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幼児教育の質的向上に関する研究

定価: 8,800 (本体 8,000 円+税)
幼児の遊びに基盤をおいた幼児教育の「質」を探究。日本のみならず、イギリスの幼児教育を歴史的および実証的に比較考察し、幼児教育の質的向上に有益な示唆を与える。

【著者略歴】
山本和美(やまもと かずみ)
1942年生まれ
1965年3月 奈良女子大学文学部教育学科幼年教育学専攻卒業
1966年3月 奈良女子大学文学部専攻科幼年教育学専攻修了
大阪私立桃園幼稚園教諭、大阪市教育研究所研究員、平安女学院大学短期大学部保育科教授を経て、
2004年4月より、名古屋女子大学文学部児童教育学科教授、同大学院人文科学研究科長、奈良女子大学文学部非常勤講師。

博士(教育学)(聖和大学・2004年3月)

2006年(平成18年)6月死去
目次を表示します。
 序章 研究の目的と方法
  第1節 研究目的と研究方法
   1.研究目的
   2.研究方法
  第2節 先行研究の概要
   1.遊びの研究に関連して
   2.質の研究について
  第3節 論文の構成
第Ⅰ部 日本の幼児教育
 第1章 幼児教育における遊びの意義と質について
  第1節 日本の幼児教育における保育内容・方法の歴史的推移―自由遊びの系譜の視点から―
    1.幼稚園教育の創始「保育科目」の時代と20遊嬉(恩物)
    2.「保育4項目」の時代と遊嬉/遊戯
    3.児童中心主義と「保育5項目」の時代
    4.戦後の再出発,「保育要領」の時代と自由遊び
    5.教育内容の組織化や系統性と遊び―幼稚園教育要領と6領域―
    6.自由選択活動/遊びへのパラダイム転換―幼稚園教育要領と5領域―
    7.まとめ―わが国の幼児教育における自由遊びの考え方―
  第2節 幼児教育における遊びの意義
    1.遊びの意義
    2.幼児教育における遊びと仕事
  第3節 幼児教育における自由と規律
    1.幼稚園・保育所における集団生活と自由について
    2.子ども中心の教育について
    3.デューイにおける社会的統制/規律と自由について
    4.まとめ
 第2章 主体的な活動/遊びと質的向上について
  第1節 主体的な活動における幼児の育ちについて
    1.幼児教育における主体的な活動について
    2.保育の対象と幼児教育方法
    3.幼稚園や保育所における指導・援助の考え方
    4.主体的な活動における幼児の育ちについて―指導事例―
  第2節 子どもの発達と遊びの質的向上を目指す三層構造
    1.幼児の表現を豊かにするための保育について
    2.幼児の表現を豊かにするための基礎的考え(三層構造)
    3.幼児の表現を豊かにするための保育事例
 第3章 わが国の幼児教育・保育の質研究について
  第1節 わが国の質の研究について
第Ⅱ部 質的向上を目指すイギリスの幼児教育が示唆するもの
 第1章 イギリスの幼児教育について
  第1節 イギリスの幼児教育・保育の歴史的背景の概略
  第2節 多様なイギリスの保育制度と保育施設について
    1.多様なイギリスの幼児教育・保育施設について
    2.多様なイギリスの幼児教育・保育施設と幼児数について
 第2章 イギリスの新しい動きと幼児教育の質について
  第1節 イギリス1988年教育改革法と幼児教育への影響
    1.イギリス1988年教育改革法について
    2.1988年教育改革の幼児教育への影響
  第2節 保護者が希望する全ての4歳児に幼児教育を
    1.ヴァウチャーの開始とその廃止への経過について
    2.英国総選挙と21か条の公約(Manifesto)および幼児教育への影響
    3.就学前幼児の教育目標と評価について
    4.まとめ
 第3章 質的向上を目指す「幼児教育の目標」設定と評価について
  第1節 「幼児教育の目標」の設定と視察・評価
    1.幼児教育の質的向上を目指すイギリスの新しい動き
    2.幼児教育・保育の到達目標としての「望ましい結果(Desirable Outcomes)」
    3.良質の幼児教育・保育を保証するための視察・評価について
    4.考察
  第2節 ナショナル・カリキュラムのファンデーション・ステージの創設と教育目標へのステッピング・ストーンズのアイディア
    1.ファンデーション・ステージについて
    2.カリキュラムとステッピング・ストーンズ
 第4章 質的向上を目指す幼稚園と保育所の関係について
  第1節 イギリスの幼児教育と保育(ケア)について
    1.イギリスの幼児教育と保育の統合・提携の試みについて
    2.質の高い幼児教育・保育とその量の拡大を目指して
    3.幼児教育と保育の統合・提携の計画とその実現について
    4.考察
 第5章 質的向上を目指す自己評価から第三者評価へのステップ
  第1節 自己点検・評価,オックスフォード・シャーのスクール・リポートの考察
    1.オックスフォード・シャーのスクール・リポートの背景
    2.スクール・リポートについて
  第2節 保育の質的向上を目指す情報提供のあり方―日本とイギリスとの比較―
    1.保育所の自由選択導入と市町村の情報提供義務化について
    2.イギリスの保育に関する情報提供の現状
    3.イギリスの保育所保育の行政による情報提供について
    4.イギリスの保育所の情報提供の実際事例
    5.考察
 第6章 質的向上を目指すイギリスの幼児教育方法について
  第1節 インフォーマル・エデュケーションについて
    1.インフォーマル・エデュケーションの成り立ちと定義について
    2.イギリスの幼児教育におけるインフォーマル・エデュケーションの実際
    3.考察
  第2節 イギリスの幼児教育における遊びの構造化について
    1.質的向上を目指す遊びの構造化について
    2.イギリスの幼児教育における遊びの構造化(Structure)について
    3.遊びの構造化の実践例
    4.遊びの質を深めるための構造化について
    5.考察
  第3節 アメリカの幼児教育における遊びの構造化との比較
    1.ボストンの幼児教育における遊びの構造化について
    2.ボストンの幼稚園教育課程について
    3.ボストンの幼児教育における遊びの構造化
    4.保育の実践例
    5.考察
 第7章 質的向上を目指すイギリス幼児教育の今後の展望
  第1節 保育者の質的向上を目指す動きについて
    1.イギリスの保育者(教師,保育士)について
    2.ランボルド委員会委員のその後―保育者の質的向上を目指す動き―
  第2節 保育者の質的向上を目指す幼児教育カリキュラム
    1.幼児教育カリキュラムの内容について
    2.保育の実際;グランドポント保育学校(Grandpont Nursery School)
    3.考察とまとめ
  第3節 マーガレット・マクミラン保育学校について
    1.マーガレット・マクミランについて
    2.マーガレット・マクミラン保育学校について
    3.考察
  第4節 アーリー・エクセレンス・センターの目指すもの
    1.アーリー・エクセレンス・センターについて
    2.アーリー・エクセレンス・センターの実践について
  第5節 質的向上を目指すイギリスの幼児教育・保育が示唆するものと今後の方向
SUMMARY:Study for Improvement of the Quality of Early Years Education
あとがき(松井春満)
著者山本和美 著
発行年月日2010年11月15日
頁数288頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1818-2