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戦後新教育における経験主義国語教育の研究

経験主義教育観の摂取と実践的理解の過程

定価: 11,000 (本体 10,000 円+税)
戦後新教育における経験主義国語教育の摂取と啓蒙の実態、実践的理解の過程を取り上げて分析し、言語の教育の構造化と独自性の定位を観点として考察する。

【著者略歴】
坂口京子(さかぐち きょうこ)
静岡県生まれ。
東京学芸大学教育学部国語科卒業、早稲田大学大学院教育学研究科博士課程単位取得。
東京都公立中学校教諭を経て、2006年常葉学園大学教育学部に着任。
現在、同大学准教授。博士(教育学)。
目次を表示します。

凡例          
序章 本研究の課題と方法
 第1節 研究課題 
 第2節 研究の特質と意義
 第3節 研究の方法・構成
第Ⅰ部 経験主義国語教育の摂取
第1章 戦後新教育の出発―教育内容・教育方法の模索―
 第1節 アメリカの対日教育基本構想
 「日本・軍政下の教育制度」(CAC-238:1944(昭和19)年7月15日/PWC-278a:1944(昭和19)年11月6日)
 占領教育政策の形成
 第2節 日本の自主的改革と四大教育改革指令
 「新日本建設ノ教育方針」(1945(昭和20)年9月15日)と四大教育改革指令(1945(昭和20)年10月22日~12月31日)
 自主的な教育改革の動き
 第3節 「第一次アメリカ教育使節団報告書」(1946(昭和21)年3月31日)と「新教育指針」(1946(昭和21)年5月15日)
 「第一次アメリカ教育使節団報告書」
 「新教育指針」
 第4節 戦後新教育の出発―教育内容・教育方法の模索―
第2章 経験主義国語教育の摂取(1)
 ―社会科成立と第六期国定国語教科書の編纂―
 第1節 社会科成立過程における国語教育の位置づけ
 社会科成立過程における国語科の位置づけ
 国語読本、「読みのチャート表」、「literature」の特質
 第2節 「みんないいこ」読本と社会科との関連
 「みんないいこ」読本と22年度学習指導要領社会編との関連
 「みんないいこ」読本にみる経験主義国語教育観摂取の問題
 第3節 社会科成立期における経験主義国語教育の意義と位置づけ
第3章 経験主義国語教育の摂取(2)
 ―「昭和二十二年度学習指導要領国語科編(試案)」の作成―    
 第1節  「昭和二十二年度学習指導要領国語科編(試案)」作成過程における日米
の認識                    
 井上敏夫資料にみる国語教育観
 記述の変移にみる日米の認識
 第2節 ヘファナンの経験主義国語教育観
 ヘファナンの経験主義教育観
 作業単元の内実
 作業単元と国語科―「言語科」の位置づけ―
 第3節 22年度学習指導要領作成にみる経験主義教育理念の摂取と位置づけ
 22年度学習指導要領作成にみる経験主義教育理念の摂取
 作業単元導入の教育施策における位置づけ
第4章 経験主義国語教育の摂取(3)
 ―石山脩平のコア・カリキュラムへの志向―
 第1節 石山脩平のカリキュラム論
 社会科創出期における経験主義教育観摂取の実態
 中心課程(コア学習)の尊重
 「生活経験の要素」としての言語能力
 「総合的能力」の内実
 第2節 石山脩平の経験主義教育観―「弁証法的止揚」の内実―
 「弁証法的止揚」における言語能力
 石山脩平の経験主義教育観の独自性と問題
 第3節 小括
第Ⅱ部 経験主義国語教育の教育施策的展開
第5章 経験主義国語教育の教育施策的展開(1)
 ―「第三回新教育研究協議会」(1948(昭和23)年2月)の場合―
 第1節 ドノヴァン4箇条の提案
 ドノヴァン4箇条提案の背景
 公開授業者への主旨伝達
 第2節 『第三回新教育研究協議会福岡会場速記録』にみる経験主義国語教育観
 『第三回新教育研究協議会福岡会場速記録』の構成
 ホーリングセッドによるドノヴァン4箇条の解説
 第3節 「第三回新教育研究協議会」ドノヴァン4箇条にみる経験主義国語教育の特質
第6章 経験主義国語教育の教育施策的展開(2)
 ―第六期国定国語教科書入門期編「まことさんはなこさん」の編纂―
 第1節 「みんないいこ」読本入門期編改編の背景
 ストリックランド来日の背景
 教科書編纂の概要
 第2節 第六期国定国語教科書「まことさんはなこさん」(第1学年用教科書)の実際
 CIEの入門期指導とストリックランドの指示
 「まことさんはなこさん」にみるアメリカ的入門期指導の特徴
 第3節 アメリカの入門期国語教育の影響と実態
 アメリカ入門期国語教育の影響
 アメリカの学習者の実態
 第4節 「まことさんはなこさん」編集とアメリカ的入門期指導の意味 
第7章 経験主義国語教育の教育施策的展開(3)
 ―『小学校国語学習指導の手びき』(1949(昭和24)年4月)の発刊―
 第1節 『小学校国語学習指導の手びき』発刊の背景と理由
 社会科新設と教科課程(カリキュラム)構造の問題
 小学校国語学習の混乱と本書発刊の背景
