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中国における「農民工子女」の教育機会に関する制度と実態

定価: 12,650 (本体 11,500 円+税)
本書は中国の「農民工子女」教育の変容を制度と実態の双方から捉えなおすと共に、行政的レベルから個々人レベルに至る分析によって多面的に考察した労作。

【著者略歴】
植村広美(うえむら ひろみ)
1977年大阪府生まれ。大阪外国語大学(現大阪大学外国語学部)国際文化学科・中国語専攻を卒業後、広島大学大学院国際協力研究科博士課程前期を修了。
2007年、広島大学大学院教育学研究科博士課程後期を修了。博士(教育学)。
現在、愛知淑徳大学・愛知教育大学ほか非常勤講師。
目次を表示します。
まえがき
序章 研究の目的・方法・意義
 第1節 研究の目的
 第2節 先行研究の検討
 第3節 研究の方法
 第4節 研究の意義・限界
第1章 義務教育制度と農民工子女の教育機会
 第1節 農民工子女の教育機会の問題
  (1)義務教育段階における地方分権化
  (2)戸籍管理制度と義務教育制度の関連
 第2節 農民工子女の都市への流入数の増加現象
  (1)都市における農民工流入現象の背景
  (2)家族単位による農民工の都市への流入の増加
第2章 農民工子女の教育機会保障のための自主的学校運営活動
    ―民営無認可「民工子弟学校」を事例として―
 第1節 「民工子弟学校」の特質と役割
  (1)発足の背景と学校運営形態
  (2)農民工子女の家庭の経済状況
  (3)入学および編入手続きと費用徴収額
  (4)就学者の流動性および同種の学校の発展
 第2節 「民工子弟学校」の教育環境
  (1)施設設備の状況
  (2)校長および教員のプロフィール
  (3)授業開設科目
 第3節 「民工子弟学校」の教育上の問題点と保護者の評価
  (1)教員からみた教育上の問題点
  (2)保護者の「民工子弟学校」に対する評価
第3章 農民工子女の教育機会の保障に関する中央・地方政府の役割
    ―関係法規の制定と規定の変容―
 第1節 中央政府による制定法規の内容分析
  (1)農民工子女の教育機会に対する認識
  (2)農民工子女の教育機会の保障に関する責任の所在の明確化
 第2節 各地方政府による制定法規の内容分析
  (1)北京市政府による制定法規
  (2)成都市政府による制定法規
  (3)武漢市政府による制定法規
  (4)上海市政府による制定法規
  (5)広州市政府による制定法規
第4章 農民工子女の公立校への受け入れ策
 第1節 各都市における公立校への受け入れ状況
  (1)徴収額の各都市比較
  (2)各都市における徴収額と就学率の関係
 第2節 上海市における公立校への受け入れ策の本格化
  (1)公立校への受け入れ可能性の検討
  (2)公立校就学率の高まり
 第3節 北京市における農民工子女の就学実態
  (1)教育に対する意欲
  (2)教室での人間関係をめぐるトラブル
  (3)教育環境の改善に関する新たな対応策
第5章 民営無認可「民工子弟学校」の教育環境の改善
 第1節 北京市における無認可校の教育機会の保障の実態
  (1)公立および民営認可「民工子弟学校」の誕生
  (2)教育環境の変遷
  (3)社会各界による支援
 第2節 上海市における無認可校に対する指導・監督の強化
  (1)2003年以降における無認可校に対する優遇措置
  (2)無認可校に対する行き過ぎた指導・監督
  (3)政府と農民工との間にみられる新たな摩擦
第6章 農民工子女の将来展望と厳しい現実
 第1節 農民工子女の家庭環境の違い
  (1)社会制度違反の有無と経済力
  (2)社会制度違反の有無・経済力別の家庭環境
 第2節 合法的家庭環境にある農民工子女の将来展望
  (1)経済的富裕層の事例
  (2)経済的中間層の事例
  (3)経済的貧困層の事例
 第3節 非合法的家庭環境にある農民工子女の将来展望
  (1)経済的富裕層の事例
  (2)経済的中間層の事例
  (3)経済的貧困層の事例
終章 農民工子女の教育機会の保障
 第1節 農民工子女の教育機会の保障に向けた制度の整備
 第2節 農民工子女の教育機会の保障の実態
付録資料1 農民工子女教育の関係法規
付録資料2 育英小学校(北京市朝陽区)に就学する児童の作文
付録資料3 質問紙調査票
参考文献一覧
あとがき
索引
著者植村広美 著
発行年月日2009年02月28日
頁数428頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1735-2