算数授業における協同的な学習過程の検討
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序
第一部 先行研究
第1章 算数・数学科における教室談話と学習研究の動向
第1節 学校数学の質的変容:探究的な学校数学
1.1.1 新しい学校数学の在り方
1.1.2 探究的な学校数学の実践事例とその背景
1.1.3 探究的な学校数学における教師の役割
第2節 探究的な学校数学の教室談話
1.2.1 探究的な学校数学が育む数学的リテラシー
1.2.2 コミュニケーションと学習を両立させる生産的な教室談話の特質
1.2.3 省察的談話が導く往還的な学習過程
第3節 協同的な学習における教室談話と数学学習へのアプローチ
1.3.1 教室談話研究の背景となる二つの学習観の統合によるアプローチ
1.3.2 協同的な学習の成立を支える教室と学習の規範形成
第4節 まとめ:探究的な数学を分析する新たなパースペクティブ
1.4.1 課題の導出:協同の表象を捉える分析枠組みの構築
1.4.2 協同的な学習過程の理論的モデル:「知識構築」
1.4.3 本研究における数学理解:数学的リテラシーとしての検討
第2章 算数の協同的な学習における図的表現の機能
第1節 算数・数学学習における図的表現の使用とその課題
2.1.1 数学理解を促進する教材開発
2.1.2 算数授業における図的表現使用の実践的効果と課題
第2節 授業における図的表現の使用過程の検討
2.2.1 図的表現の使用過程を捉える視点:記号化と表記活動
2.2.2 図的表現を使用する学習過程の事例研究
2.2.3 協同的な学習における図的表現の使用過程
第3節 協同を媒介し、表象するインスクリプションとしての図的表現
2.3.1 協同的な学習における教室談話の媒介物
2.3.2 社会的行為を促進する“インスクリプション”
2.3.3 協同的な学習における図的表現の媒介的機能
第3章 算数授業における協同的な学習過程の理論的モデル
第1節 算数授業における協同的な学習の課題と展望
3.1.1 算数授業における協同的な学習の課題
3.1.2 「知識構築」に基づく学習観
3.1.3 教室談話における「知識構築」の課題
第2節 理論的モデルの構築
3.2.1 「知識構築」概念に基づく協同的な学習
3.2.2 協同的な課題解決を促進する談話の「立ち戻り」過程
3.2.3 協同的な課題解決における社会数学的規範とインスクリプション
第4章 目的と方法、及び本論文の構成
第1節 研究課題の導出と方法論の検討
4.1.1 研究課題の導出
4.1.2 対象事例の妥当性と方法論の検討(1):比較研究による学校算数観の検討
4.1.3 方法論の検討(2):事例研究による協同的な学習過程の実証的検討
第2節 目的と方法
4.2.1 目的
4.2.2 方法(1):比較研究による学校算数観の検討
4.2.3 方法(2):事例研究による協同的な学習過程の実証的検討
第3節 本論文の構成
第二部 比較研究から捉える「学校算数観」
第5章 日本とシンガポールにおける算数教科書の比較研究
第1節 問題と目的
第2節 方法
5.2.1 対象
5.2.2 分析手続き:研究1 量的比較
5.2.3 分析手続き:研究2 質的研究
第3節 研究1の結果と考察:教科書の構成
5.3.1 設問種類から捉えた問題構成の傾向
5.3.2 課題目標から捉えた重点的に学習される内容
5.3.3 結果1のまとめと考察
第4節 研究2の結果と考察
5.4.1 問題と図的表現に意図される学習課題
5.4.2 メタディスコースの検討
5.4.3 結果2のまとめと考察
第5節 総合考察
5.5.1 問題解決を通した学習と期待される数学理解
5.5.2 図的表現の機能
5.5.3 メタディスコースの比較
第6章 日本とシンガポールにおける算数授業の比較研究
第1節 問題と目的
第2節 方法
6.2.1 対象
6.2.2 分析の手続き
第3節 研究1の結果と考察
6.3.1 学習活動の内容と時間配分の違い
6.3.2 授業展開の比較
第4節 研究2の結果と考察
6.4.1 図的表現の使用をめぐる教室談話
