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田植歌の基礎的研究

大山節系田植歌を主軸として

定価: 25,300 (本体 23,000 円+税)

中国圏田植歌傘下の大山節系田植歌を中心におき、諸本の整理検討による基礎固めから、いまだ未開拓研究分野である田植歌の実態を解明し日本文学史の幅を広げる。


【著者略歴】
竹本宏夫(たけもと ひろお)
 昭和4年2月20日広島県に生まれる。
 昭和40年 広島大学大学院文学研究科博士課程単位修得。
 現職 下関市立大学教授。
※略歴は刊行当時のものです※
目次を表示します。
序章
第一章 中国圏田植歌群の系統(一)
 (1)『田植草紙』系の田植歌
     ―『田植草紙』の単一及び構造詞章、小歌謡群、組織等の検討より迫った特徴解明―
 (2)「有田本田植歌」系の田植歌
     ―新出資料翻刻、中国圏田植歌群下での詞型の位置の検討、『田植草紙』との対比等より迫った特徴解明―
 (3)大拍子系の田植歌
     ―新出資料翻刻、考察史、分布、当本の題名及び詞型の検討等より迫った特徴解明―
 (4)「井野串崎本田唄集」系の田植歌―石見さんず系― 
     ―当本の組織の構成、番の構造及び構成要素の形態、歌詞内容の検討及び『田植草紙』との対比等より迫った特徴解明
 (5)「小笠原近重流御免田植歌本」系の田植歌
     ―当本の単一詞章、構造詞章、小歌謡群等の検討及び大山節系田植歌との対比等より迫った特徴解明―
第二章 中国圏田植歌群の系統(二)
 (1)大山節系の田植歌
     ―新出資料翻刻、当本の一組織、一小歌謡群、各小歌謡群の呼称、組織の大枠等の検討より迫った特徴解明―
第三章 大山節系田植歌の諸本
 (1)(資料1)神石郡神石町藤井本
         ―当本の所在地、所蔵者、所持者及び書写者、書名、書写年、体裁、形態、筆跡、丁数、歌詞に付された印、総数、種類とその総数、記載ナガレ名、一般的ナガレ名、組織性、資料性等を中心とする解説、以下これに準ずる、なお六本を除く他は新出資料―
 (2)(資料2)神石郡油木町横山本
 (3)(資料3)神石郡豊松村赤木本
 (4)(資料4)神石郡油木町高下本
 (5)(資料5)神石郡油木町大瀬本
 (6)(資料6)阿哲郡哲西町児山本
 (7)(資料7)神石郡豊松村青木本
 (8)(資料8)神石郡神石町和田本
 (9)(資料9)神石郡油木町三吉本
 (10)(資料10)比婆郡東城町津村本 
 (11)(資料11)神石郡神石町近藤本
 (12)(資料12)神石郡豊松村藤井本
 (13)(資料13)神石郡神石町妹尾本
 (14)(資料14)比婆郡東城町妹尾本A
 (15)(資料15)神石郡油木町前原本
 (16)(資料16)神石郡油木町後藤本A
 (17)(資料17)神石郡油木町三高本
 (18)(資料18)比婆郡東城町黒石本
 (19)(資料19)比婆郡東城町瀬尾本B
 (20)(資料20)神石郡豊松村藤植本
 (21)(資料21)神石郡神石町上河内本
 (22)(資料22)神石郡油木町後藤本B
 (23)(資料23)神石郡神石町日南山本
 (24)(資料24)神石郡神石町大杉本
 (25)(資料25)神石郡神石町山本本
 (26)(資料26)神石郡神石町伊藤本
 (27)(資料27)神石郡油木町岩城本
 (28)(資料28)庄原市松尾本
 (29)(資料29)『田植とその民俗行事』所収本
 (30)(資料30)『比和の田植唄』本
 (31)(資料31)甲奴郡総領町永井本
 (32)(資料32)神石郡油木町石原本
 (33)(資料33)阿哲郡哲西町小田本
 (34)(資料34)庄原市菅原本
 (35)(資料35)川上郡備中町高倉本
 (36)(資料36)川上郡備中町赤木本
 (37)(資料37)川上郡備中町日野本
 (38)(資料38)神石郡豊松村大田屋本
 (39)(資料39)阿哲郡哲多町森岡本
 (40)(資料40)神石郡豊松村高下本
 (41)(資料41)阿哲郡哲西町杤木本
 (42)(資料42)阿哲郡哲西町毛利本
 (43)(資料43)阿哲郡神郷町土屋本
 (44)(資料44)比婆郡高野町寸為本
