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幼児間の親密性

関係性と相互作用の共発達に関する質的考察

定価: 10,450 (本体 9,500 円+税)
参与観察を行い、幼児間の関係性と相互作用の共発達を精緻に記述。新たな指標として「ね」発話を導出し、親密性の形成・深化過程における機能を提示した労作。

【著者略歴】
高櫻綾子(たかざくら あやこ)
2006年   東京大学大学院教育学研究科修士課程修了 修士(教育学)
2006年   日本乳幼児教育学会「新人賞」受賞
2007年   (財)発達科学研究教育センター「発達科学研究教育奨励賞」受賞
2008年   日本学術振興会特別研究員DC2(社会科学)
2009年   日本保育学会「研究奨励賞(論文部門)」受賞
2011年3月 東京大学大学院教育学研究科博士後期課程修了 博士(教育学)
2011年4月 日本女子大学家政学部児童学科専任講師
目次を表示します。
序章
第Ⅰ部 親密性の射程
第1章 理論的背景
 第1節 幼児期の仲間関係に関する先行研究の動向
  1.仲間関係の形成前段階―先行経験と個体能力の獲得―
  2.仲間関係の形成段階―仲間理解と仲間入り―
  3.仲間関係の発展段階―仲間同士の相互作用と仲間内地位―
  4.仲間関係に関する先行研究のまとめ―仲間関係研究における親密性の位置づけ―
 第2節 幼児期の親密性に関する先行研究の動向
  1.親密性の定義
  2.新密度の差異が相互作用に与える影響
  3.幼児期の親密性に関する課題の整理
 第3節 本章のまとめ
第2章 本論文の問題と目的
 第1節 親密性の基軸としての「関係性」と「相互作用」
 第2節 本論文の問題と目的
 第3節 本論文における研究構成と概要
第3章 本論文における方法論的立場
 第1節 本章の目的
 第2節 先行研究における方法論をめぐる問題と課題の整理
  1.方法論をめぐる問題の所在
  2.課題の整理
 第3節 保育実践の独自性と幼児間の親密性を捉える方法論の提起
 第4節 書く研究の相互関連と位置づけ
 第5節 本論文における観察の概要
  1.フィールドの概要
  2.観察の概要
第Ⅱ部 親密性の展開
第4章 幼児間における親密性の形成と深化
 第1節 本章の目的
 第2節 研究の方法
  1.対象児
  2.観察期間および観察手続き
  3.分析資料
  4.分析視点
 第3節 二者間における親密性の形成と深化過程(研究1)
  1.関係性の萌芽
  2.関係性の成立
  3.関係性の危機
  4.関係性の深化
 第4節 二者間から集団への関係性の発達過程(研究2)
  1.二者間における親密性の形成と深化に伴う第三者との関係性と相互作用の変化)
  2.親密性形成における第三者の役割と機能―関係性の危機に対する介入と援助に着目して―
  3.親密性形成における他者の内的状態の推測
 第5節 総合的考察
第5章 幼児間における親密性概念の構築
 第1節 本章の目的
 第2節 幼児間における親密性の定義(研究3-1)
 第3節 親密性概念の構築(研究3-2)
  1.自発性(spontaneity)
  2.対等性(equality)
  3.互恵性(reciprocity)
 第4節 本章のまとめ
第Ⅲ部 親密性の表徴
第6章 幼児間の相互作用における親密性の具現化
 第1節 本章の目的
 第2節 終助詞「ね」に関する先行研究の動向と課題
  1.終助詞「ね」に関する先行研究の動向
  2.先行研究における課題の整理と新たな分析視点の提起
 第3節 幼児間で交わされる「ね」発話
  1.「ね」発話の定義
  2.「ね」発話の使用に関する要因
  3.カテゴリーの作成方法
  4.「ね」発話のカテゴリー
  5.「ね」発話の使用に関する全体像
 第4節 幼児間で交わされる「ね」発話にみる3歳児の関係性(研究4)
  1.本研究の目的
  2.方法
  3.結果
  4.事例の考察
 第5節 総合的考察―親密性の形成・深化過程における「ね」発話―
第7章 親密性指標としての「ね」発話
 第1節 本章の目的と研究構成
 第2節 関係性の認知に基づく「ね」発話の使用―親密度の変化(研究5)
  1.本研究の目的
  2.方法
  3.結果
  4.事例の考察
  5.本節のまとめ
 第3節 聞き手の反応に基づく「ね」発話の選択―会話の相互作用性―(研究6)
  1.本研究の目的
  2.方法
  3.結果
  4.発話連鎖にみる会話の特徴の描出
  5.本節のまとめ
 第4節 共に遊ぶことへの志向性に基づく相互作用の展開―「ね」発話と終助詞「よ」の選択―(研究7)
  1.本研究の目的
  2.目的
  3.結果
  4.本節のまとめ
 第5節 総合的考察
第Ⅳ部 全体的考察と発展的展望
第8章 幼児間における親密性の発達的意義
 第1節 前章までの結果の要約
  1.親密性の射程(第1章~第3章)
  2.親密性の展開(第4章~第5章)
  3.親密性の表徴(第6章~第7章)
 第2節 幼児期の発達における親密性の意義
 第3節 幼児間の親密性に関する発達モデル
 第4節 保育実践への示唆―仲間とともに育ち合う保育を目指して―
 第5節 今後の課題
引用文献
謝辞
著者高櫻綾子 著
発行年月日2013年02月15日
頁数324頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1971-4