 第2節 『小学校国語学習指導の手びき』の実態と特質
 主体的な学習活動の展開
 関連・総合学習の提示
 言語活動能力の系統化
 第3節 『小学校国語学習指導の手びき』の位置と意義
第8章 経験主義国語教育の教育施策的展開(4)
 ―「教育指導者講習(IFEL)」(1950(昭和25)年度・第6期)の実施―
 第1節 「第六回 教育指導者講習研究集録ⅩⅠ(2)小学校教育課程及び教授法」の概要
 対象資料解題
 第6期「小学校教育課程及び教授法」の研究方針
 第2節 国語教育の特質
 国語教育の方向性
 国語教育課程の特質
 「単元的方法」の特質
 日米の単元例にみる「単元的方法」の特質
 第3節 第6期「小学校教育課程及び教授法」の特質と課題
 第6期「小学校教育課程及び教授法」の特質と課題
 「第五回 教育指導者講習研究集録ⅩⅠ(1)小学校教育課程及び教授法」、「第六回 教育指導者講習研究集録ⅩⅢ 中等学校教育課程及び教授法」との関連
 第4節 小括
第Ⅲ部 経験主義国語教育の実践的理解
第9章 経験主義国語教育の実践的理解(1)
 ―カリキュラム改造における国語教育の実際―
 第1節 カリキュラムの全体傾向
 カリキュラム改造への背景
 カリキュラムの全体傾向
 第2節 奈良吉城プラン
 国語教育内容の総合性の実際
 国語教育内容の組織化の実際
 生活を体系とする統合化・組織化―奈良吉城プランにおける生活の意味―
 第3節 明石附小プラン
 対象資料解題
 『明石附小プラン―単元展開の資料と手引き(試案)』の検討
 国語教育内容の統合化・組織化の問題
 第4節 兵庫師範男子部プラン
 国語教育内容の統合化・組織化の実際
 「基礎学習(国語)」における単元学習の提案
 国語単元学習の提案
 第5節 国語教育の総合性の定位と組織化の実際―成果と課題―
 師範学校附属学校におけるカリキュラム・プラン編成の背景と位置づけ
 国語教育内容の総合性の定位と組織化における成果と課題
第10章 経験主義国語教育の実践的理解(2)
 ―戦前の生活教育・生活綴り方の立場―
 第1節 石橋勝治の戦後教育実践の検討―国語教育の視点から―
 戦前との連続性
 戦後の石橋実践における国語教育の実際
 第2節 戦前の生活教育・生活綴り方運動との連続性
 社会科と生活教育との連続性―滑川道夫の主張―
 日本のコア・カリキュラムの可能性―波多野完治の主張―
 「生活読み方」の提唱―鶴見俊輔の主張―
 第3節 コア・カリキュラムへの批判-国分一太郎の主張―
 国分一太郎の民主主義教育の提唱
 福沢プランへの批判
 第4節 コア(中心課程)の内実と国語教育の構造化の問題
 コア(中心課程)の内実
 教育課程(カリキュラム)における国語学力の構造化と内実
第11章 経験主義国語教育の実践的理解(3)
 ―大村はま国語単元学習の生成の過程―
 第1節 経験主義教育観受容と摂取の実態
 「教員再教育指導者養成研究協議会」記録
 大村はま実践にみる経験主義教育観の実際
 第2節 国語単元学習の問題―「単元『読書』」(1952(昭和27)年2月)― 
 単元「読書」の実際
 西尾実の批評「もっと指導者の研究を」
 第3節 経験主義国語教育の実践的理解における問題
第12章 経験主義国語教育の実践的理解(4)
 ―「昭和二十六年度 改訂学習指導要領国語科編(試案)」における経験概念―
 第1節 26年度学習指導要領「書くこと」における反省力
 反省力の内実
 「書くこと」における思想性
 第2節 26年度学習指導要領「書くこと」における経験概念の把握(1)
 滑川道夫の「生活教育」
 梅根悟カリキュラム論における「書くこと」
 経験概念の問題
 第3節 26年度学習指導要領「書くこと」における経験概念の把握(2)
 小学校編「国語能力表」の提案
 中・高等学校編「書くこと」における言語経験と単元学習
 第4節 経験主義国語教育の実践的理解
終章 戦後新教育における経験主義国語教育の意義と可能性
 第1節 経験概念の把握の実態とその到達点
 第2節 戦後の国語教育に新教育がもたらしたもの
 教育内容と教育方法の構想
 学習者の生活・興味と教科・文化との止揚
 学校教育全体における国語学力論
 第3節 今後の課題と展望
補章 経験主義国語教育の実践的理解(5)
 ―香川坂出プランにみる国語学力の構造―
 第1節 香川坂出プランの実践の特徴
 カリキュラム構造と「教育課程案」「学習基準表」の連関
 「学習基準表」の実際
 第2節 香川坂出プランの国語学力の構造と内実
 「社会学習基準表」にみる国語学力の構造と内実
 「自然学習基準表」にみる国語学力の構造と内実
 第3節 考察と課題

引用・参考文献
参考資料 戦後教育史年表
あとがき
索引    
著者坂口京子 著
発行年月日2009年02月28日
頁数430頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1726-0
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