博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

嘉納柔道思想の継承と変容

定価: 17,600 (本体 16,000 円+税)
嘉納治五郎によって創られた講道館柔道の思想を再検討し、戦後の国際化とスポーツ化の過程における継承と変容の様相を、多くの資料を基に体系的に解明した労作。

【著者略歴】
永木耕介(ながき こうすけ)
1958年、大阪府生まれ。筑波大学大学院体育研究科修士課程修了。
筑波大学体育センター文部技官、上越教育大学助手を経て、
現在、兵庫教育大学大学院准教授。

博士(体育科学)。
目次を表示します。
序章
 第一節 研究の目的
 第二節 用語について
 第三節 研究の方法
  第一項 「過程的かつ構造的」なアプローチについて
  第二項 方法上の立場・視点
  第三項 「実践主体の柔道観」を捉える方法
 第四節 論文の構成
第一章 嘉納柔道思想における基本概念の検討-「教育的価値」を中心に-
 序 節
  第一項 嘉納と草創期における柔道
  第二項 先行研究の検討と分析視点・方法
 第一節 体育観
  第一項 柔術修行の体験に根ざす「身体鍛錬」の重視
  第二項 近代的体育観の影響
  第三項 乱取における体育としての価値
  第四項 形における体育としての価値
  第五項 「形と乱取」の限界
 第二節 勝負観
  第一項 「武術としての価値」の大衆性
  第二項 武術としての「乱取の価値」
  第三項 武術としての「形の価値」
  第四項 「乱取試合」の問題点
 第三節 修心観
  第一項 徳育
  第二項 知育と勝負理論の応用
 第四節 修行観と段位制
  第一項 修行観
  第二項 段位制
 第五節 精力善用
  第一項 根源としての「柔の理・柔よく剛を制す」
  第二項 精力善用の確立
  第三項 精力善用の広がり
 第六節 自他共栄
  第一項 自他共栄の根源
  第二項 自他共栄の確立
  第三項 自他共栄の国際性
  第四項 自他共栄の実践化における困難性
 第七節 国民文化から国際文化へ
第二章 戦後における嘉納柔道思想の継承と変容
 序節
  第一項 終戦直後における柔道の情況
  第二項 学校柔道復活の経緯
  第三項 “便法”としての「競技スポーツ性」の強調
  第四項 分析方法
 第一節 体育観の継承と変容
  第一項 昭和20年代における「身体への効果」論の希薄
  第二項 国際大会がもたらした「体力強化」論
  第三項「身体の調和的発達」論の弱化一大衆性の欠如と「形」の衰退-
 第二節 勝負(武術)観の継承と変容
  第一項 「護身としての価値」の継承
  第二項 競技の発展と「護身としての価値」の低下
  第三項 「武術」の切断と「武道としての柔道」論の不在
 第三節 修心(徳育)観の継承と変容
  第一項 戦後における「徳育」論の全体像
  第二項 「スポーツと武道」からみた「徳育の低下」論
  第三項 「修行としての柔道」からみた「徳育の低下」論
  第四項 「礼儀」からみた「徳育の低下」論
  第五項 まとめ
 第四節 理念的価値の継承と変容―精力善用・自他共栄―
  第一項 不変なる「精力善用・自他共栄」の唱え
  第二項 「競技スポーツとしての柔道」と「精力善用・自他共栄」
第三章 「教育的価値」の受容に関する国際比較調査
 第一節 調査方法
  第一項 質問紙法による調査と比較
  第二項 質問項目・内容の構成
  第三項 評価法について
  第四項 調査対象
 第二節 「武術」への価値づけ
 第三節 「精神修養」への価値づけ
 第四節 「精力善用・自他共栄」の受容傾向と「道徳性の低下」
 第五節 まとめ 
第四章 戦後における競技観の諸相
 第一節 分析方法
  第一項 史料について
  第二項 カテゴリーの設定
  第三項 競技化に関する問題群
 第二節 「競技化問題」にみる競技観の諸相
  第一項 「審判規定の在り方」にみる競技観
  第二項 「審判員の在り方」にみる競技観
  第三項 「選手の在り方」にみる競技観
  第四項 「大会の在り方」にみる競技観
  第五項 「体重制」問題にみる競技観
  第六項 「競技化の全般的な在り方」にみる競技観
 第三節 競技観の変容の特徴
 第四節 競技観の変容と柔道観の変容
結論
付論―若干の提言―
あとがき
事項索引
人名索引
著者永木耕介 著
発行年月日2008年02月29日
頁数460頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1664-5