アメリカにおける教育官僚制の発展と克服に関する研究
歴史的・制度的視点から
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序章 アメリカ「教育官僚制」研究の意義と課題
第1節 なぜ「教育官僚制」研究か
第2節 研究における「アメリカ」の意味
第1項 アメリカ官僚制の特異性
第2項 歴史的視点の意義
第3項 断片化された官僚制
第3節 官僚制と民主主義
第4節 研究課題と方法
第1部 アメリカにおける教育官僚制の歴史的考察
第1章 アメリカの官僚制の形成と成長―18世紀末から19世紀末
第1節 官僚制の胎動(1775年-1828年)
第1項 政府の両義性
第2項 アメリカ合衆国憲法と官僚制
第3項 官僚制と古典的リベラリズム
第4項 建国期の教育と親の教育権
第2節 ジャクソニアン・デモクラシーと官僚制(1829年-1837年)
第1項 ジャクソニアン・デモクラシー(Jacksonian Democracy)の意味
第2項 ジャクソニアン・デモクラシー下の官僚たち
第3項 大衆民主主義と官僚制
第3節 官僚制の確立(1850年-1880年)
第1項 反奴隷制運動を支える思想
第2項 ポスト南北戦争時代と官僚制
第3項 多元的社会と官僚制
第4項 改革運動と専門的官僚
第2章 アメリカの教育官僚制の成立と発展―19世紀前半から20世紀前半
第1節 教育における初期官僚制の形成―官僚制確立以前の大衆公教育
第1項 コモン・スクール運動の高揚
第2項 コモン・スクールと「類似性」(isomorphism)
第3項 大衆公教育の普及の実態
第4項 「教育復興運動」の意義
第2節 教育官僚制の確立(1865年-1880年)
第1項 南北戦争後の社会変化
第2項 教育官僚制の本格的確立―ボストンとクインシーの事例から
第3項 本格的官僚制の性格
第3節 進歩主義教育運動と官僚制の発展(1890年-1940年)
第1項 進歩主義教育の特色
第2項 教育学的進歩主義の限界
第3項 行政的進歩主義の「勝利」
第4項 科学主義と専門職主義
第5項 教育の企業モデル
第6項 教育労働者のたたかい―マーガレット・ハレーの活動
第7項 ニューディール期の教育(1933年-1938年)
第2部 アメリカにおける教育官僚制の制度論的考察
第1章 教育官僚制の制度論的分析
第1節 制度理論と官僚制研究
第1項 アメリカにおける制度論争―「組織」への異なったパースペクティブ
第2項 「公共選択論」の理論的基礎と問題点
第3項 「社会学的新制度論」によるアプローチ
第2節 教育官僚制の形成要因
第1項 アメリカの教育官僚制の発達の態様
第2項 中央集権化なき官僚制化
第3項 行政的要素による学区の官僚制化―組織形成へのファンドの影響力
第4項 形式化と官僚制化
第5項 「制度的環境」と学区・学校
第6項 「制度的環境」と組織構造の変化
第7項 政治システムとしての学区
第2章 官僚制と権力
第1節 ストリート・レベルの官僚制
第1項 「ストリート・レベルの官僚制」研究の意義
第2項 「ストリート・レベルの官僚」の特質―その裁量と自律性
第3項 「履行理論」とストリート官僚
第4項 「主人―代理人」理論とストリート官僚
第5項 葛藤的心性から見たストリート官僚
第6項 ストリート官僚の道徳的性格
第2節 「クライエント支配」と権力
第1項 ストリート官僚による「クライエント支配」
第2項 行動論的権力観に基づくクライエント救済とその限界
第3項 脱行動論のインパクト
第4項 脱行動論的権力観の射程
第3節 ヒューマン・サービス組織をめぐる権力関係
第1項 リソース基盤の権力理論
第2項 リソース理論を越えて
第3章 制度論の展開と社会運動
第1節 制度理論の新たな発展
第1項 公教育批判の言説
第2項 「主人―代理人」理論と民主主義
第3項 契約から信頼へ―新しい法的パラダイム
第4項 制度理論の展開と影響
第2節 社会運動と官僚制
第1項 市場主義と官僚制
第2項 社会運動研究の意義
第3項 社会運動理論の発展
第4項 社会運動と官僚制組織―社会変化のプロセス
第5項 変化する官僚制組織―1960年代のアメリカの社会運動を中心に
第3部 教育官僚制とその克服に関する法的考察
第1章 教育官僚制克服へのリベラリズム・アプローチ―その意義と限界
第1節 手続的デュー・プロセスと官僚制
第1項 リベラリズムと「手続的正義」
第2項 リベラリズムへの批判
第3項 憲法第14条修正とデュー・プロセス
第2節 「全障害児教育法」成立の背景
第1項 「全障害児教育法」以前の手続的保障
第2項 「全障害児教育法」制度に見られる裁判の影響
第3項 「全障害児教育法」成立過程に見る手続的規定の変遷
第3節 「全障害児教育法」に見る手続的権利保障―フォーマルな対審型ヒアリング
第1項 「全障害児教育法」の内容と特色
第2項 「全障害児教育法」615条に見るヒアリング手続
第3項 ヒアリング手続の実際
第4節 司法モデルの手続保障の効果と限界
第1項 厳格なデュープロセス・ヒアリング(due process hearing)導入の効果
第2項 厳格なデュープロセス・ヒアリングの限界
第2章 ADR運動の可能性と課題―代替的紛争解決方法の教育への適用
第1節 リベラリズム・アプローチからADRへ
第1項 「社会的関係性」アプローチの意味
第2項 ADRの歴史的考察[1]―コミュニティとメディエーション(mediation)
第3項 ADRの歴史的考察[2]―リーガリゼーションへの改革運動
第2節 行政紛争解決法に見るADRの意味と課題
第1項 アメリカ平等雇用機会委員会へのADRの導入
第2項 1990年行政紛争解決法(ADRA)の制定過程
第3項 1990年行政紛争解決法の目的と課題―第2条および第4条(§584)
第3節 障害児教育におけるADRおよびメディエーションの意義
第1項 1997年個別障害者教育法の成立
第2項 1997年IDEAおよび連邦規則に見るメディエーション規定―同法第615条(e)及びF.R.§300.506
第4節 メディエーションの実際とその効果
第1項 メディエーションの定義とプロセス
第2項 オンブズパーソンとメディエーション
第3項 メディエーションの事例研究―障害児教育について
第4項 各州におけるメディエーションの実態と効果―障害児教育に関して
第5節 ADRおよびメディエーションの発展と課題
第1項 ADRおよびメディエーションの新たな展開
第2項 ADRの課題と可能性
終章 本研究の成果と今後の課題―日本の教育へ向けて
謝辞
事項索引
人名索引