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昭和戦前期初等歴史教育実践史研究

定価: 12,100 (本体 11,000 円+税)
昭和戦前期に刊行された歴史教育雑誌を通して、初等教育段階での歴史教育の理論と実践を考察しつつ、歴史授業構成論に類型化し、その特質・意義・課題を明らかにした新著。

【著者略歴】
福田喜彦(ふくだ よしひこ)
1976年12月 長崎県に生まれる
1999年3月 鹿児島大学教育学部中学校教員養成課程社会専攻卒業
2001年3月 鹿児島大学大学院教育学研究科教科教育専攻社会科教育専修修了 修士(教育学)
2001年4月 学校法人有明学園有明高等学校講師
2002年4月 学校法人有明学園有明高等学校教諭
2003年4月 学校法人有明学園有明高等学校学校図書館司書教諭
2008年4月 国立大学法人愛媛大学教育学部講師
2011年3月 広島大学大学院教育学研究科博士課程後期学習開発専攻修了 博士(教育学)
2011年4月 国立大学法人愛媛大学教育学部准教授
      現在に至る
目次を表示します。
序章 本研究の目的・意義・方法
 第一節 研究主題
 第二節 本研究の特質と意義
  第一項 研究の対象
  第二項 分析の方法
 第三節 研究方法と論文構成
第一章 戦前期における歴史教育史研究の方法と課題
 第一節 本章の課題
 第二節 歴史教育史研究の動向とその概要
  第一項 「日本史教育」の研究動向の概要
  第二項 「外国史教育」の研究動向の概要
  第三項 「植民地教育」の研究動向の概要
 第三節 歴史教育史研究への視座
  第一項 研究対象の捉え方への視座
  第二項 史資料の取り扱い方への視座
  第三項 授業内容や構成のあり方への視座
 第四節 歴史教育史研究への展望
 第五節 小括
第一部 昭和戦前期における歴史教育メディアの発達と歴史教育情報の受容
第二章 昭和戦前期における歴史教育論の変容過程―歴史教育雑誌の分析を中心として―
 第一節 本章の課題
 第二節 昭和戦前期における歴史教育雑誌の刊行
  第一項 歴史教育雑誌の種類と性格
  (一)歴史教育研究会と『研究評論歴史教育』
  (二)地理歴史研究会と『地理歴史教育』
  (三)国史教育研究会と『国史教育』
  (四)国史教育学会と『最新史観国史教育』
  (五)国史研究会と『実践国史教育』
  第二項 歴史教育雑誌の刊行時期と論考に見られる歴史教育論の変容
 第三節 昭和初期における多様な歴史教育論の残存と消長
  第一項 多様な視点による歴史教育論の展開
  第二項 多様な視点による歴史教育内容の構成
  第三項 多様な歴史授業の実践と展開
  第四項 多様な歴史教育論の衰退
 第四節 「国家主義」的歴史教育論の展開と拡張
  第一項 多様な歴史教育論への批判
  第二項 「国家主義」的な歴史教育論の浸透
  第三項 「国家主義」的な歴史授業の実践と展開
 第五節 「国家主義」的な歴史教育論への一元化
  第一項 歴史教育雑誌の統廃合
  第二項 戦時下における歴史授業の実践と展開
 第六節 小括
第三章 昭和戦前期における歴史教育情報の受容と初等教員の資質形成―『歴史教育講座』の構成とその特色の検討から―
 第一節 本章の課題
 第二節 『歴史教育講座』の刊行とその全体構成
  第一項 歴史教育研究会の組織と1930年代の活動
  第二項 『歴史教育講座』の構成とその内容
  第三項 『歴史教育講座』に求められたもの
 第三節 歴史教育情報の回路と「学知」の構築
  第一項 『歴史教育講座』の執筆者の経歴の特徴
  第二項 歴史教育情報を提供した2つのルート
  第三項 体系化された「学知」のモデル
 第四節 3つの「学知」と初等教員の資質形成
  第一項 歴史教育研究者と「理論的学知」
  第二項 歴史学研究社と「専門的学知」
  第三項 歴史教育実践者と「実践的学知」
  第四項 初等教員の資質と体系化された「学知」の確定
 第五節 小括
第二部 昭和戦前期の初等教育段階における歴史教育の理論と実践の類型
第四章 昭和戦前期の初等教育段階における歴史教育の課題とその類型化
 第一節 昭和戦前期の初等教育段階での歴史教育の課題
 第二節 歴史授業における〈教師〉と〈児童〉の位置
 第三節 社会系教科の学習内容の形態と歴史教育改革の方向性
 第四節 昭和戦前期の初等教育段階の歴史授業構成論の4つの類型
第五章 「説話」に基づく個別的分科型歴史授業構成論―山田義直の理論と実践を事例にして―
 第一節 本章の課題
 第二節 全国地理歴史訓導協議会と歴史教育の課題
  第一項 全国地理歴史訓導協議会の概要
  第二項 第三かい国史科協議会での自学主義への評論
 第三節 「説話主義歴史教育」の原理
  第一項 歴史教材の内容選択と配列
  第二項 情操教材の国史学習への効果
  第三項 自学主義から説話主義へ
 第四節 「説話主義歴史教育」の方法
  第一項 情操の陶冶と「フエルシユテーエン」
  第二項 内的直観と外的直観
  第三項 国史学習の指導過程
 第五節 「説話主義歴史教育」の内容