6.4.2 「同数累加」の学習
第5節 総合考察
6.5.1 日本とシンガポールにおける授業過程の差異
6.5.2 図的表現の機能と期待される数学学習の様相
第7章 第二部の総括:「学校算数観」の検討
第1節 日本とシンガポールの「学校算数観」
7.1.1 図的表現の使用意図
7.1.2 問題解決を通した学習と期待される数学学習
7.1.3 集団的な問題解決型授業と協同学習の融合による探究的な学校数学の実践
第2節 総括:学校算数観
7.2.1 シンガポール;方略重視型
7.2.2 日本;活動重視型
7.2.3 差異を引き起こす要因の検討
第3節 本研究の結果が与える示唆
7.3.1 事例研究への接続:検討すべき課題
7.3.2 比較研究に残された課題
第三部 算数授業における協同的な学習過程の事例研究
第8章 省察的談話とインスクリプションが導く知識構築過程の検討
第1節 問題と目的
第2節 対象
8.2.1 事例の概要
8.2.2 本事例での学習課題;乗法の「意味の拡張」
第3節 事例研究Ⅰ:独自の図的表現の創出と知識構築
8.3.1 個々に保持された既習知識を表出する
8.3.2 多様な表現による乗数概念を表出する
8.3.3 個々の考え方を吟味する
8.3.4 形式的な説明によって話し合いが行き詰まる
8.3.5 図を媒介にして知を再共有し、新たな図を創出する
8.3.6 独自の図への「立ち戻り」が導いた課題解決
8.3.7 事例Ⅰにおける学習過程の解釈
第4節 考察
8.4.1 独自の図の生成過程における知識構築とインスクリプション
8.4.2 図的表現への「立ち戻り」過程の検討
8.4.3 社会数学的規範の形成にむけた教室談話
第9章 「立ち戻り」が導く定型化された図的表現の学習過程
第1節 問題と目的
第2節 対象
9.2.1 事例の概要
9.2.2 本事例の学習課題
第3節 事例研究Ⅱ:図的表現と概念の相乗的な学習過程
9.3.1 図の表象理解と多面性への認識
9.3.2 演算過程の形式的操作に依存した説明
9.3.3 具体的な課題場面の数学的操作と図の表象との対照
9.3.4 演算過程の状況に基づいた説明
9.3.5 図を媒介にした演算過程の状況的説明
9.3.6 事例Ⅱにおける学習過程の解釈
第4節 考察
9.4.1 図的表現を使用した協同的な課題解決過程
9.4.2 立ち戻りによる数直線図概念の相乗的な学習過程
第10章 省察的談話によるインスクリプションと社会数学的規範の検討
第1節 問題と目的
第2節 対象とした授業の概要:学習課題と教師の意図
第3節 事例研究Ⅲ:問題解決と思考を媒介する図的表現の適用
10.3.1 課題の探索と焦点化
10.3.2 問題の明確化と把握
10.3.3 数直線図を適用した面積図の表象把握
10.3.4 課題解決に使用する図的表現の共有と並行する課題解決
10.3.5 事例Ⅲにおける学習過程の解釈
第4節 考察
10.4.1 省察的談話による「立ち戻り」過程
10.4.2 長期的な学習過程の検討から捉える社会数学的規範の形成
第11章 協同的な課題解決におけるインスクリプション
第1節 多様な表現を集約する機能【事例Ⅰ】
第2節 多様な思考を媒介する機能【事例Ⅱ】
第3節 表象の不一致を調整する機能【事例Ⅲ】
第4節 協同的な学習における図的表現の機能
第四部 総括
終章 総合考察
第1節 本研究のまとめ
第2節 算数授業における協同的な学習と図的表現の使用過程
12.2.1 協同的な課題解決における「立ち戻り」過程
12.2.2 協同的な学習を支える図的表現のインスクリプションとしての機能
第3節 算数授業における社会数学的規範の形成過程と知識構築
12.3.1 協同的な課題解決における社会数学的規範の形成過程
12.3.2 社会数学的規範の形成が導く知識構築
12.3.3 算数授業における協同的な学習過程モデルの精緻化
第4節 残された課題:授業実践の総体的な記述と検討
12.4.1 協同の表象を捉えるパースペクティブの精緻化
12.4.2 今後の課題を導出する研究の視点
12.4.3 教師の実践化過程の検討:知識特性と児童認知、及び志向性への着目
引用文献
あとがき