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近代日本文芸の研究

定価: 3,080 (本体 2,800 円+税)

蘆花・実篤・百三についてキリスト教的視点から聖書の影響の諸相を追求し、特にそれが文芸の本質に結晶昇華する実相を洞察、また康成の初期作品の文芸性を探究。

【著者略歴】
朝下 忠(あさか ただし)
(桂宇)
昭和11年東北帝大国文学科卒業。
宮城学院女子大学ほかキリスト教主義諸大学教授歴任。現在は関西学院大学大学院及び文学部に出講。
和歌歌論・書道史の研究、川端康成の研究等に関する諸文著書あり。
日本文芸学会理事。
※略歴は刊行当時のものです※
目次を表示します。

序説
 近代後期の文芸思潮
第一章 徳富蘆花の文芸とキリスト教
 第一節 精神形成の基盤
  一 徳富一族と蘆花
  二 時代精神とキリスト教
 第二節 キリスト教精神と『春信』
  一 『春信』扉の聖書の言葉
  二 イエスの復活と『春信』
  三 蘆花における復活の意識と体験
 第三節 『春信』と聖書
  一 平和の君
  二 空の鳥・野の百合
  三 聖餐と活ける水
  四 聖書より引用例二十
 第四節 アダムとイヴの世界
  一 アダムとイヴの誕生
  二 生命の交替
  三 幻想の世界
  四 原始自然への回帰
第二章 倉田百三の文芸および思想とキリスト教
 第一節 人間と思想精神
  一 人間形成の基盤
  二 『出家とその弟子』完成期
  三 晩年と生涯の代表作
 第二節 『出家とその弟子』の世界
  一 そのモチーフと問題点
  二 序曲の構想と黙示文芸
  三 キリスト教思想および聖書的表現
  四 その他のキリスト教語
   (一)愛
   (二)罪
   (三)裁き
   (四)祈り
   (五)とりなし
 第三節 『愛と認識との出発』の分析的考察
  一 出版の意義
  二 第一―第五論文
   (一)「憧憬」
   (二)「生命の認識的努力」
   (三)「異性の内に自己を見出さんとする心」
   (四)「自然児として生きよ」
   (五)「恋を失うた者の歩む道」
  三 第六―第九論文
   (一)「隣人としての愛」
   (二)「隠遁(二点しんにょう)の心持について」 
   (三)「愛の二つの機能」
   (四)「過失」
  四 第十―第十五論文
   (一)「善くならうとする祈り」
   (二)「他人に働きかける心持の根拠について」
   (三)「本道と外道」
   (四)「地上の男女」
   (五)「文壇への批難」
   (六)「人と人との従属」
  五 第十六―第十七論文
   (一)「『出家とその弟子』の上演について」
   (二)「千手観音の画像を見て」
第三章 武者小路実篤の文芸とキリスト教
 第一節 トルストイズムの変容
  一 トルストイズム
  二 受容の様相
 第二節 『幸福者』の世界
  一 『幸福者』の文芸構造
  二 『幸福者』とキリスト教
 第三節 『耶蘇』の世界
  一 『耶蘇』の背景
  二 『耶蘇』の基本構造
  三 『耶蘇』の文芸的要件
第四章 川端康成の文芸
 第一節 『雪国』
  一 『雪国』の成立と構成
  二 『雪国』の背景とその意義
  三 『雪国』の人物とその美
  四 『雪国』の表現
 第二節 『禽獣』
  一 『禽獣』の周辺
  二 『禽獣』の文芸的構造
  三 『禽獣』の文芸性
 第三節 「掌の小説」
  一 「掌の小説」序説
  二 「掌の小説」の文芸構造
  三 掌編『有難う』の文芸性
著者朝下忠 著
発行年月日1981年05月15日
頁数314頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-0550-2