 (45)(資料45)阿哲郡哲多町武並本
第四章 大山節系田植歌歌詞の流動
 (1)「大山登り」ナガレの異同と整理―諸本内での範囲、呼称、組織内での位置、歌詞の種類と歌詞数、配列順序、歌詞等の検討による流動状況の解明
 (2)「扇屋」ナガレの異同と整理―右の事項等による流動状況の解明―
第五章 大山節系田植歌と信仰
 (1)田植歌と伯耆大山との関係―考察史、両者がかかわる五項目及び本尊地蔵菩薩との関係等の指摘考察により解明―
 (2)田植歌にみられる田の神
  (イ)出生の由来について―諸本等における実態とその検討、縁起及び本地等との関係考察により出生の一基盤の田の神の父母等を解明―
  (ロ)降臨・勧請時をめぐって―諸本等における実態とその検討、降臨及び勧請の場所、場所の様子、田の神及び迎えの人々の様子、その後の様子等の解明―
第六章 大山節系田植歌の性格(一)
 (1)「朝歌」ナガレの歌詞「ほのぼのと明石が浦の朝霧に…」
     ―諸本間での異同の検討、古今和歌集和歌との関係、歌謡化基盤の四項目及び田植歌化等を考察し性格の解明―
 (2)「朝歌」ナガレの歌詞「朝日さし夕日輝くそのもとに…」
     ―諸本間での異同の検討、考察史、類歌の二系を指摘考察し性格解明―
 (3)「麻苧十七」ナガレ
     ―田植歌と麻との関係、諸本間での異同の整理検討、当ナガレの特殊性、実地の麻栽培過程との関係等を検討し性格解明―
 (4)「扇屋」ナガレ―田植歌及び田植神事と扇との関係とその実態、田植歌で歌われる理由の四項目及び根底を支える二項目を指摘考察し性格解明―
 (5)「小栗判官」ナガレ―田植歌と小栗判官との関係、諸本間での異同の整理検討、絵巻・説経・奈良絵本等との関係を指摘考察し一端の性格解明―
 (6)「五色歌」・「四季歌」ナガレ
     ―当ナガレと土公祭々文との関係、祭文の内容、土公祭及び歌詞の分布、伝播者等を考察し性格解明―
 (7)「我が恋」ナガレ―諸本間での異同の検討、和歌及び他歌謡の「我が恋…」の検討、両者の関係の考察等から性格解明―
 (8)異形の歌詞「梅の木の下てまりをうとうとけたれば…」
     ―諸本及びその他の歌謡間での異同の検討、考察史、狂言等の類歌の考察、三点からの見解による新解釈等により性格解明―
  付 『田植草紙』系歌詞「朝ねをしやうよりはおきて沖を…」
     ―諸本間での異同等の検討、考察史、新解釈等により性格解明―
第七章 大山節系田植歌の性格(二)
 (1)「大山登り」ナガレ―他の田植歌との交流と田植歌を除く他の歌謡との交流に大別し、全体面から歌詞の類似関係を指摘考察して性格解明、その他数項目の見解―
 (2)「扇屋」ナガレ―他の田植歌及び歌謡の類歌とナガレ全体面からの類似状況とを指摘考察して性格解明―
第八章 中国圏田植歌系統間の関係
 (1)大山節系田植歌と『田植草紙』の歌詞内容の交流状況
     ―諸本間での異同の検討をふまえ両系にまたがる六十余の歌詞の交流状況の指摘検討、考察結果からみた八項目の指摘による交流状況の解明―
 (2)大山節系田植歌と『田植草紙』の詞型の交流状況―両者の詞型の実態とその検討、両者の比較考察等による交流状況の解明―
 (3)田植歌歌詞の呼称の交流状況
  (イ)大山節系田植歌歌詞の呼称―実態とその検討、呼称と歌詞の形態関係の一考察―
  (ロ)歌詞の呼称の交流状況―中国圏下歌詞の呼称の実態とその検討、大山節系の呼称と中国圏下のそれとの交流状況の指摘考察、系脈解明事項等の指摘による交流状況の解明―
第九章 大山節系田植歌本及びその周辺資料
 (1)文久二年の田植歌本―歌本及び歌本の周辺の概観、新出資料翻刻―
 (2)田植歌本とその関連事項の聞書―元サゲからの田植行事をめぐる事項についての聞書、新出資料の解説と翻刻―
 (3)『土公祭々文』―中国圏下及び全国的分布、二形態の指摘考察、新出資料翻刻―
 (4)『牛馬喰縁記』―大山節系田植歌及びその歌詞との関係の指摘考察、新出資料翻刻―
終章
索引
著者竹本宏夫 著
発行年月日1982年03月15日
頁数1180頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-0564-9