博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

「寛容性」の涵養に関する幼児教育学的考察

可視的差異に対する幼児の反応と反偏見教育的アプローチの分析

定価: 7,150 (本体 6,500 円+税)
本書は多文化社会における寛容性の涵養という教育課題に対して、幼児期の前偏見的言動と偏見の低減に向けた教育的援助を視点に、幼児教育の課題を検討した新著。

【著者略歴】
日浦直美(ひうら なおみ)
1976年 関西学院大学文学部英米文学科卒業 文学士
1984年 聖和大学大学院教育学研究科(幼児教育学専攻)修士課程修了 教育学修士
2007年 大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了 博士(人間科学)
現在 聖和大学 教育学部 教授、聖和大学大学院 教育学研究科 教授

☆☆☆第46回(平成22回)日私幼賞・保育学文献賞受賞☆☆☆
目次を表示します。
序章 
 問題の背景と本研究の目的
 本論文の構成
第1章 問題の所在
 第1節 先行研究の概観と本研究の意義
  1 国外の「差異」に対する幼児の反応に関する研究
  2 国外の「差異」に対する反応への教育的援助に関する研究:米国の幼児期における多文化教育研究
  3 国内の関連研究
  4 本研究の意義
 第2節 本研究の理論的枠組み
  1 主要概念
  2 方法論的枠組み
第2章 幼児教育・保育と「差異」の捉え方
 第1節 幼児の可視的差異に対する反応と保育者の対応
  1 拒否的反応の誘因となる差異
  2 幼児の前偏見的言動と保育者の対応
 第2節 「仲良し集団」へと誘導する保育者の援助の背景
  1 幼稚園教育要領および保育所保育指針と「思いやり」
  2 しつけの背後にある「気持ち主義」
  3 「仲良し集団」の集団的特質
 第3節 「差異」(多様性)を尊重する保育実践
  1 「多文化教育」と「同和保育」の接点
  2 幼児期の反偏見教育的アプローチ
  3 同和・人権保育における反偏見教育的アプローチとアンチバイアス・アプローチの関係
第3章 幼児の前偏見的言動と反偏見教育的アプローチの実際
 第1節 事例研究の対象と手続き
  1 調査の対象
  2 手続き
 第2節 H保育所の保育の特色
  1 保育カリキュラムと保育者のねらい
  2 物理的環境と保育方針
 第3節 可視的差異に対する前偏見的言動と仲間関係の変容
  1 Yに対する他児のかかわりの特徴とその変容 
  2 Yの他児・保育者に対するかかわりの特徴とその変容
  3 子どもの人間関係の変容と保育者のかかわり
 第4節 反偏見教育的アプローチにおける保育者の教育的援助
  1 Yを巡る仲間関係と保育者の年間指導計画との関係
  2 保育者の教育的援助の特徴
第4章 反偏見教育的アプローチの援助方法と保育者
 第1節 保育者の援助方法と自己認識にかかわる経験的出来事との関係
  1 対象と手続き
  2 保育観の転換を促した「出会い」と自己変革
  3 同和・人権保育における自己表現・主張の捉え方
  4 「振り返り」による保育者の自己認識と援助方法の関係
 第2節 保育者間の援助方法の違い
  1 いざこざ場面に見られる具体的援助の違い:対峙型と見守り型
  2 子どもたちの成長の見通しと判断の違い
  3 保育者間の「対話」の欠如
第5章 幼児期と寛容性の涵養:反偏見教育的アプローチからの示唆と課題
 第1節 前偏見的言動と寛容性の涵養
  1 前偏見的言動の捉え方
  2 いざこざ(葛藤)時の対話につながる自己表現・主張と自己抑制
  3 個と集団
 第2節 保育者の課題
  1 「育てられる者」としての経験
  2 保育者集団の恊働文化
終章
引用・参考文献
あとがき
著者日浦直美 著
発行年月日2009年02月28日
頁数230頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1727-7