『尋常小学算術』と多田北烏
学びはじめの算数教科書のデザイン
定価:
7,700
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7,000
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はじめに
第1章 「尋常小学算術」の画家
第1節 教科書の絵についての文献の少なさ
第2節 国定算術教科書史における「尋常小学算術」
1 「小学算術」の特徴
2 「小学算術」編纂のきっかけ
3 算術教科書にふさわしい画家
4 北烏起用による「小学算術」画の成功
第3節 「小学算術」編纂から「カズノホン」の誕生へ
1 小学校令施行規則第4条と「小学算術」の主意との矛盾
2 「カズノホン」の編纂
3 「カズノホン」の画家
第4節 北烏『尋一算術書の絵を語る』を著す
1 教科書制作における北烏の基本的態度
2 「目的美術」の理念における「教育美術」
3 総合作品という「創作版画」としての態度
4 オフセット印刷の採用
第2章 『尋常小学算術第一学年上』のデザイン
―『カズノホン一』との比較を通して―
第1節 使用世代の印象
第2節 教科書としてのデザイン
1 学びはじめとしての口絵
2 数えたくなる実感の重視
3 アップリケ技法と物象写真
4 子どもの学習意欲へ誘いをかける
5 数えやすく、対象を目立たせる
6 安定感と視線の集中
7 10以上の数の表し方と問題点
第3章 出版美術の先駆者多田北烏
第1節 北烏探索の道
1 画家の掘り起こしの難しさ
2 一端をつかむ
3 調査の輪が広がっていく
第2節 出版美術の先駆者として
1 多田北烏略歴
2 児童出版美術分野の仕事
第3節 先駆者としての理念
1 美人画から商業美術の理念へ
2 理系資質が印刷技術の理解へ
3 原画作成の理念
4 技術者との共同と連携
5 実用版画美術協会の設立
6 生活美術・実用美術の理念
第4節 工房と研究所―サン・スタジオの活動―
1 子どもへのまなざし
2 『尋常小学算術』への取り組み
3 複製美術の社会的認知をめざして
4 滝野川スタジオの処分と晩年の活動
第4章 昭和初期の印刷
第1節 印刷方法
1 HB製版の概要
2 カラー印刷の製版工程
3 白黒製版による単色印刷
4 白黒写真のカラー印刷―イミテーション法―
第2節 画家と印刷家が語る昭和初期カラー印刷の諸問題
1 製版の問題
2 インキの問題
3 印刷に対する考え方の違いの例
4 “実用版画美術協会”と印刷に対する北烏の考え方
第5章 現代の第1学年用算数教科書のデザイン
第1節 現代の算数教科書
1 判型と重量
2 カラーデザイン―色覚認知への配慮―
3 動物キャラクターの多用
第2節 学習内容の認知しやすさ
1 「数えたい」に誘うデザイン
2 量を表すデザイン
3 位取りを表すデザイン
4 順序数「なんばんめ」を学ぶデザイン
第3節 第1学年用算数教科書に必要な視点
1 編集者と作画家への提言
2 教師への提言
補章 『尋常小学算術』における「数理思想」と「数概念の教授法」
第1節 偶像化された教科書
1 はじめに
2 昭和初期における算術改造運動の概要
3 緑表紙の編纂に至るまで
4 「数理」と「数理思想」について
5 塩野における「数理思想の開発」について
6 偶像化された教科書
第2節 直観主義vs.数え主義の対立図式の誤り
1 はじめに
2 数概念の教授法に関する塩野・緑表紙の見解
3 緑表紙第1学年上の構成
4 直観主義vs.数え主義の対立図式の成立と解消の過程
5 数概念形成における「1対1対応」への着目
6 黒表紙における数概念の教授法
7 結語
あとがき