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死を看取り続ける看護師の悲嘆過程

命に正面から向き合うことによってもたらされる苦悩への対応

定価: 8,250 (本体 7,500 円+税)

多くの死を長年に亘って看取る看護師の体験を、Strauss, A., & Corbin, J.のグラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて詳細に記述し、理論構築を試みた学術書。

【著者略歴】
近藤真紀子(こんどう まきこ)
1967年 香川県に生まれる
1989年 徳島大学教育学部特別教科(看護)教員養成課程卒業
2000年 千葉大学大学院看護学研究科博士前期課程修了
2007年 大阪府立看護大学大学院看護学研究科博士後期課程修了
博士(看護学)
香川医科大学附属病院看護師、岡山大学医療技術短期大学部助手を経て、現在、香川県立保健医療大学准教授(大学院併任)。

専門は、がん看護学・終末期ケア、家族看護学。
目次を表示します。
要 約
Abstract
第1章 序 論
 Ⅰ.研究の意義
 Ⅱ.研究目的
 Ⅲ.用語の定義
第2章 文献検討
 Ⅰ.死を看取る看護師に求められる役割
 Ⅱ.死を看取る看護師の経験に関する研究
  1.死を看取る看護師のストレス・バーンアウトに関する研究
  2.死を看取る看護師の感情労働に関する研究
  3.看護師の悲嘆に関する研究
  4.死を看取ることの肯定的側面に焦点を当てた研究
  5.看護師の死生観に関する研究
 Ⅲ.悲嘆に関する研究
  1.悲嘆に関する主要な理論の概観
  2.悲嘆の概念分析
  3.悲嘆に関する関係性の記述文の分析と統合
 Ⅳ.死を看取る看護師への支援に関するシステマティックレビュー
 Ⅴ.文献検討の総括
第3章 研究方法
 Ⅰ.グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いることの理論的根拠
 Ⅱ.研究方法
  1.研究の場
  2.研究参加者
  3.データ収集方法
  4.研究参加者への倫理的配慮
  5.分析方法
  6.理論的サンプリングによって導かれた,データ収集と分析のプロセスの実際
  7.分析結果の真実性と的確性の確保
第4章 死を看取り続ける看護師の悲嘆過程の全容
 Ⅰ.命に正面から向き合うことによってもたらされる苦悩への対応
第5章 死を看取り続ける看護師の悲嘆過程の詳細
 Ⅰ.【命に正面から向き合う】
  1.《生死の交錯する現場の洗礼を受ける》
  2.《特別な人の命に正面から向き合う》
  3.まとめ
 Ⅱ.【命に関わる限界を突きつけられる】
  1.《相対的に自己評価が厳しくなる》
  2.《苦痛・苦悩を理解したくても越えられない壁がある》
  3.《力になりたくても切り札を持ち得ない》
  4.《死を前にしてどうにも出来ないことがある》
  5.《ケアを困難にする条件が揃っている》
  6.《受け入れたくても自分のキャパシティーには限界がある》
  7.《自分の無力さや無能さを突きつけられ居たたまれなくなる》
  8.命に関わる限界を突きつけられることが回避される場合
  9.まとめ
 Ⅲ.【死の脅威に晒される】
  1.《死の脅威から身を守る鎧が機能しなくなる》
  2.《死に逝く患者とその家族の心の揺れに共鳴して自分の心も揺れ動く》
  3.《患者の死が悲しい》
  4.《自分自身と自分の大切な人の死が怖い》
  5.《死ぬことがどういうことかよく分からない》
  6.命に正面から向き合っているにも関わらず,死の脅威が理解できない状況〈パッチワークのような完結しない死〉
  7.まとめ
 Ⅳ.【命に関わる責任の重さを突きつけられる】
  1.《結果の重大さを突きつけられて衝撃を受ける》
  2.《患者・家族を傷つけてしまったことで自分を責める》
  3.《人の生死に関わる責任の重さ・怖さ(自分もリスクを負うこと)を知る》
  4.まとめ
 Ⅴ.【答えの出ない問いを抱え込み看護師としての自信を失う】
  1.《看護師としての規範意識》
  2.《限られた対処行動の中で何とか回避しようとあがく》
  3.うまく回避できる場合とできない場合
  4.《どうしたらよいのか分からない》
  5.《看護師としての自信を失う》
  6.《深く傷つく》
  7.まとめ
 Ⅵ.【答えの出ない問いへの対応】
  1.《真相究明を図る》ことで《命に向き合う技・醍醐味・自信を獲得する》
  2.《とりあえず何とかする》ことで《情緒的苦痛を緩和する》
  3.《死の脅威から身を守る鎧を形成する/鎧の形成に強く抵抗する》ことで《死を看取ることに感情を伴わなくなる/感情を伴い続ける(多重悲観)》
  4.《真相究明を図る》ことと,《とりあえず何とかする》《死の脅威から身を守る鎧の形成に強く抵抗する》ことの間の移行
  4.まとめ
 Ⅶ.【命への向き合い方の異なる日常】
  1.パターン①:《命に正面から向き合っても苦痛を感じない》
  2.パターン②:《苦痛を感じることなく命に関わることのできた元の日常に戻る》
  3.パターン③:《日常業務の一環として命に関わる》
  4.パターン④:《死の脅威から身を守る鎧を着ずに生身で全ての命と正面から向き合う》
  5.命への向き合い方の4つの段階
  6.まとめ
 Ⅷ.死を看取り続ける看護師の悲嘆過程の全容(まとめ)
第6章 専門職として死を看取り続けることへの対応とジレンマ
 Ⅰ.悲嘆を回避するための知恵
  1.《命に正面から向き合わないための知恵》
  2.《命に関わる限界を突きつけられないための知恵》
  3.《死の脅威に晒されないための知恵》
  4.《命に関わる責任の重さを突きつけられないための知恵》
  5.《外圧》
  6.まとめ
 Ⅱ.命に正面から向き合い続けるための力量
  1.《命に向き合い続けるための基盤》
  2.《命に向き合うための技》
  3.《悲嘆を乗り越える》
  4.《自らの意志で積極的に命に向かい合い続ける態度》
  5.悲嘆過程をめぐる中で成長を遂げるプロセス
  6.まとめ
 Ⅲ.専門職として死を看取り続けるジレンマ
  1.専門職として死を看取り続けるジレンマ
  2.専門職として死を看取り続けるジレンマへの対応
  3.専門職として死を看取り続けるジレンマへの対応の変化
 Ⅳ.まとめ
第7章 考 察
 Ⅰ.死を看取り続ける看護師の悲嘆過程の特徴
  1.悲嘆をもたらす原因
  2.悲嘆の本質的要素
  3.悲嘆の帰結とプロセスとしての特徴
 Ⅱ.理論の看護実践への活用
  1.本理論の強み
  2.専門職として死を看取り続けるための支援のあり方
 Ⅲ.理論の評価
  1.理論としての評価
  2.今後の研究への示唆
第8章 結 論
謝 辞
引用文献
資 料
 資料1 施設への研究協力依頼書
 資料2 研究参加者への研究参加依頼書
 資料3 研究協力承諾書
著者近藤真紀子 著
発行年月日2011年01月31日
頁数280頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1840-3

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