子ども観と評価でみる学校教育史
経験主義教育に学ぶ子どもはどう評価されたか
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序 章 戦後教育改革期の子ども観と評価に関する研究史上の課題
第一節 問題意識 -評価を視座とした研究の可能性-
第二節 分析の立場
(一) 本書の課題に関わる歴史的事実の説明
(二) 評価に関する先行研究の整理
第三節 本書の課題
(一) 子ども観と評価の関係
(二) 本書の三つの課題
第四節 本書の構成
第Ⅰ部 経験主義教育における学力をめぐる議論と態度の評価
はじめに
第一章 経験主義教育の展開と学力をめぐる議論
第一節 経験主義教育の展開と課題
(一) コア・カリキュラム連盟における議論
(二) 態度の評価への顧慮の不足
第二節 学力低下批判と学力をめぐる議論
(一) 戦後教育改革期の学力低下批判
(二) 「学力問題」についてのシンポジウム
第三節 学習指導要領に示された評価の方法
(一) 分析的な評価の方法
(二) 総合的な評価の方法
第二章 日常的な指導における態度の評価
第一節 文部省主催の講習会での評価の説明
(一) 対象者の異なる二つの講習会とその意義
(二) 観察に基づく態度の評価
第二節 研究者が伝えた態度の評価方法
(一) 橋本重治と小見山栄一の説明
(二) 教師の主観に対する考え方の違い
第三節 客観テストの位置付け
(一) 「問題場面テスト」の信頼度
(二) 客観テストの役割
第三章 入学試験における態度の評価
第一節 新制高等学校入学者選抜の状況
(一) 新学制への移行
(二) 移行期の受験競争
第二節 「中学校学力検査」の概要
(一) 実施の目的と対象者、出題形式
(二) 新学制における受験競争
第三節 態度の評価問題
(一) 学制移行期の評価問題
(二) 新学制での評価問題
第四章 全国的な学力調査における態度の評価
第一節 日本教育学会の調査
(一) 実施科目と対象者
(二) 社会的態度の測定目標と調査問題
第二節 国立教育研究所の調査
(一) 実施科目と対象者
(二) 社会科の問題構成と問題内容
第三節 調査問題の相違と教育現場の受け止め
(一) 調査問題の相違
(二) 教育現場の受け止め
まとめ
第Ⅱ部 ガイダンスの概念と学力、児童生徒の情報の集約と更新
はじめに
第一章 ガイダンスの目的と方法
第一節 ガイダンスの概念と教師の関与
(一) ガイダンスの概念
(二) ガイダンスにおける教師の関与
第二節 ガイダンスの目的と児童生徒の特性の把握
(一) 教育現場への説明
(二) 把握する特性とその方法
第三節 児童生徒に関する研究の方法
(一) 「ガイダンス・カンファレンス」の実施
(二) 「ケース・スタディ」の実施
第二章 ガイダンスの柱
第一節 組織的、計画的なガイダンス
(一) 「ケース・スタディ」による児童生徒理解
(二) 「ケース・スタディ」と「ガイダンス・カンファレンス」の関係
第二節 集団指導と個人指導の内容
(一) 集団指導としてのホーム・ルーム(特別指導室)
(二) 個人指導における面接の役割
第三節 ガイダンスに対する教育現場の理解
(一) ガイダンスにおける指導と評価の循環
(二) ガイダンスと生活指導、進路指導
第三章 児童生徒の特性としての学力
第一節 五段階相対評価の導入
(一) 五段階相対評価の目的
(二) 五段階相対評価をめぐる言説
第二節 特性としての学力の記述
(一) 五段階相対評価と標準学力検査の相補的利用
(二) 五段階相対評価の二面性
第三節 標準検査の積極的実施
(一) 標準検査の推奨
(二) 学校自作の標準学力検査
第四章 児童生徒に関する情報の集約と更新
第一節 教師の力量形成と新たな評価の受容
(一) 教師の力量形成
(二) 新たな評価の受容
第二節 情報の集約と更新の必要性
(一) 特性の分析的把握と総合的理解
(二) 新しい学籍簿の作成
第三節 戦後初期学籍簿の機能
(一) 「小学校学籍簿」と「累加記録摘要」の記載項目
(二) 『中学校・高等学校の生徒指導』の内容
まとめ
第Ⅲ部 全人格的な子ども観の変化
はじめに
第一章 指導要録の機能の変化
第一節 「累加記録摘要」に対する教育現場の声
(一) 「累加記録摘要」の形骸化
(二) 改訂された「生徒指導要録」の内容
第二節 指導要録改訂の経緯
(一) 「指導要録研究協議会」の設置
(二) 「指導要録会議」での文部省の事前検討
第三節 教育現場への改定案の説明
(一) 「中等教育研究集会」での説明
(二) 新たな指導要録の「二重性格」の実質
第二章 評価結果の利用目的の変化
第一節 五段階相対評価の実施
(一) 評語の割合の例示と留意点の説明
(二) 教育現場における利用と批判的意見
第二節 標準学力検査の実施
(一) 標準学力検査の普及
(二) 標準学力検査の新たな役割
第三節 知能と学力の関係
(一) 知能の恒常性と学力の可変性に関する議論
(二) 知能と学力の関係についての教師の認識
第三章 態度から「道徳」への転換
第一節 知識と態度の分離
(一) 知識を重視する言説
(二) 学力検査で問われる態度の質の変化
第二節 社会科における道徳教育
(一) 社会科誕生の経緯と徳育の関係
(二) 「学習指導要領社会科編」の改訂と態度
第三節 態度の指導に関する教育現場の意識
(一) 「道徳の時間」特設前の教師の声
(二) 教育委員会の動き
第四章 教育現場における全人格的な子ども観の理解
第一節 ガイダンスの転換
(一) 「特別教育活動」におけるガイダンス
(二) ガイダンスと教科指導の分離
第二節 標準検査の普及とその批判
(一) 標準検査の普及
(二) 標準検査への危惧
第三節 全人格的な子ども観と学校教育
(一) 子ども観と評価のズレ
(二) 教育現場の子ども観
まとめ
終 章 戦後教育改革期の全人格的な子ども観とその転換
第一節 三つの課題のまとめ
(一) 態度の評価や特性の把握に関する教育現場への説明と具体化の様相
(二) 五段階相対評価や標準検査導入の意図と児童生徒に関する情報の記録方法
(三) 態度の評価や特性の把握の困難が全人格的な子ども観に与えた影響
第二節 全人格的な子ども観をめぐる文部省と教育現場の動き
第三節 子ども観と評価に関する歴史研究における本書の意義
あとがき
人名索引