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近代日本におけるプロジェクト・メソッドの受容

定価: 9,900 (本体 9,000 円+税)
わが国で大正新教育期に取り組まれたプロジェクト・メソッドの理論・実践研究の特質を、多様なアメリカ教育情報の成立とその受容の実態解明に基づいて考察した。

【著者略歴】
遠座知恵(えんざ ちえ)
1976年4月 群馬県に生まれる
2007年3月 筑波大学大学院博士課程単位修得退学
    4月 日本学術振興会特別研究員(PD)
2010年4月 東京学芸大学教育学部専任講師
現在     東京学芸大学教育学部(専任講師),博士(教育学)
目次を表示します。
序章 研究の課題と方法
 第1節 問題意識と課題
 第2節 視点と方法
第1章 アメリカにおけるプロジェクト・メソッドの研究開発
 第1節 スペイヤー校におけるカリキュラム開発
  1.The Speyer School Curriculum成立の背景
  (1)インダストリアル・アーツの提唱
  (2)ボンサーの着任
  2.インダストリアル・アーツの性格とプロジェクトの特質
 第2節 ホレース・マン校における実験的研究
  1.キルパトリックの研究関心
  2.実験的研究の経緯
  (1)ホレース・マン幼稚園における研究
  (2)ホレース・マン小学校における研究
  3.“Horace Mann Studies in Primary Education”の内容
  (1)実験に対するキルパトリックの見解
  (2)各学年の教師による研究報告
  (3)テスト結果の分析と実験の評価
  4.論文「プロジェクト・メソッド」の理論的特質
 第3節 プロジェクト・メソッドの普及とその系譜
  1.ホレース・マン校関係者による講演活動
  2.プロジェクト・メソッドに関する多様な教育情報
  (1)ティーチャーズ・カレッジの研究成果の影響
  (2)その他の情報にみる研究系譜
  3.シンポジウムの開催とその議論
第2章 日本におけるプロジェクト・メソッド普及の概況
 第1節 各研究機関における研究の経緯
  1.東京帝国大学における研究の経緯
  2.東京女子高等師範学校における研究の経緯
  3.奈良女子高等師範学校に於ける研究の経緯
  (1)松濤泰厳の留学
  (2)周辺人物の反応
 第2節 プロジェクト・メソッドの紹介と教育界の反応
  1.関心の高まりとその衰退
  2.執筆者とその変化
  3.記事の内容とその特徴
  (1)アメリカ教育情報の紹介
  (2)初期の紹介記事の影響
  (3)実践家による実践報告
  (4)キルパトリックへの再注目
 第3節 日本における普及の特徴
第3章 東京女子高等師範学校および同附属小学校における研究と実践
 第1節 プロジェクト・メソッド研究の背景
  1.附属小学校における教育研究態勢
  (1)研究組織の整備
  (2)附属小学校の教科課程
  2.藤井利誉の帰国とアメリカ教育情報の紹介
  (1)スペイヤー校におけるインダストリアル・アーツの紹介
  (2)幼学年教育に関する紹介
 第2節 幼学年教育研究のモデルと内容
  1.“Horace Mann Studies in Primary Education”の翻訳
  2.幼学年教育の研究事項
  3.初年度の実践の具体相と「材料」概念
 第3節 北沢種一によるプロジェクト・メソッドの受容
  1.欧米留学への出発まで
  2.プロジェクト・メソッドに関する論考と参考文献
  (1)教育雑誌に発表した記事
  (2)『新教育法の研究』の位置づけ
  3.受容の特質
  (1)方法原理の考察
  (2)キルパトリック理論研究の展開
  (3)導入の伴う課題の認識
 第4節 附属小学校におけるプロジェクト・メソッドの導入
  1.遠足へのプロジェクト・メソッドの導入
  2.吉田弘によるプロジェクト・メソッドの受容
  (1)『プロジェクトメソッドによる算術教授の実際』の執筆経緯
  (2)プロジェクト・メソッド論の研究
  (3)プロジェクトの特徴と実践の具体相
第4章 東京帝国大学および神奈川県女子師範学校附属小学校における研究と実践
 第1節 入沢宗寿によるプロジェクト・メソッドの受容
  1.山崎博との研究にいたるまで
  2.プロジェクト・メソッドに関する論考と参考文献
  3.受容の特質
  (1)プロジェクト・メソッドの史的展開と概念の整理
  (2)プロジェクト・メソッドに対する評価
  (3)ヘルバルト主義教授・学習理論への着目
 第2節 山崎博によるプロジェクト・メソッドの受容
  1.神奈川女師附小赴任まで
  2.体操科におけるプロジェクト・メソッドの導入
  (1)『構案法に依る学校体育』の参考文献
  (2)運動会の実践
  3.地理科におけるプロジェクト・メソッドの導入
  (1)『構案法に依る新地理教育』の概要
  (2)教授法の紹介
  (3)実践の具体相とそのモデル
 第3節 文化教育学と体験教育への移行
  1.田島小学校における体験教育
  (1)体験教育唱導の背景
  (2)文化教育学の特質と体験教育の構想
  2.「生活科」の特質
  (1)「生活科」の教材論
  (2)訓導による教材開発
第5章 奈良女子高等師範学校および同附属小学校・幼稚園における研究と実践
 第1節 松濤泰厳によるプロジェクト・メソッドの受容
  1.欧米留学後の研究活動まで
  2.プロジェクト・メソッドに関する論考と参考文献
  (1)論文「プロジェクト・メソッド」の紹介
  (2)『全我活動の教育』刊行までに用いた参考文献
  3.受容の特質
  (1)自律性の解釈
  (2)方法研究の位置とその内容
  (3)学習理論研究の特質
  (4)ドルトン・プランの紹介
 第2節 鶴居滋一によるプロジェクト・メソッドの受容
  1.合科学習に取り組むまで
  2.プロジェクト・メソッドの研究に用いた参考文献
  3.合科学習におけるプロジェクト・メソッドの導入
  (1)「学習訓練」にみる教育課題
  (2)題材選択にみる学習観
  (3)「生活」概念の解釈
 第3節 森川正雄によるプロジェクト・メソッドの受容
  1.プロジェクト・メソッドに注目するまで
  2.プロジェクト・メソッドに関する論考と参考文献
  (1)プロジェクト・メソッド提唱時の参考文献
  (2)『幼稚園の理論及実際』におけるプロジェクト・メソッドの紹介
  3.附属幼稚園におけるプロジェクト・メソッドの導入
結章 近代日本におけるプロジェクト・メソッド受容の特質
初出誌一覧
あとがき
事項索引
人名索引
著者遠座知恵 著
発行年月日2013年02月28日
頁数312頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1970-7