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名古屋市立大学人間文化研究叢書10ドイツの学力調査と授業のクオリティマネジメント

格差是正のフィードバックシステムの解明

定価: 2,750 (本体 2,500 円+税)

学力格差是正の教育モニタリングシステムとして「政策のためのテスト」と「指導のためのテスト」を二元的に展開するドイツの学力政策の深部に迫る一書。


【著者紹介】
原田信之(はらだ のぶゆき)
〔現職〕
名古屋市立大学大学院人間文化研究科 教授(博士・教育学)
日本学校教育学会会長、日本協同教育学会理事
〔研究滞在〕
ドイツ学術交流会(DAAD)客員研究員(エッセン総合大学、ヒルデスハイム大学)、オルデンブルク大学招聘客員教授、ハレ大学招聘客員教授を歴任
〔主要著訳書〕
『学校教育を深める・究める』(編集代表)三恵社 2022年
Handbuch Didaktik des Sachunterrichts (分担)Verlag Julius Klinkhardt 2022
『教育効果を可視化する学習科学』(訳者代表)北大路書房 2020年
『カリキュラム・マネジメントと授業の質保証』(編著)北大路書房 2018年
『学習に何が最も効果的か』ジョン・ハッティ著(訳者代表)あいり出版 2017年
『ドイツの協同学習と汎用的能力の育成』あいり出版 2016年(日本学校教育学会賞受賞)
『ドイツの統合教科カリキュラム改革』ミネルヴァ書房 2010年
『リニューアル総合的な学習の時間』(共編著)北大路書房 2009年
Unterrichten professionalisieren (分担)Cornelsen Verlag Scriptor 2009
『総合的な学習の時間』(編著)ぎょうせい 2008年
『確かな学力と豊かな学力』(編著)ミネルヴァ書房 2007年
Sachunterricht in Praxis und Forschung(分担)Klinkhardt 2005
『教育方法・技術と実践理念』(翻訳)北大路書房 2004年
Grundschule: Sich Lernen leisten(分担)Luchterhand 2000
『子どもが生きている授業』(共編著)北大路書房 1994年          他多数
目次を表示します。
はじめに

[第1部]
ドイツの学力調査と授業のクオリティマネジメント
―学力格差を分析・改善するためのフィードバックシステムの解明—

第1章 エビデンス志向へとシフトした教育改革
     —学力・学習状況調査とクオリティマネジメント—
 第1節 国際学力調査とインプット・アウトカム型モデル
 第2節 教育制度におけるクオリティ開発研究所(IQB)の役割

第2章 新しい能力概念によるパラダイム転換後の学力改革
 第1節 新時代を展望した学力改革
 第2節 ヨーロッパにおける新たな学力観の展開
 第3節 学力構築型カリキュラムとしての教育スタンダード

第3章 ナショナルテストと教育モニタリングシステム
 第1節 抽出標本調査型テストによる学力と学習背景の把握
 第2節 教育スタンダードにおけるコンピテンシーの機能と特質
 第3節 コンピテンシー段階モデルとスタンダード・セッティングモデル
 第4節 PISA調査にしたがった習熟度レベルの設定
 第5節 ナショナルテスト(IQB教育トレンド調査)2016の実施方法
 第6節 ナショナルテストの経年比較
 第7節 ナショナルテストの結果と質問紙調査
   1 調査結果の州へのフィードバック:可視化した視覚データの提供
   2 質問紙調査のねらいと対象
   3 児童生徒への質問紙調査
   4 親への質問紙調査
   5 教師への質問紙調査
   6 学校管理職への質問紙調査
 第8節 ナショナルテストにおける質問紙調査の結果

第4章 比較調査(VERA)(ローカルテスト)
 第1節 悉皆型ローカルテストによる個別学力状況の把握と授業のクオリティ改善
 第2節 悉皆型ローカルテストの調査方法
 第3節 ローカルテストと授業開発・学校開発
 第4節 授業開発・学校開発の枠組みとローカルテストのねらい
 第5節 コブレンツ・ランダウ大学が提供するフィードバック・データ
 第6節 客観的データから自己診断へのアプローチ:ローカルテストに基づくリフレクション
   1 フィードバック・データの活用
   2 学級の平均点
   3 コンピテンシー段階に分けた学級の成績
   4 課題の正答率
   5 診断の適切性
   6 各児童生徒の成績
 第7節 ドイツの学力・学習状況調査の特色とわが国への示唆

[第2部]
認知能力と非認知能力(コンピテンシー)を育成するカリキュラム

第5章 バーデン・ヴェルテンベルク州ビルドゥング計画
 第1節 ビルドゥング計画におけるコンピテンシー概念の特色
   1 垂直軸・水平軸の二次元構成で捉える能力概念
   2 パント解説から読み解くコンピテンシー概念のポジション
   3 ビルドゥング計画における認知コンピテンシーと非認知コンピテンシー
 第2節 統合教科カリキュラムではコンピテンシーはどのように構成されているか
   1 統合教科「事実教授」の学習プロセスコンピテンシー
   2 統合教科の教科内容コンピテンシー
 第3節 教科内容コンピテンシー「時間・変遷」の授業展開
   1 第1・2学年の展開例
   2 第3・4学年の展開例
 第4節 認知能力と非認知能力を育成するカリキュラム

第6章 チューリンゲン州のビルドゥング計画
 第1節 ビルドゥング計画における認知コンピテンシーと非認知コンピテンシー
 第2節 OECDによる2つのプロジェクト・ペーパー
   1 OECDワーキングペーパーにおける社会情動的スキル
   2 OECDのEducation2030のラーニングコンパス
 第3節 ビルドゥング学を基盤にした教授・学習論と三次元構成論の展開
   1 認知能力と非認知能力の新たな姿
   2 ビルドゥング学とは何か
   3 ビルドゥングの前提となる学習活動
   4 ビルドゥングとコンピテンシーとの関係性
 第4節 ビルドゥングを基盤にする三次元構成論の展開:認知コンピテンシーと非認知コンピテンシー

おわりに
初出一覧
引用・参考文献一覧
著者原田信之 著
発行年月日2023年03月25日
頁数230頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-2467-1