博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

戦前日本中等学校公民科成立史研究

認識形成と資質育成を視点として

定価: 8,250 (本体 7,500 円+税)
1930年代初頭の中等学校に成立した「公民科」がもつ社会認識教育史上の位置と意義を、教科教育史の視点から実証的に検討した著書。

【著者略歴】
釜本健司(かまもと たけし)
1978年 兵庫県に生まれる
2001年 広島大学教育学部卒業
2003年 広島大学大学院教育学研究科博士課程前期修了
2006年 広島大学大学院教育学研究科博士課程後期修了 博士(教育学)
現在 沖縄大学人文学部講師
目次を表示します。
序章 本研究の課題と方法
 第1節 問題の所在
  第1項 本研究の目的
  第2項 戦前日本「公民科」教育史研究の成果と課題
 第2節 本研究の特質と構成
 第3節 戦前日本中等学校公民関連学科目の時期区分
第1章 「公民科」成立前史としての公民関連諸学科目
 第1節 教授内容提示型学科目としての近代学校制度創始期の諸学科目
  第1項 近代学校制度創始期の学科課程における公民関連諸学科目の位置
  第2項 公民関連諸学科目導入の歴史的課題としての基幹的人材育成
  第3項 近代学校制度創始期の公民関連諸学科目の性格
  第4項 近代学校制度創始期の公民関連諸学科目の特質
 第2節 分化的認識形成焦点型学科目としての「法制及経済」
  第1項 「法制及経済」導入を促した歴史的課題としての中堅的人材育成
  第2項 法制・経済認識形成を中心目標とした学科目「法制及経済」
  第3項 歴史的・教科論的課題への対応にみられる「法制及経済」の特質と限界
 第3節 「公民科」前史としての諸学科目の特質と限界
第2章 社会認識形成と資質育成を可能にさせた「公民科」成立の歴史的課題
 第1節 「公民科」の成立を促した国民の社会参加機会の拡大
  第1項 「法制及経済」に対する批判とその再編要求
  第2項 国民の社会参加機会の拡大と新しい学科目の成立への要求
 第2節 「公民科」成立を支えた学問的理論の発展
  第1項 「公民科」教育内容の充実を支えた社会学の発展
  第2項 「公民科」目標原理の充実を支えた公民教育論の発達
 第3節 「公民科」成立に影響を与えた「法制及経済」改革型学科課程
  第1項 認識形成内容の拡充による「法制及経済」改革型学科課程
  第2項 資質育成の組み込みを図る「法制及経済」改革型学科課程
 第4節 歴史的課題への対応にみる「公民科」成立の特質
第3章 社会認識形成・資質育成併存型学科目としての「公民科」の成立
 第1節 「公民科」関係法令が打ち出した認識形成と資質育成の内容
 第2節 成立期「公民科」教科書に具現化された認識形成と資質育成の性質
  第1項 検討対象とした教科書としての成立期「公民科」教科書
  第2項 社会生活者的資質育成を重視した「社会」分野の教科書記述
  第3項 国家公民的資質育成に傾斜した「法制」分野の教科書記述
  第4項 社会認識形成・二重構造的資質育成併存型に再編された「経済」分野の教科書記述
 第3節 教科論的課題への対応にみられる「公民科」成立の特質
  第1項 成立した「公民科」の認識形成と資質育成の特質
  第2項 認識形成と資質育成の関係とその形成要因
第4章 成立した「公民科」学科課程の実際
 第1節 成立した「公民科」の中等学校学科課程上の位置
 第2節 全国基準としての中等学校「公民科」教授要目の内容
  第1項 社会生活者的資質育成重点型の初年次における教授内容構成
  第2項 国家公民的資質育成重点型の第二年次における内容の構成
  第3項 地域の事情に即した社会生活の理解を促す「教授上ノ注意」の内容
  第4項 「公民科」教授要目の内容編成の特質―総体的社会認識形成の実際化―
 第3節 教育現場における「公民科」学科課程の実際化
  第1項 教授細目案の全体構成と配列の論理―教授要目への準拠と内容の精選―
  第2項 社会生活における機能の総体的把握過程として具体化された認識形成
  第3項 社会生活者からの視点を中心として具体化された資質育成
  第4項 細目案にみられる「教授要目の実際化」の方向性
 第4節 成立期「公民科」学科課程の特質
第5章 「公民科」の教科構造に沿った教授を支える教師の力量形成
 第1節 戦前「公民科」成立と教師の力量形成
  第1項 教科成立史研究として教師の力量形成を検討する意義
  第2項 「公民科」成立期の教師の力量形成の課題
 第2節 「公民科」教師の力量形成を検討する方法
  第1項 「公民科」教師を確保するルート
  第2項 検討対象の選定
  第3項 検討対象としての試験検定
  第4項 文検「公民科」の実施状況と試験制度
 第3節 各分野における出題内容とその特質
  第1項 〈教職専門科目〉としての「公民教育」分野試験問題の特質
  第2項 新設された〈教科専門科目〉としての「公民倫理」分野試験問題の特質
  第3項 既存の〈教科専門科目〉としての「公法」・「私法」・「経済」分野試験問題の特質
 第4節 「公民科」を担う教師の力量形成の特質
第6章 資質育成規定型学科目への変化を促される「公民科」
 第1節 社会情勢変動に伴う歴史的課題の変化
 第2節 公民教育論の変容に伴う教科論的課題の変化
 第3節 「公民科」学科課程改変要求に具現化された実際的変化
 第4節 「公民科」定着過程の特質
第7章 戦前日本の中等学校における「公民科」成立の教科教育史的意義
 第1節 目標原理の統合性―認識形成と資質育成の両立―
 第2節 「教科構造」の一貫性―目標―内容関係の確立―
終章 本研究の成果と課題
資料・文献
あとがき
著者釜本健司 著
発行年月日2009年02月28日
頁数264頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1728-4