濃尾震災(1891年)における子ども救済と特別教育史研究
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刊行によせて 災害と子ども被災・救済の特別教育史研究を拓く(髙橋 智)
序章 研究の課題と方法
1.問題の所在
1.1 災害・「生存の危機」と社会的弱者の歴史的関係性
1.2 歴史のなかで災害に晒される子どものいのちと発達
1.3 明治期の歴史的災害への着目
2.研究の目的と方法
2.1 研究の目的
2.2 分析の視点
2.3 研究の方法
2.4 分析に用いる主な史資料
2.5 用語の定義
2.6 本書の構成
第1章 明治期日本の災害・児童救済保護に関する先行研究の検討
1.はじめに
2.濃尾震災における国家及び県行政の対応に関する先行研究の検討
3.濃尾震災における民間篤志家の動向に関する先行研究の検討
4.濃尾震災における「災害と教育」の課題に関する先行研究の検討
5.おわりに
第1部 濃尾震災と国家・地域行政による救済対応の諸相
第2章 濃尾震災と近代国民国家体制における社会的弱者の救済
1.はじめに
2.濃尾震災の発生と緊急支援期における災害救援活動
2.1 岐阜県および愛知県における被害
2.2 緊急支援期における救援・救済・医療活動の実態
2.3 救済金の下附と混乱:備荒儲蓄金・土木救済補助費・恩賜金
3.障害児者を含む社会的弱者への行政対応
3.1 震災救育所の設置と収容対象者
3.2 震災救育所の閉鎖
3.3 木曽川堤防復旧作業にみられる児童労働問題
4.おわりに
第3章 濃尾震災による岐阜県下の子ども・学校の被害実態と教育復興の取り組み
1.はじめに
2.岐阜県における学校被災の概況
3.岐阜県における学校・児童生徒の被災の実態
4.岐阜県における教育復興の実態
5.おわりに
第4章 濃尾震災による愛知県下の子ども・学校の被害実態と教育復興の取り組み
1.はじめに
2.愛知県西春日井郡における「特ニ究困ヲ極メタル」児童の実態と教育復興の動向
3.愛知県丹羽郡における教育復興と勅語謄本「奉護」の実態
4.おわりに
第2部 濃尾震災と民間篤志家による救済対応の諸相
第5章 石井十次による孤児救済活動と震災孤児院・岡山孤児院における取り組み
1.はじめに
2.キリスト教徒らによる濃尾震災児の救済活動
3.石井十次と名古屋震災孤児院創設までの動き
4.名古屋震災孤児院の概要
5.震災孤児院・岡山孤児院の被災孤児が抱える困難
6.おわりに
第6章 石井亮一による孤児教育保護活動と孤女学院・滝乃川学園における取り組み
1.はじめに
2.石井亮一の孤女学院における孤女・孤児救済の実際
2.1 先行研究の検討
2.2 石井亮一の東京救育院における救済保護活動の特徴
2.3 星野慎之輔ら震地伝道隊による現地調査・児童救済
2.4 太田徳代など「最も憫なる」児童の収容経緯
3.孤女学院における教育保護活動と「白痴」教育の黎明期
4.おわりに
第7章 森巻耳とA.F.チャペルによる濃尾震災被災盲人の救済活動と「鍼按練習所」「岐阜聖公会訓盲院」の開設
1.はじめに
2.森巻耳とA.F.チャペル
2.1 森巻耳の来歴とチャペルとの出会い
2.2 A.F.チャペルの来日経緯と英国プロテスタントの動向
2.3 岐阜県行政資料に見るA.F.チャペルの行動
3.森巻耳とA.F.チャペルの手記からみた岐阜聖公会の震災対応
4.「不慇一層」な存在への視座と鍼按練習所の設立
5.森巻耳とA.F.チャペルの教育的視座と鍼按練習所の閉鎖
6.岐阜聖公会訓盲院の設立と国内外からの支援
7.おわりに
第8章 長崎における濃尾震災義援活動と長崎慈善会・安中半三郎および野村惣四郎による長崎盲啞院の設立
1.はじめに
2.長崎における救恤義援活動と長崎慈善会の成立過程
3.安中半三郎の来歴と長崎慈善会
4.野村惣四郎の来歴と盲啞院設立への動き
5.長崎慈善会による長崎盲啞院の設立
6.おわりに
終章 研究の総括と課題
1.研究の総括
2.考察
2.1 濃尾震災の発生と社会的弱者・子どもの生命の位置づけ
2.2 濃尾震災の発生と社会的弱者・子どもへの特別な配慮
3.今後の課題と展望
3.1 今後の課題
3.2 今後の展望
文献
あとがき
索引