博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

古今集改編論

定価: 30,800 (本体 28,000 円+税)
905年の奏覧と醍醐天皇や撰者の創意による改編を証明し、現存諸本に後人の手が加わっている事実も究明して、撰集の事実とともに数々の歌の真相も説いている。

【著者略歴】
田中喜美春(たなか きみはる)
1941年 沼津市生れ
1971年 東京大学大学院博士課程中退
2004年 名古屋大学定年退官

著書
小町時雨(1984年 風間書房)
貫之集全釈(共著 1997年 風間書房)
目次を表示します。
凡例
序 「文章已絶」以後の「思継既絶之風」
 一 菅家三代の年祖
 二 右大将辞表と右大臣辞職勧告書
 三 醍醐天皇の決断
 四 詩人無用の編纂
 五 藤花宴
第一編 奏覧と改編
 第一章 撰集の論理
  第一節 この歌の文字
  第二節 仮名序の信憑性
  第三節 勅撰万葉集
   1 清和天皇の下問
   2 仮名序の万葉集
   3 貫之の作為
  第四節 民業の原論
 第二章 延喜五年の奏覧
  第一節 貫之集の詞書
  第二節 仮名序の日付
  第三節 真名序の日付と署名
  第四節 「曰続万葉集」批判
  第五節 貫之の長歌
 第三章 奏覧本の改編
  第一節 奏覧本の歌数と巻序
   1 歌数
   2 巻序
  第二節 醍醐天皇の改編
   1 「尚侍」「右大将藤原朝臣」と呼ぶ人
   2 「菅原朝臣」と呼ぶ人
   3 道真歌の増補
   4 定国の算賀屏風歌の詞書と作者名
   5 屏風歌の小題「春」の欠如
   6 増補の時期
  第三節 敦慶親王の船卸し
   1 敦慶親王の中務卿在任期間
   2 「とまり」の意味生成
   3 伊勢の温子追悼長歌と「とまり」
   4 増補の証跡
  第四節 兼覧王四十賀の賜宴
   1 詞書中の作者名
   2 承前の詞書
   3 詞書中の引用歌
   4 やらずの雨
   5 延喜五年の萩の宴
  第五節 応召歌の増補
   1 助動詞「き」の詞書
   2 冬歌巻軸歌
   3 算賀の屏風歌
  第六節 「藤原兼輔朝臣」の本文
   1 「朝臣」を無記にした前田本
   2 「朝臣」無記の羇旅歌
   3 後人追補の異本所載歌
   4 恋歌の増補
  第七節 亭子院歌合歌の増補
   1 黒主の作者名表記と貫之歌の連続
   2 歌合歌と題しらずの詞書
   3 貫之歌二首と黒主歌との差し替え
   4 延喜終盤の醍醐天皇と貫之
第二編 改編の諸相
 第一章 春歌
  第一節 寛平御時后宮歌合歌の差し替え増補
  第二節 落花の歌群の改編
  第三節 「三輪山を」「いざけふは」歌の増補
  第四節 菅根歌と洽子歌の差し替え
  第五節 躬恒の三月つごもりの日の歌の増補
 第二章 夏歌
  第一節 とこ夏歌の増補
 第三章 秋歌
  第一節 千里の「月見れば」歌の移動
  第二節 「奥山に紅葉ふみわけ」歌の増補
  第三節 女郎花合歌の差し替え増補
  第四節 仁和寺の菊歌の増補
  第五節 よみ人しらず歌二首と関雄歌の位置交換
  第六節 亭子院の屏風歌増補と歌順変更
  第七節 「秋のとまり」歌の増補
 第四章 離別歌
  第一節 躬恒の歌の移動
 第五章 物名
  第一節 貫之の白髪歌の増補
 第六章 恋歌
  第一節 「中納言源昇朝臣」の詞書前後の差し替え
 第七章 雑歌
  第一節 「山川の」歌の増補
 第八章 雑体
  第一節 「短歌」の残存
   1 諸説要略
   2 五七音句繰り返し歌についての認識
   3 「誹諧歌」への名称変更と移動
   4 同一巻再出作者名表記の問題
  第二節 混本歌の切り出し
   1 平安朝の旋頭歌体
   2 双本歌の「本」
   3 片歌
   4 「ます鏡」の歌の切り出し
  第三節 崇る恋歌とまくり手歌の差し替え
  第四節 「ねぎごとを」歌の増補
  第五節 巻末部の切り出しと差し替え
   1 「わがのりし」歌の切り出し
   2 巻末二首と「照る月を」歌の差し替え
 第九章 大歌所御歌
  第一節 大嘗会歌の差し替え
  第二節 石清水八幡宮への祈願
   1 志香須賀本・基俊本の巻軸歌
   2 本朝世紀収載の石清水臨時祭歌
   3 貫之歌の詠歌事情
   4 巻軸歌の祈願
第三編 家々の古今集
 第一章 後世の本文
  第一節 詞書の改変
  第二節 歌句の改変
  第三節 類似語句に起因する作者名の変転
   1 良房
   2 小町
  第四節 左注の付加と本行化
  第五節 追補歌
   1 衣通姫の歌
   2 万葉異伝歌
  第六節 万葉歌排除
   1 天の帝の贈答歌の校合過誤
   2 左注の中の返歌の本行化
   3 万葉集に入らぬ歌
 第二章 異本所載歌の取捨
  第一節 通宗の異本所載歌収録
  第二節 収拾歌の消長
   1 内裏切における基俊本押紙の本文化
   2 昭和切の収拾と選択
 第三章 三証本批判
  第一節 通宗の書写と校訂
   1 押紙欠落歌の解消
   2 寛親本の欠落歌
  第二節 小野皇太后宮御本の欠落歌
   1 藤原顕綱の書き入れ歌
   2 補写された三証本
  第三節 崇徳院御本の性質
   1 校訂本文と見せ消ち
   2 歌順変更
   3 俊成本の崇徳院御本本文
   4 「貫之自筆本」の伝領

引用歌初句索引
あとがき
  
著者田中喜美春 著
発行年月日2010年04月30日
頁数912頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1800-7