日本学術振興会の設立に関する研究
櫻井錠二のめざした学術研究体制
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序章 日本学術振興会の設立をめぐる問題の所在
第1節 問題の所在と研究の目的
1-1. 学術研究を取り巻く状況
1-2. 本研究の問いと目的
1-3. 研究の方法と分析の視点
1-4. 概念の整理
1-5. 明治初年における学術関連用語の翻訳
第2節 先行研究の検討
2-1. 科学史関連
2-2. 教育史関連
2-3. 人物史としての櫻井錠二関連
2-4. 本研究の位置づけ
第3節 本書の構成と依拠する諸資料
3-1. 本書の構成
3-2. 依拠する諸資料
第1章 国内における研究環境の整備
第1節 帝国大学の設置と試験研究所の整備
1-1. 帝国大学の設置と教育・研究
1-2. 大学の研究環境の形成と地方への拡大
1-3. 研究機能強化への転換
1-4. 帝国大学の財政
第2節 帝国学士院の設置と学術奨励
2-1. アカデミーの設置と帝国学士院への改組
2-2. 学術研究援助の始まりと出版事業
2-3. 帝国学士院の財源とその活用、学界の代表として
2-4. 官立試験研究所、陸海軍の研究拠点
第3節 理化学研究所の設立
3-1. 発端としての化学研究所と産業界との連携
3-2. 第一次大戦の影響と政府における調整難航
3-3. 研究所の建設、事業の開始と出費の増大
3-4. 理研の運営と内部分裂
第4節 文部省の科学研究奨励金と民間の学術支援
4-1. 科学研究奨励金の開始
4-2. 実業家による民間財団の形成
4-3. 財閥からの寄附
第2章 学術の国際化と科学の組織化
第1節 第一次大戦による国際学術組織の再編と国内への波及
1-1. 戦勝国による国際学術組織の再編とドイツの排除
1-2. 国内における学術研究会議の設置準備
1-3. 建議提出から設置、組織内での批判
1-4. 学術研究会議の事業展開
第2節 科学外交としての太平洋調査機関への参画
2-1. 汎太平洋学術会議への関与
2-2. 豪州会議への参加
2-3. 日本開催の準備
2-4. 会議における学術言語の決定
第3節 第3回汎太平洋学術会議の開催と成果
3-1. 会議の開催状況
3-2. 見学旅行の実施と歓迎会
3-3. 日本開催の成果と意義
第4節 明治・大正期における学術を取り巻く様相―基盤としての
4事象
4-1. 明治・大正期における学術をめぐる4事象
4-2. 振興会前史としての明治・大正期の学術体制
第3章 日本学術振興会の設立経過
第1節 有志総会から建議提出の興隆
1-1. 昭和初期の情勢と初回の有志会合での議論
1-2. 貴族院・衆議院への建議
1-3. 第2回有志総会での紛糾
第2節 御進講における提言と帝国学士院授賞式演説における政府への
苦言
2-1. 天皇への御進講という好機
2-2. 天皇への御進講―日本と海外の現状の対比
2-3. 天皇への御進講―経費の必要性と具体案
2-4. 帝国学士院授賞式における院長演説
第3節 予算確保の困難と海軍大将・財部彪合流による混迷
3-1. 首相との事前協議と次年度予算要求
3-2. 財部彪との会談、田丸節郎の存在
3-3. 「学術産業振興院」構想
3-4. 予算要求の結果としての3万円
第4節 御下賜金御沙汰による設立への急展開
4-1. 天皇からの御下賜金御沙汰
4-2. 鳩山文相による第1回協議会
4-3. 設立準備の最終局面
4-4. 「学術研究の振興」から「学術振興」への収斂
4-5. 産官学軍の連携における櫻井のイニシアティブ
第4章 日本学術振興会初期の組織運営と事業展開
第1節 経営運営:理念、形態、初期構成員
1-1. 財団法人の理念と目的
1-2. 組織形態
1-3. 構成員と発起人
1-4. 財団の原資と外国事例の移入
第2節 事業展開:研究活動と研究助成を主軸として
2-1. 構想時点での事業計画
2-2. 寄附行為における事業
2-3. 研究助成事業の実際
2-4. 研究助成の結果
2-5. 研究事業の実際
2-6. 研究事業の結果
2-7. 事業選択の背景
第3節 財政:予算の計画と配分、推移
3-1. 構想段階における支出と財源見込み
3-2. 昭和7・8年度の収入見込み
3-3. 寄附状況と全国行脚
3-4. 政府における学術予算
第5章 櫻井錠二の生涯における学術振興
第1節 生い立ちと英才教育、英国留学、研究活動
1-1. 幕末の加賀藩と母の教育熱心
1-2. 英国への官費留学
1-3. 教育貢献と純正理学追求とのはざまで
1-4. 「国家と理学」におけるドイツの称賛、欧米視察旅行
第2節 学術行政への邁進
2-1. 学内行政への奔走と定年退職
2-2. 理化学研究所設立への関与と副所長職
2-3. 学術研究会議の設置と国際交流の推進
2-4. 独創的研究をめざして
第3節 櫻井錠二にとっての学術振興
3-1. 退職後の活路と研究者としての「罪滅ぼし」
3-2. 集大成としての日本学術振興会
3-3. 戦争へのスタンスと学術振興の追求
3-4. 第一世代としての使命感と限界
終章 日本学術振興会の設立の意義と櫻井錠二の役割
第1節 総括
1-1. 振興会の設立経緯
1-2. 振興会の目的と意義
1-3. 櫻井錠二の果たした役割
第2節 本研究の学術的貢献と今後の課題
2-1. 本研究のオリジナリティ
2-2. 今後の課題の提示
2-3. 日本近代の学術研究体制をめぐって
おわりに 科学技術・学術政策の課題解決に向けて
1. 今日の日本学術振興会の姿
2. 学術研究体制のあり方
3. 科学・科学者と社会の関係
付録
参考文献
初出一覧
あとがき
Abstract
索引