  第一項 教材構成の論理
  第二項 授業の指導過程
  第三項 児童の学習活動
 第六節 「説話」に基づく個別的分科型歴史授業構成論の意義と限界
第六章 「理会」に基づく個別的分科型歴史授業構成論―大久保馨の理論と実践をもとにして―
 第一節 本章の課題
 第二節 精神科学と歴史教育
  第一項 佐藤熊治郎の歴史教育観
  第二項 大久保馨の歴史教育観
 第三節 「理会主義歴史教育」の原理と方法
  第一項 歴史の知識と国史の「理会」
  第二項 児童の価値意識と国史の「批判」
  第三項 児童の生活と国史の「自己陶冶」
 第四節 「理会主義歴史教育」の内容
  第一項 「織田信長」(尋六)の授業実践
  (一)教材構成の論理
  (二)授業の指導過程
  (三)児童の学習活動
  第二項 「奈良時代の学芸,風俗」(高一)の授業実践
  (一)教材構成の論理
  (二)授業の指導過程
  (三)自動の学習活動
 第五節 「理会」に基づく個別的分科型歴史授業構成論の意義と限界
第七章 「作業」に基づく協同的分科型歴史授業構成論―飛松正の理論と実践を中心にして―
 第一節 本章の課題
 第二節 「作業主義歴史教育」の原理―歴史学習における「理解」と「理会」―
  第一項 飛松の教育観と歴史観
  第二項 「追体験」による歴史理会
  第三項 「再構成」による歴史理会
 第三節 「作業主義歴史教育」の方法―「研究」と「整理」の作業学習―
  第一項 「歴史研究」と「歴史教育」との関係
  第二項 「研究」と「整理」の作業学習
 第四節 「作業主義歴史教育」の内容―「聖武天皇」の授業実践の分析―
  第一項 「聖武天皇」の授業構成
  第二項 「研究」の作業学習
  (一)研究題目の提出
  (二)各題目の系統的指導
  第三項 「整理」の作業学習
  (一)整理作業
  (二)研究発表
 第五節 「作業主義歴史教育」への批判
 第六節 「作業」に基づく協同的分科型歴史授業構成論の意義と限界
第八章 「課題」に基づく協同的分科型歴史授業構成論―内田庄次の理論と実践を通して―
 第一節 本章の課題
 第二節 成城小のカリキュラムと「歴史科」の特徴
  第一項 成城小の「歴史科」と内田庄次
  第二項 「歴史科」の改造とその経緯
  (一)歴史の「理解」から「構成」へ
  (二)歴史科の始期と位置づけ
 第三節 内田庄次の歴史観と教育観
  第一項 内田の歴史観―学習内容の立体化―
  第二項 内田の教育観―学習方法の立体化―
 第四節 内田の歴史授業の原理と方法―「課題主義歴史教育」への改革に対する3つの視点―
  第一項 歴史教材の選定
  第二項 「国史参考書」の読書
  第三項 歴史学習での学習ノートの活用
 第五節 内田の歴史授業の内容とその実態
  第一項 教材構成の論理
  第二項 授業の指導過程
  第三項 児童の学習活動
 第六節 「課題」に基づく協同的分科型歴史授業構成論の意義と限界
第九章 「合科」に基づく個別的総合型歴史授業構成論―大松庄太郎の理論と実践を手がかりにして―
 第一節 本章の課題
 第二節 「合科主義歴史教育」の原理
  第一項 低学年における国史学習の意味
  第二項 「生活法」の歴史構成と「歴史心」の啓培
  第三項 関係的思考力の育成と国史学習
 第三節 「合科主義歴史教育」の方法
  第一項 国史学習の指導過程
  第二項 「独自学習」と「相互学習」の主導過程
 第四節 「合科主義歴史教育」の内容―実践「笠置山のしらべ」の授業構成―
  第一項 教材構成の論理
  第二項 授業の指導過程
  第三項 児童の学習活動
 第五節 大久保の「学習法」への批判
 第六節 「合科」に基づく個別的総合型歴史授業構成論の意義と限界
第十章 「統合」に基づく協同的総合型歴史授業構成論―鷲山さきと金成みき江の理論と実践に着目して―
 第一節 本章の課題
 第二節 作業教育と「社会科」
  第一項 北澤の主事就任と作業教育による改革
  第二項 教科の再編と「社会科」の新設
 第三節 「社会科」単元構成と歴史学習との関係
  第一項 「国史科」と「社会科」の授業実践
  第二項 「社会科教材配当案」と歴史学習
 第四節 「社会科」歴史授業実践の実際
  第一項 金成実践「大東京」の授業構成
  (一)教材構成の論理
  (二)授業の指導過程
  (三)児童の学習活動
  第二項 鷲山実践「東京の歴史指導」の授業構成
  (一)教材構成の論理
  (二)授業の指導過程
  (三)自動の学習活動
 第五節 「統合」に基づく協同的総合型歴史授業構成論の特質と意義
終章 昭和戦前期における歴史教育の理論と実践の到達点
 第一節 昭和戦前期に刊行された歴史教育雑誌が果たした役割
 第二節 昭和戦前期の初等教育段階の歴史教育の類型からみた理論と実践の到達点
 第三節 本研究の総括と今後の課題
〈本研究に関連する既発表の学術論文及び初出一覧〉
史料・資料・参考文献
あとがき 
著者福田喜彦 著
発行年月日2012年12月25日
頁数438頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1969-1