新型コロナウイルス感染症と学校
 3節 感染症の時代における大学生のメンタルヘルスと心理支援
  1.学生の心理的成熟を支えるキャンパスライフ
  2.コロナ禍にみる学生の心情とその分析
  3.感染症の時代における学生の成長支援
 4節 電話相談の現場より~声なき声が発せられるとき~
  1.電話相談とコミュニティ
  2.相談者と内容の分類、分析
  3.支援の特徴
  4.まとめ

5章 考察とまとめ
 1節 スティグマ(偏見)と差別について
  1.はじめに
  2.感染症とスティグマ:決して無視してはならない課題
  3.スティグマに関連する感情:罪悪感、恥と後ろめたさ、申し訳なさについて
  4.支援について:私たちにどのような対応が可能か
  5.まとめ
 2節 感染症と心理臨床
  1.予防とケアを目的とした心理教育の役割を、循環型の支援サイクルのなかで再考する
  2.パンデミックによる災禍への緊急支援から、その後の中長期視点に立つフォローまでの幅広い支援を意識する
  3.支援者支援を発展させる
  4.患者の最期と遺族に注目する
 3節 まとめ その1 「正しく知る」ということ
  1.はじめに
  2.感染症と3 つの課題
  3.「正しく知る」とは、具体的にどのような対応を意味するのか
 4節 まとめ その2 今後に向けて
  1.HIV感染症と新型コロナウイルス感染症が投げかけるもの
  2.今後について

あとがき1
あとがき2
著者矢永由里子・向笠章子 編著
発行年月日2022年07月30日
頁数272頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-2439-8